先週の日経平均は、コロナ感染第4波の拡大受け、NYダウの堅調さにも連動せず
先週の予測では、4月下旬の3月期本決算発表前に、3万円台回復となるかに注目とし、その場合、これまで米株式に連動して上昇してきた日経平均が、前週は米株上昇に連動せず、下落となっているため、今週も米株式の上昇に連動しなければ調整が長引くことになるとしました。その背景は、日本国内で第4波感染拡大が広がりをみせているということです。それをふまえて、予想レンジを29500~30500円としましたが、3万円は突破できず、コロナ感染拡大に影響され29500~29900円の中の動きとなりました。
12日(月)は、前週末の米株式の上昇を受けて△106円の29874円と高寄りしたあとは、期待されていた安川電機の決算が予想に届かず、発表後、急落となり一時▲154円の29613円まで下げ、午後も「企業決算を見極めたいムード」となり、終値は▲229円の29538円で引けました。
13日(火)は、前日の米株式は3指標とも小幅安でしたが、時間外での米株先物が堅調だったことで、日経平均は△66円の29605円で寄り付き、一時△340円の29879円まで上昇しましたが、後場になると伸び悩みましたが、終値は△212円の29751円と大幅反発しました。
14日(水)は、前日の米株式は、 NYダウは続落するものの、S&Pは最高値更新、ナスダックは大幅高となりましたが、寄り前発表の2月機械受注が予想を大きく下回ったことで、一時▲184円の29567円まで下落し、多少下げ幅を縮小するものの、上値は重く終値は▲130円の29620円でした。
15日(木)は、前日の米国株式は、マチマチの動きで材料もなく、日経平均は▲47円の29573円と売り先行で始まるものの、株価先物に断続的な買いが入って、一時△166円の29787円まで上昇するものの、後場はこう着状態となって方向感に欠ける展開となり、売買代金が減少する中で上げ幅を縮小して△21円の29642円と小反発で終りました。
この日の引け後の米国市場は、3月小売売上高が予想を大きく上回り、新規失業保険申請件数も減少し、長期金利の低下を受けて、NYダウは34000ドルを突破し、S&Pは連日の史上最高値更新となり、ナスダックも最高値更新まで1%未満のところへきました。
16日(金)の日本市場は、前週末と同様に米株式の上昇にたいして反応せず、米株式の上昇に連動しにくくなっていることを示しました。これは、日本国内で第4波のコロナ感染拡大を日本経済へ影響を織り込んでいるためだと思われます。△146円の29789円と高寄りしたあとは、一時マイナス圏に沈み、落ち直すものの上値は重く、△40円の29683円と小幅続伸で引けました。
引け後の米国市場では、市場予想を上回る決算発表や経済指標の改善を受けて、さらに景気回復期待が高まって、NYダウは3日続伸し、S&Pとともに連日の史上最高値更新となり、ナスダックも最高値更新まであと僅かのところへきています。シカゴの日経先物は△65円の29795円でした。
今週は、新型コロナ感染拡大の影響を受け、いったん下落すれば買い場へ
今週も引き続き、日経平均は新型コロナ感染拡大の影響が重しとなりそうです。米国株式が史上最高値を更新し続けているにもかかわらず、2週続けて日本株式が軟調なのは、感染拡大が続くことで「まん延防止措置」の対象が広がり、日本経済に影響を及ぼすことになり、それを織り込んでいるということでしょう。今週も埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県が追加されることになり、大阪府は緊急事態宣言の発令が検討されています。
柴田罫線の型をみると、2月16日の30714円、3月15日の30485円、4月6日の30208円と順次アタマを低くしており、目先では日経平均のチャートでは、4月6日の30208円を上値、75日移動平均線(16日時点29045円)を下値とした三角形で、25日移動平均線(16日時点29542円)近辺で保ち合いが煮詰まっているところです。ここでは、25日移動平均線を終値で切ると29000円に向かって下放れとなります。可能性としては低いと思いますが29000円を割る下放れとなると調整が長引くことになります。しかし、国内的には米国や中国向けに輸出が回復しており、過剰流動性の地合いも変わらないので、このもみあいはテクニカルの過熱感を冷やしている(スピード調整)とすれば、4月6日の30208円を終値でぬけてくると上放れとなって5月連休に向けての「株高」というアノマリー(経験則)が実現することになります。どちらになるかは新型コロナの感染拡大により、まん延防止措置の対象地域がさらに拡大すれば投資家心理を冷やすことになりそうです。とはいってもコロナ感染は、コロナワクチンの接種が進んでいけば解決することですので、株価が大きく下がれば買いチャンスとなります。
