4月に向かって上昇期待はあるものの、今週は29000円水準でのもみあいスタートか

著者:出島 昇
投稿:2022/01/04 19:16

先週は、ザラ場で29000円超す場面もあったが、28500~29000円のもみあい

先週の予測では、2021年最終週となるが、注目のイベントもなく、前週に引き続き上値の重い方向性に欠ける展開が想定されるとしました。

但し、米国株式の反発が続けばクリスマス休暇を終えた外国人投資家が日本市場に戻り、日経平均もそれなりの上昇があるとしました。その場合は、日経平均は29100円を終値で超す動きにならないと大きな上昇とはなりにくいとしました。

結果的に想定したような動きになり、12月28日(火)は、米株の大幅上昇につれて、一時△444円の29121円まで上昇しましたが、終値では29069円と29100円を突破できず、その後は29000円を切って昨年、最終日の30日(木)は、▲115円の28791円で終わりました。

12月27日(月)は、24日(金)の米国市場はクリスマスで休場だったことで手掛かり材料に欠け、オミクロン株への警戒感から、一時28658円まで下げ、ここで下げ渋って反発するも上値は重く手仕舞い売りで軟化し、終値は▲106円の28676円と続落しました。

28日(火)は、前日の米国市場は好調な消費と半導体関連の好業績を受けて、NYダウは△351ドルの36302ドルと4日続伸し、またS&Pは史上最高値更新となったこともあり、日経平均は△276円の28953円で寄り付くと、一時△444円の29121円まで上昇しました。しかし、買い一巡後は利益確定売りで伸び悩むものの、後場になると大引けにかけて先物買いが入り△392円の29069円となりました。残念ながら終値では29100円を突破できませんでした。

29日(水)は、前日の米国市場では、NYダウは△95ドルの36398円と5日続伸したものの、半導体関連が利益確定で下落したことで、日経平均はハイテク関連が売られ▲73円の28995円で寄り付いたあと▲339円の28729円まで下落。後場になると下げ渋り▲162円の28906円まで戻して引けました。

2021年最終日の30日(木)は、前日の米国市場で上昇幅は小さいながらもNYダウ、S&Pが最高値更新しましたが、日経平均は連動せず前場は、▲327円の28579円まで下落し、前引けは大きく戻して▲20円の28886円となるものの、後場には引けにかけて売り圧力が高まり、▲115円の28791円と続落して引けました。

最後まで29000円絡みの戻り売りゾーンを突破できませんでしたが、全体的には下値を切り上げる三角保ち合いを突破する寸前まで来ています。

年内最終取引の31日(金)の米国市場は、薄商いの中、続落して取引を終えました。それでも主要3指標は史上最高値近辺を維持し、ともに月間、四半期、年間で上昇しました。

4月に向かって上昇期待はあるものの、今週は29000円水準でのもみあいスタートか

まず、今週の予測をしていく前に2022年度の相場がどうなるのか予測する必要があります。

今年の予測は、アナリストによって年前半安、年後半高、またはその逆と割れていますが、日本株式が自律的に動ける状況にない以上、相変わらず米国株式の動きに左右されることになります。世界経済に大きな影響を与えるのは米国景気であり、最大の注目点は米国の利上げをうまく株価に織り込めるかどうかとなります。

年前半に利上げを織り込むために米国株の調整の可能性があり、この調整も今までの金融相場から業績相場にスムーズに移行できるかがポイントとなります。

日本株のチャートをみると昨年8月の安値に9月の高値の間でもみあっており、そのもみあいも上放れへ向かっているようにみえますので、日本株は年明けから出遅れ修正の動きとなり、3万円台回復に向かって4月に高値をつけるシナリオがあります。

このシナリオをチャート(柴田罫線)で説明すると、日経平均は昨年の8月20日の26954円を安値に、9月14日の30795円を高値とする三角保ち合いを形成し、28000~29000円のレンジの中で、29000円水準を上値に上放れを試そうとしています。

柴田罫線(チャート)をみると分かるように、昨年末の12月28日に29121円とザラ場で超えましたが終値では超えず、超えた場合11月4日の29880円を超せば3万円台回復も期待できることになります。

昨年8月20日の26954円の安値からは三角保ち合いとなっていますが、年初の2月16日の高値30714円を9月14日の30795円で「2点天井」を形成してのもみあいと捉えることもでき、そうすると27000~30000円の大きなゾーンで長くもみあい(踊り場)を形成しているともいえます。

