ユニリタ Research Memo(1):2022年3月期は増収ながら先行投資の拡大等により減益にて着地

配信元:フィスコ
投稿:2022/06/14 15:01
■要約

1. 会社概要
ユニリタ<3800>は、金融や製造をはじめ、幅広い業種向けにITシステムの運用管理を行うパッケージソフトウェア及びデータ活用ソリューションの開発・販売・サポートを手掛けている。ITの役割が「守り」(業務効率化やコスト削減等)から「攻め」(ビジネスの競争優位性を実現する手段)へ変化するなか、「システム運用」と「データ活用」領域における強みを活かし、デジタル変革(DX)に取り組む企業の業務課題を直接解決するソリューション提供力を発揮してきた。最近では、サービスモデルの強化(既存製品のクラウド化によるサブスクリプションモデルへの転換)やデジタル技術を活用した社会課題解決(働き方改革や地方創生、一次産業活性化)などに取り組み、ビジネスモデルの変革を推進している。

2022年3月期からは新中期経営計画がスタートした。「共感をカタチにし、ユニークを創造するITサービスカンパニーへ」を基本方針とし、事業セグメントを「プロダクトサービス」「クラウドサービス」「プロフェッショナルサービス」に変更するとともに、グループの経営資源とITソリューション力を活かした事業活動を通じて、事業会社としての経済的価値と社会課題解決による社会的価値の双方を実現する方向性を打ち出している。

2. 2022年3月期決算の概要
2022年3月期の業績は、売上高が前期比3.8%増の10,441百万円、営業利益が同8.4%減の693百万円と増収ながら減益となった。期初予想に対しても、売上高はほぼ計画線ながら、利益面では下回る着地となっている。売上高は3つの事業がすべて伸長した。特に「プロダクトサービス」は、クラウド化へと移行する需要の取り込みなどにより計画を上回る伸びを実現した。一方、「クラウドサービス」は、主力サービスが順調に伸びたものの、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けたソーシャルクラウド事業の伸び悩み等により計画には届かなかった。また、「プロフェッショナルサービス」は、DX推進を背景とするコンサルティング案件の増加などにより堅調に推移した。損益面では、人件費の増加(注力分野への積極採用等)や「クラウドサービス」(事業推進クラウド事業)への先行投資(外注費や広告宣伝費等)の積極投入等により営業減益となった。

3. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比4.4%増の10,900百万円、営業利益を同8.2%増の750百万円と増収増益を見込んでいる。売上高は「クラウドサービス」「プロフェッショナルサービス」の伸びが増収に寄与する見通しだ。特に、グループの顧客基盤を活用したハイブリッドな販売戦略の推進や事業間の連携、パートナー企業との協業などにより事業拡大を図る方針である。損益面では先行投資を継続するものの、増収による収益の押し上げにより営業増益を実現する見通しとなっている。

4. 中期経営計画の進捗
同社は、コロナ禍の長期化等に伴い、「クラウドサービス」の一部(事業推進クラウド事業、ソーシャルクラウド事業)などに進捗の遅れが生じたことから、中期経営計画を下方修正した。最終年度である2024年3月期の売上高を12,200百万円から11,500百万円、営業利益を1,370百万円から900百万円にそれぞれ修正している。もっとも、今後の事業戦略に変更はない。「プロダクトサービス」では、サービス提供型事業へのシフトによりストックビジネス化を推進するとともに、成長の軸となる「クラウドサービス」ではIT課題から事業課題、さらには社会課題への解決に向けた市場の拡大を見据える。また、「プロフェッショナルサービス」については、プロダクトやクラウドサービスの顧客価値を高める役割を果たし、第2の成長エンジンとして機能させる方向性である。

■Key Points
・2022年3月期は増収ながら先行投資の拡大等により減益にて着地
・2023年3月期はグループ機能の再編などを通じて増収増益を見込む
・コロナ禍の長期化等に伴い、「クラウドサービス」の進捗などに遅れが生じたことから、中期経営計画を下方修正。ただし、今後の事業戦略に変更はない
・グループの経営資源とITソリューション力を活かした事業活動を通じて、事業会社としての経済的価値と社会課題解決による社会的価値の双方を実現する方向性

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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配信元: フィスコ

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