株価指数先物 【週間展望】 ―需給面への警戒からオプション権利価格2万8750円を中心としたこう着相場に(訂正)

配信元:株探
投稿:2021/07/04 17:00

「需給面への警戒からオプション権利価格2万8750円を中心としたこう着相場に」

 今週の日経225先物は、需給要因から引き続きこう着感の強い相場展開になりそうだ。注目された6月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比85万人増と市場予想を上回り、雇用の改善傾向が示された。失業率は5.9%と5月の5.8%から0.1ポイント上昇したが、総じて予想の範囲内と受け止められた。このため、米連邦準備理事会(FRB)は量的金融緩和の縮小(テーパリング)を急がないとの見方が広がり、長期金利の低下にもつながっている。2日の米国市場では、長期金利の低下を受けてアマゾン・ドット・コム、アップルなど大型テック株などを中心に買い優勢となり、ナスダック、S&P500が史上最高値を更新したほか、NYダウも終値ベースで最高値を更新した。

 米国市場の上昇を受けて、週明けの東京市場は買い優勢で始まることが見込まれる。ただし、米雇用統計は予想を上回ったものの、テーパリングを急ぐほどの内容ではないとの見方がコンセンサスであっただけに、米国市場の反応は想定内である。シカゴ先物清算値は2万8775円と2日の日中比15円高にとどまっており、先物主導でのインデックス買いによる押し上げは期待しづらいだろう。先週の日経225先物は2万8500円~2万9000円のレンジ内での推移を続けており、概ねオプション権利価格の2万8750円を中心とした価格推移であったため、今週も同水準での推移が見込まれる。

 需給面からは、5日の米国市場が独立記念日の振替祝日で休場となるため、週初は海外勢のフローは限られよ。足元の先物手口では裁定に絡んだ商いが中心だが、クレディスイス経由でのヘッジファンドと見られる売りが目立っていることもあり、買い一巡からこう着感が強まる局面では、短期的な売り仕掛けなどによって大きく振らされやすい。また、市場では上場投資信託(ETF)の決算に絡んだ売り圧力に関心が集まる。7月決算が多いことから分配金支払いのための換金売りの影響は、決算が集中する8日、9日の2日間で約8000億円超と観測されている。

 直近の日経225先物のこう着感の強い値動きを見ても、ヘッジ売りを行っていると考えられるが、先回り売り自体はそれほど多くなく、売り需要を想定したショートの動きもあるだろう。また、週後半の売り圧力が警戒されるなかでは、積極的なポジションも取りづらい。そのため、オプション権利価格の2万8750円を中心に、2万8500円~2万8750円レンジで押し目狙いのロング、2万8750円~2万9000円レンジで上限に戻す場面ではショートで対応か。

 先週のNT倍率は、先物中心限月で14.78倍から14.71倍に低下した。5月半ば以降のボトム水準まで低下したことで、いったんはリバウンドも意識されるところだ。ただし、上値は緩やかに切り下がる25日移動平均線に抑えられているため、チャート形状としては煮詰まり感が台頭。今後大きくトレンドが出やすい状況であるため、今週は方向性を見極めたいタイミングである。また、現物市場においても、アフターコロナで物色されていた海運株に利益確定の動きが目立ってきたほか、ハイテク株への利食いも強まってきている。バリュー、グロースのリバランスというより、持ち高調整、ETFの決算に絡んだ動きとも考えられる。

 なお、2日のVIX指数は15.07で取引を終えており、低いところでは14.25まで低下する場面が見られた。昨年2月以来の低い水準での推移が続いていることもあり、積極的にショートに傾けづらい状況である。

 6月第4週(6月21日-6月25日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算で2週連続買い越しており、買い越し額は1739億円(前週は1435億円の買い越し)だった。FRBのパウエル議長の議会証言に市場の関心が集まるなか、FRB高官による利上げ前倒し発言などが嫌気され、21日の日経平均は一時1100円を超える急落から2万8000円割れに。しかし、その後はパウエル議長のハト派的発言などもあって急速に切り返して2万9000円を回復する波乱含みの展開。なお、現物株は海外投資家が1113億円の売り越し(同1394億円の買い越し)と2週ぶりの売り越しであり、先物は2852億円の買い越し(同41億円の買い越し)と3週連続で買い越している。

 経済スケジュールでは、5日に中国6月財新サービス部門購買担当者景気指数(PMI)。6日に米6月ISM非製造業景況指数。7日に5月景気動向指数、独5月鉱工業生産、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨。8日に5月国際収支、6月景気ウオッチャー調査、米5月消費者信用残高。9日に中国6月消費者物価指数(CPI)、中国6月生産者物価指数(PPI)米5月卸売売上高などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
1月限 日経225 27774.95  TOPIX  1832.70
2月限 日経225 29718.77  TOPIX  1940.02
3月限 日経225 29282.41  TOPIX  1930.42
4月限 日経225 29909.73  TOPIX  1961.13
5月限 日経225 27748.22  TOPIX  1871.53
6月限 日経225 29046.40  TOPIX  1958.82