そのため本格的な上放れに時間を要して三角保ち合いの上放れが確定するのに1ヶ月を要することも考えられます。8月20日の26954円の安値からの6ヶ月期日は2月19日となるので、2月が本格的な上放れになる時期だと想定することもできます。それまでは、米国株に連動しながら出遅れ株修正の上昇となりそうです。

本格的に上放れできれば4月までは、3万3000円以上の期待ができることになります。

4月までの上昇要因としては、いくつものサポート要因があります。
①米国の過剰流動性の余韻…FRBは3月にテーパリングを終えて利上げ開始を鮮明にしていますが、金融相場の余韻は3月頃まで続きます。
②オミクロン株懸念の後退…今年は3度目のワクチン接種が本格化し、飲み薬の供給も始まり景気回復期待が高まる。
③中国の景気対策…2月の冬季五輪や10月の共産党大会を控え、経済対策に舵を切る。
④日本の景気対策…7月の参議院選挙を控え、インフラ整備など新たな景気対策を打ち出す可能性がある。
⑤4月に東証の市場編成があり企業はプライム市場を目指して株高に努める。
日経平均株価は9月14日の高値30795円の6ヶ月期日は今年の3月13日となる。

本日4日(月)は、寄り付きは、昨日の米国市場で主要3指数が上昇した流れを受け買い優勢で始まり、その後、伸び悩む場面もありましたが、先物買いを交えて切り返し、また円安も後押しして一段高となり、2021年11月25日以来の高値水準となり、△510円の29301円で引けました。

(指標)日経平均

2021年12月の最終週の予測では、市場ボリュームは前週のように低水準にとどまり、29000円に接近するともみあうという展開を想定しました。

2021年8月20日の26954円の安値以降は、9月14日の30795円まで上昇後、三角保ち合いを形成し、現在は、この中で煮詰まって28000~29000円の中の動きとなっており、最終週(12月27日(月)~30日(木))は、28500~29000円水準でのもみあいとなり、ザラ場では29121円まで上昇するものの、終値では29100円を突破できず、年の終値は28791円となりました。

今週の日経平均は、28000~29000円のレンジの中で28500~29000円の中のもいあいとなっており、上にいく場合は29000円水準での攻防となりそうです。

本格的な上放れは、29500円をぬけて11月4日の29880円を試すことになりそうですが、そうなるには日柄が1ヶ月ぐらい必要かもしれません。米国市場で3月以降、具体化する金利引き上げを織り込む動きが出てきますので、昨年のような一方的な上昇にはなりにくいといえます。1月は、28000~29500円のレンジを想定。


 

(指標)NYダウ

先週の予測では、新年度に向けた新たな投資が相場を押し上げることが期待できるとしました。

先週のNYダウは、好調な消費や半導体の好業績見通しを背景に12月29日(水)までNYダウは6日続伸し、29日は11月8日以来の最高値更新となりました。12月30日(木)も△191ドルの36679ドルとザラ場では最高値更新しましたが、引け値は▲90ドルの36398円と反落し、年末最終日も▲59ドルの36338ドルと2日続落となりました。

今週というよりも中期的な予測としては、6月頃までは高値を維持し、夏以降は調整局面に入る可能性があり、秋口に底打ちすると見ている市場関係者が多いようです。下値ではNYダウが33000ドル近辺。要は、その水準あたりまで株価が下がれば、日経平均も追随する可能性がありますので絶好の買い場となります。今年の下落要因となりそうなのは、やはり金利の引き上げです。2021年11月末、高止まりするインフレ率に対して、パウエル議長は「早期利上げも視野に、インフレに対応する」と発言の直後は、オミクロン株の影響もあり、株価は急落しました。

今週も不透明感はありますが、上下動しながら上を試す動きが想定されます。


 

(指標)ドル/円

●2022年の為替相場
昨年後半は、世界各国の中央銀行が金融の引締めに動き出しました。現段階ではオミクロン株の不透明感は残りますが経済活動がコロナ前に戻る動きが強まりそうです。

●2022年の為替相場を動かす要因
①オミクロン株は不透明感が強いだけに、現時点では注目ポイントから外せない。

②世界各国で歴史的な金利の引き下げが行われ、量的緩和が多くの国で行われた結果、世界的な物価高、さらに需給バランスの歪も物価上昇につながっている。

③ワクチン接種の進展でコロナ感染による死者数は抑えられているが、経済正常化に向けた需要拡大の中、供給不足による物価高が生じている。

④著しい物価上昇は、多くの人々にとって痛手となっている。そのため日本や中国などごく一部の国を除いた世界中の多くの国々では量的緩和の縮小や利上げなど金融引締めに動く流れが強まっている。

以上のような、金融政策の変化は世界のお金の流れを大きく変化させる。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム