今週は、29000円をはさんだもみあいを想定

著者:出島 昇
投稿:2021/05/31 17:39

先週は、週半ばまで28600円台を試し、週末に一気に半月ぶりに29000円台回復

 先週の予測では、当面の上値水準を28800円とし、予想レンジを27800~28800円としました。柴田罫線で三角保ち合いを下放れした時に28800円以上は上値抵抗ゾーンとなっており、日足チャートでみても25日移動平均線が20日時点で28903円と75日移動平均線が20日時点で29216円の下にあり、好転するためには、75日移動平均線を突破しなければならないため、多少の日柄調整を必要とするとしました。

 27日(木)までは、レンジの上限で動いていたものの、28800円に到達できず、28600円水準でもみあっていました。しかし、28日(金)になると前日のNYダウの上昇や、やや円安歩調で買い優勢で始まり、27日(木)の相場の取引終了時にMSCI指数のリバランスが行われ、ここから銘柄の入れ替わりもあり、売買代金5兆5995億円、出来高24億432万株と大きく膨らみました。

 これで、需給不安が解消しており、バイデン大統領の6兆ドルという大規模なインフラ投資案が出ていたことも買い気につながり、28日後場終盤には△645円の29194円まで上昇し、終値は△600円の29149円と半月ぶりに29000円台を回復しました。しかし、このまま上昇するのは難しく、目先は75日移動平均線(直近28日時点29246円)にアタマを押さえられることになります。

 28日(金)の米国市場は、強い景気回復期待が強かったものの、3連休を控え終盤に上げ幅を縮小し、NYダウは△64ドルの34529ドル、ナスダックは△12Pの、S&Pは△3Pで取引を終了しました。景気回復期待で寄り付き後、上昇、朝方発表されたFRBが重視する4月米個人消費支出物価指数のコアが前年比で3.1%と92年7月以来の伸びとなりましたが、FRBのインフレ高進は「一時的」との見方で長期金利への影響は限定的でした。シカゴの日経先物は▲100円の29020円でした。

 先週、1週間の動きをみてみると、相場が持ち直しつつあるようです。特に28日(金)の動きは、カラ売りの買い戻し主導とみられる展開の中で、25日移動平均線(28日時点28650円)を上回りました。2月の高値を起点とした調整トレンドが終了したという見方もありますが、上述したように目先に75日移動平均線(28日時点29246円)がありますので、まだ何ともいえません。

今週は、29000円をはさんだもみあいを想定

 先週末に29000円台を回復しましたが、今週の注目は、この29000円台回復が本物かどうかと言う点にあります。チャートからは、先週コメントしましたようにデットクロスした25日移動平均線(28日時点28650円)が75日移動平均線(28日時点29246円)の下に位置しているため、これが好転するためには、75日移動平均線を突破しなければならないとしました。28日(金)には、25日移動平均線を軽く突破しましたが、75日移動平均線の前で止まってしまっています。この75日移動平均線を突破できるかどうかですが、多少時間がかかるかもしれません。突破するためには、第1のサポート要因として感染者が減少し、ワクチンの接種の進展が早まるかどうかにかかります。次にバイデン大統領が6兆ドルの大規模インフラ政策を発表していますが、スムーズに実現できるかどうかとなります。

 今週はこれらを睨みながら29000円前後でのもみあいとなるかもしれません。下値では25日移動平均線をキープできれば、当面、順調な動きが期待できますが、6月はメジャーSQの月なので、どこかで大きな上下動がおこる可能性があります。レンジを想定すれば25日移動平均線を下回った場合を想定すると28500~29300円というところです。

 本日31日(月)は、寄り付きは、前週末に大幅高(600円)した反動で利益確定売りが先行し、いったん29000円を割り込み、その後は、株価指数先物にややまとまった買いが入り、29147円まで切り返す場面もありました。しかし、買いは続かず再び軟化し、中国5月製造業PMIの低下や、上海総合指数が値を下げたことも重しとなり、先物売りが先行し一段安となり、一時、28791円まで下落しましたが、月末の持ち高調整売りとの見方もあったことで、売り一巡後は上海株の持ち直しもあって下げ渋りましたが戻りは限定的で、▲289円の28860円で引けました。

