明日の株式相場に向けて=インバウンドはホテル関連が急先鋒に
きょう(17日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比314円安の2万6775円と反落。前週末に一時900円以上の急反騰をみせた際には、再び買い戻しラッシュでこれまでのような高速リバウンド局面に突入したかと思いきや、今回は早々につまずく格好となった。ただ、株式需給的には投げが出るような地合いではなく、きょうは後半に押し目買いの動きで日経平均は地味に下げ渋る展開をみせていた。
米10年債利回りが前週末の終値ベースで4%超えとなったが、市場関係者いわく「たとえゼロコンマ数パーセントの差であったとしても、3%台と4%台では人間の感覚的に大分違う。自分が機関投資家だったら、債券で安全に4%の利回りが確保できるならリスクのある株式から債券にシフトしたいという気持ちはかなり強くなる」(中堅証券マーケットアナリスト)とする。もっとも、「4%台で更に利回りが上昇傾向を強めるケースは考えにくく、この水準でいったん頭打ちとなる可能性が高いのでは」(同)ともいう。
仮に金利上昇トレンドが止まれば、株式市場からの資金流出の動きに歯止めがかかる。空売りの買い戻しも改めて誘発する公算が大きい。FRBの金融引き締めやインフレに対する警戒感は日ごとに前進と後退を繰り返すような状態だが、ここからは米長期金利の動向が改めて株式市場とリンクされやすくなりそうだ。当然ながら外国為替市場も、米債券市場を凝視するような局面が続きそうだ。ドル一強の様相がこのまま延々と続くとも思えない。
東京市場に目を向けると、個別ではインバウンド関連株に強い動きを示す銘柄が多い。ゼロコロナ政策により中国からの訪日外国人観光客は今のところ見込めない状況にあるが、これはある意味で時間の問題といってよく、市場では早ければ今月22日までの日程で行われる中国共産党大会終了後に、出国規制が緩和されるとの観測も浮上している。「これまでの経緯では訪日客の大体3割くらいを中国人が占めている。欧州各国の観光客よりも財布の紐は緩いようで、インバウンド消費に占める金額ベースで中国人は少なくとも全体に占める3割以上の寄与があると考えられる」(ネット証券ストラテジスト)という。
そうすると、おそらく現状のインバウンド恩恵は盛時から見て半分くらいに過ぎないかもしれないが、考え方によってはまだ半分の伸びしろがあるともいえる。インバウンド関連株への投資資金流入は、中国の規制解除の動きを次のイベントとして期待する形で波状的に続きそうだ。そして、何よりも内需セクターにはネガティブなイメージだった円安が、インバウンド関連というテーマにおいては切り口が180度変わっている。国内で商売していても“財布の出どころは海外”という輸出企業と同じ観点で力強いフォローウインドとなっている点は見逃せない。
インバウンド関連の物色の裾野は広く、全体相場が不安定ななかで先駆した銘柄群は買いにくくても、後ろに控える第2、第3のグループが漸次動き出す形で、まさに燎原の火を想起させる。直近の物色の流れをみると、どうやらホテル関連株及びその周辺に人気化している銘柄が多くなっている。京都ホテル<9723.T>やワシントンホテル<4691.T>、ロイヤルホテル<9713.T>などが揃って年初来高値を更新しているほか、本業とは別にホテル事業を営む明治海運<9115.T>は、きょうはストップ高カイ気配に張り付く人気となった。このほか、婚礼ビジネスを主力にホテル事業に傾注するツカダ・グローバルホールディング<2418.T>もここにきて上げ足に弾みがついている。コスモスイニシア<8844.T>もきょうは上昇一服ながら押し目は引き続きマークしたい。
また、THEグローバル社<3271.T>は首都圏中心にマンション開発を手掛けるが、一方で外国人に人気の高い京都を中心にホテル事業を展開しており、株価200円台前半という値ごろ感を考慮して人気化素地がある。
あすのスケジュールでは、国内では特に目立ったイベントはないが20年物国債の入札が予定されている。海外では豪中銀理事会の議事要旨(10月開催分)、7~9月期中国実質GDP、9月の中国小売売上高、9月の中国工業生産高、1~9月の中国都市部固定資産投資、10月のZEW独景気予測指数、9月の米鉱工業生産・設備稼働率、10月のNAHB米住宅市場指数などが発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