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
21/9 7月02日  28730  28830  28560  28760  +130
21/9 7月01日  28740  28830  28530  28630  -120
21/9 6月30日  28840  29000  28740  28750  -10
21/9 6月29日  28980  29010  28700  28760  -190
21/9 6月28日  28980  29080  28950  28950  -90

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
21/9 7月02日  1941.0  1958.0  1932.0  1954.5  +20.0
21/9 7月01日  1941.0  1948.0  1925.5  1934.5  -7.0
21/9 6月30日  1950.0  1960.0  1939.5  1941.5  -5.0
21/9 6月29日  1960.5  1961.5  1940.0  1946.5  -11.5
21/9 6月28日  1956.5  1968.0  1954.5  1958.0  -0.5

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日比
7月02日(9月限)  28775  +15
7月01日(9月限)  28785  +155
6月30日(9月限)  28765  +15
6月29日(9月限)  28845  +85
6月28日(9月限)  28915  -35
※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
      売り     前週末比   買い   前週末比
6月25日    2156億円  -29億円  8733億円 +925億円
6月18日    2185億円 -2082億円  7808億円 +557億円
6月11日    4267億円 -3768億円  7250億円 +2417億円
6月04日    8035億円  -71億円  4832億円 -663億円
5月28日    8107億円  -881億円  5496億円 +521億円
5月21日    8989億円  -579億円  4975億円 -1098億円
5月14日    9569億円  -78億円  6074億円 -1196億円
5月07日    9647億円  +232億円  7270億円 +238億円
4月30日    9415億円 +1190億円  7031億円 -1669億円
4月23日    8224億円  -358億円  8701億円 -2080億円
4月16日    8583億円  -978億円 1兆0781億円  -83億円
4月09日    9561億円  -929億円 1兆0864億円 -1987億円
4月02日  1兆0490億円  -641億円 1兆2852億円 -1530億円
3月26日  1兆1132億円  -217億円 1兆4382億円 +2708億円
3月19日  1兆1350億円  +972億円 1兆1674億円 +4652億円
3月12日  1兆0377億円 -1644億円  7022億円 -7088億円
3月5日   1兆2021億円  -432億円 1兆4111億円 +5697億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
      売り      前日比    買い       前日比
6月30日    6567万株   +288万株  2億7426万株   -598万株
6月29日    6278万株   +525万株  2億8025万株   -295万株
6月28日    5753万株   +433万株  2億8320万株   +1316万株
6月25日    5319万株   +1095万株  2億7003万株   -189万株
6月24日    4224万株   -212万株  2億7192万株   +485万株
6月23日    4437万株    -27万株  2億6707万株   -59万株
6月22日    4464万株   -775万株  2億6766万株   +3437万株
6月21日    5240万株   -308万株  2億3328万株   -1113万株
6月18日    5549万株   -2474万株  2億4442万株   -393万株
6月17日    8023万株   -551万株  2億4836万株   -607万株
6月16日    8574万株   -733万株  2億5444万株   +719万株
6月15日    9308万株   -2295万株  2億4724万株   +1197万株
6月14日  1億1603万株   -2498万株  2億3525万株   -116万株
6月11日  1億4102万株   -3315万株  2億3641万株   +5799万株
6月10日  1億7417万株   -6192万株  1億7841万株   +999万株
6月09日  2億3609万株   -1592万株  1億6842万株   -1461万株
6月08日  2億5202万株   -4344万株  1億8303万株   -1548万株
6月07日  2億9546万株   -1395万株  1億9852万株   +799万株
6月04日  3億0942万株   -746万株  1億9052万株   +165万株
6月03日  3億1688万株   +644万株  1億8886万株   -468万株
6月02日  3億1044万株   +127万株  1億9200万株   +563万株
6月01日  3億0916万株   -513万株  1億8791万株   -1512万株
5月31日  3億1430万株   +643万株  2億0304万株   - 898万株
5月28日  3億0787万株   -1374万株  2億1202万株   +2199万株
5月27日  3億2161万株    +1万株  1億9002万株   -315万株
5月26日  3億2160万株   -2133万株  1億9317万株   -105万株
5月25日  3億4294万株   -309万株  1億9423万株   -356万株
5月24日  3億4604万株   -151万株  1億9779万株   -347万株

■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分)
9月4日  801億円
9月9日  801億円
9月15日  801億円
9月17日  801億円
9月23日  801億円
9月24日  801億円
9月29日  801億円
10月14日 701億円
10月16日 701億円
10月22日 701億円
10月28日 701億円
10月29日 701億円
10月30日 701億円
11月13日 701億円
11月18日 701億円
12月21日 701億円
12月22日 701億円
12月30日 701億円
1月4日  501億円
1月15日  501億円
1月20日  501億円
1月28日  501億円
2月26日  501億円
3月4日  501億円
3月5日  501億円
3月22日  501億円
3月24日  701億円
3月30日  501億円
4月21日  701億円
6月21日  701億円

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