(指標)日経平均

 先週の予測では、28000円台は固めたようにみえるが、ここからの戻りは三角保ち合いを下放れの型であるため、28800円を突破しなければ、まだ日柄調整が必要としました。

 しかし、結果的には需給の好転を背景に相場が持ち直してきました。週始めこそ28500円を下回りましたが、その後の25日(火)~27日(木)までは、終値で28500円を下回らず、週末の28日(金)は、前日、引け後のMSCI指数の定期銘柄入れ替えがあり、マーケットの需給が好転し、ここに前日のアメリカでのバイデン大統領の大規模なインフラ投資の発表の話が伝わったことで、日経平均はカラ売りの買い戻しを中心に△600円の29149円と大幅反発となりました。25日移動平均線(28日時点28650円)を上回りましたので、あとは75日移動平均線(28日時点29246円)をいつ上回れるのかがポイントとなります。

 今週はチャート的には、29000円前後でのもみあいとなり、感染動向やワクチン接種率の進行度をみることになります。ワクチン接種が予想以上に進めば、経済正常化への期待が高まり、株価のサポート要因となります。先週までに国内の年金や投信などの機械的な株売りの一巡によってマーケットは安定してきています。ここからは米株式の堅調な動きとワクチン接種の進展がスムーズなら、いずれ3万円を目指すことになります。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、FOMCの議事録を受けて、インフレに対する警戒心が後退しつつあり、長期金利の上昇も一服しているため、ハイテク株の買い戻しが期待できるとしました。さらに納税申告期限がコロナのため5月17日まで延長されたことで新たな資金が株式市場に流入することも想定されるとしました。

 結果的に先週は、コロナワクチンの接種が大きく拡大したことで経済正常化期待が高まり、株価は概ね堅調な動きとなり、週末はFRBのインフレ指標とする5月コア個人消費支出指数が予想を上回ったものの、長期金利は上昇せず、さらにバイデン大統領が大規模なインフラ投資案を発表するとの報道を受け、株価は続伸しました。27日(木)のNYダウは、34608ドルまで上昇し、終値は△141ドルの34464ドルでした。週末は△64ドルの34529ドルと続伸しました。

 今週は、31日(月)がメモリアルデーで休場となります。注目は4日発表の5月雇用統計となります。雇用統計が強い内容となれば、6月15~16日に開かれるFOMCで、大規模緩和の縮小に関する材料が出てくる可能性があります。それは直接インフレの高進に結びつけられれば相場はいったん一服することになるという見方があります。ただ、今回は雇用統計が強くても手厚い失業手当で、コロナをきっかとした退職などで労働者確保が難しくなった面もあり、賃金の引き上げなどで労働者の確保に奔走しているが、状況が大きく改善しているのかは疑問が残ります。雇用統計を前に様子見が強まることになりそうです。
 

 

(指標)ドル/円

●先週の状況 … ドル買い・円売り強まる

 先週は、FRBの副議長が「今後の会合では、資産購入ペースの縮小について議論を開始する状況となる」との見方や、日本政府が5月26日の5月月例経済報告で景気の統括判断を下方修正したことを受けて、ドル買い・円売りが活発となりました。28日(金)のNY為替市場では、ドル・円は一時110.20円まで買われました。しかし、110円近辺では利益確定のドル売りが出て109.84円で引けました。

●今週の見通し … ドルは量的緩和縮小観測があれば下げ渋りへ

 直近で、5月フィラデルフィア連銀景況指数、5月CB消費者信頼感指数は、市場予想を下回っており、景気回復に一服感が示されています。個人消費の伸び悩みを警戒して、長期金利が反落すれば、リスク回避的なドル売り・円買いが強まる可能性があります。ただ、FRBによる大規模な金融緩和は、いずれ縮小に向かうとの見方は変わっていないのでドルは下げづらい見通しといえます。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム
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