本日19日(月)は、寄り付きは、前週末の米国株高を支えに強含んで始まりましたが、すぐに株価指数先物にまとまった売り物が出て下げに転じ、また日米首脳共同声明で「台湾海峡の安定」などを明記し、また対中関係悪化への警戒感が指摘されたほか、時間外取引での米株価指数先物安も重しとなり、29530円まで下落しました。しかし売り一巡後は、プラス圏に転じアジア株高を支えに上げ幅を広げ、後場には29808円まで上昇する場面もありましたが買いは続かず、その後は再度マイナス圏沈み大引けにかけては前週末終値近辺でもみ合って△2円の29685円で引けました。
(指標)日経平均
先週の予測では、3月期決算発表が本格化する前にスピード調整が終了できるかどうかとしましたが、国内では新型コロナ感染第4波の拡大が続いており、米国株式の最高値更新に反応しなくなっています。また、柴田罫線でみると2月16日の30714円をピークに順次アタマを切り下げており、調整が長引く可能性が高いとしました。
結果的には、新型コロナ感染拡大により、上値が重く米株高を受けても方向感に乏しい状況でした。円高基調も買い手控え要因となり、週末のNYダウの34000ドル乗せにもほとんど反応しませんでした。
目先の株価は、新型コロナ感染拡大で、いったん下放れもチャートからは想定されるようになってきています。上述したように、2月16日の30714円をピークにアタマを重くしており、現在、もみあいが25日移動平均線を下値に続いています。この25日移動平均線(16日時点29542円)を終値で切ると下放れとなって、75日移動平均線(16日時点29045円)がサポートラインになりますが、ここを切ると当面、調整入りとなります。
一方、コロナ感染第4波の拡大が限定的であれば、過剰流動性の地合いは変わらないので、米国株式に遅れて反応し、30208円を上にぬければ逆に上放れとなります。
(指標)NYダウ
先週の予測では、決算シーズンに入った中で、ワクチン接種が加速し、経済活動正常化期待から上昇を続けており、さらに前週は、発表された雇用統計が改善されたにもかかわらずFRBは「望ましい水準を下回っており、緩和の条件を満たすのにはほど遠い」としたことで、早期の緩和実施は後退し、長期金利も低下したことで、結果的にNYダウは史上最高値を連日更新しました。
今週も引き続き、経済活動の再開を背景とした景気回復期待や企業の好決算が相場を押し上げることになりそうです。政府は全国民分のワクチンが確保されておることが確認済みで(ジョンソン&ジョンソンのワクチン接種が中断しているにもかかわらず)夏に向けて経済活動の再開に拍車がかかると思われます。1-3月期GDPが5%近くの成長を示唆しており、相場の上昇を後押ししそうです。
(指標)ドル/円
●先週の予測は、ドルは底堅いとしました
3月消費者物価指数と3月小売売上高は前回実績を上回る予想のため、ドル買い・円売りと、株価の上昇を支えることになり、ドルは底堅い動きを想定しました。しかし、ジョンソン&ジョンソン製ワクチン接種が一時中断したことで、ドル売り・円買いが強まる場面もありました。しかし、パウエル議長が「利上げの条件として、インフレが持続的に2%に達し、労働市場で最大雇用が回復することを再確認した。ただ、この条件が2022年前に達成される可能性は極めて低い」との見方を伝えたことで、長期金利が低下しドル売り材料となりました。
●ワクチン接種に不透明感はあるが、ドルは下げ渋りか
FRBの金融政策の長期継続観測は後退していないことや、ワクチン接種について有効性や安全性の不透明感が広がり、リスク回避の円買いが観測されています。しかし、ユーロ、英ポンド、豪ドルではドル売りは大きく広がっていないため、ドル売り・円買いが強まる可能性は浮上しないとみられています。
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