米10年債利回りが前週末の終値ベースで4%超えとなったが、市場関係者いわく「たとえゼロコンマ数パーセントの差であったとしても、3%台と4%台では人間の感覚的に大分違う。自分が機関投資家だったら、債券で安全に4%の利回りが確保できるならリスクのある株式から債券にシフトしたいという気持ちはかなり強くなる」(中堅証券マーケットアナリスト)とする。もっとも、「4%台で更に利回りが上昇傾向を強めるケースは考えにくく、この水準でいったん頭打ちとなる可能性が高いのでは」(同)ともいう。
仮に金利上昇トレンドが止まれば、株式市場からの資金流出の動きに歯止めがかかる。空売りの買い戻しも改めて誘発する公算が大きい。FRBの金融引き締めやインフレに対する警戒感は日ごとに前進と後退を繰り返すような状態だが、ここからは米長期金利の動向が改めて株式市場とリンクされやすくなりそうだ。当然ながら外国為替市場も、米債券市場を凝視するような局面が続きそうだ。ドル一強の様相がこのまま延々と続くとも思えない。
東京市場に目を向けると、個別ではインバウンド関連株に強い動きを示す銘柄が多い。ゼロコロナ政策により中国からの訪日外国人観光客は今のところ見込めない状況にあるが、これはある意味で時間の問題といってよく、市場では早ければ今月22日までの日程で行われる中国共産党大会終了後に、出国規制が緩和されるとの観測も浮上している。「これまでの経緯では訪日客の大体3割くらいを中国人が占めている。欧州各国の観光客よりも財布の紐は緩いようで、インバウンド消費に占める金額ベースで中国人は少なくとも全体に占める3割以上の寄与があると考えられる」(ネット証券ストラテジスト)という。
そうすると、おそらく現状のインバウンド恩恵は盛時から見て半分くらいに過ぎないかもしれないが、考え方によってはまだ半分の伸びしろがあるともいえる。インバウンド関連株への投資資金流入は、中国の規制解除の動きを次のイベントとして期待する形で波状的に続きそうだ。そして、何よりも内需セクターにはネガティブなイメージだった円安が、インバウンド関連というテーマにおいては切り口が180度変わっている。国内で商売していても“財布の出どころは海外”という輸出企業と同じ観点で力強いフォローウインドとなっている点は見逃せない。
インバウンド関連の物色の裾野は広く、全体相場が不安定ななかで先駆した銘柄群は買いにくくても、後ろに控える第2、第3のグループが漸次動き出す形で、まさに燎原の火を想起させる。直近の物色の流れをみると、どうやらホテル関連株及びその周辺に人気化している銘柄が多くなっている。京都ホテル<9723.T>やワシントンホテル<4691.T>、ロイヤルホテル<9713.T>などが揃って年初来高値を更新しているほか、本業とは別にホテル事業を営む明治海運<9115.T>は、きょうはストップ高カイ気配に張り付く人気となった。このほか、婚礼ビジネスを主力にホテル事業に傾注するツカダ・グローバルホールディング<2418.T>もここにきて上げ足に弾みがついている。コスモスイニシア<8844.T>もきょうは上昇一服ながら押し目は引き続きマークしたい。
また、THEグローバル社<3271.T>は首都圏中心にマンション開発を手掛けるが、一方で外国人に人気の高い京都を中心にホテル事業を展開しており、株価200円台前半という値ごろ感を考慮して人気化素地がある。
あすのスケジュールでは、国内では特に目立ったイベントはないが20年物国債の入札が予定されている。海外では豪中銀理事会の議事要旨(10月開催分)、7~9月期中国実質GDP、9月の中国小売売上高、9月の中国工業生産高、1~9月の中国都市部固定資産投資、10月のZEW独景気予測指数、9月の米鉱工業生産・設備稼働率、10月のNAHB米住宅市場指数などが発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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