「十字足が出現、窓埋め完了で方向感を失う」~黒岩の眼(夕刊)

著者:黒岩泰
投稿:2021/04/07 18:57

強弱感が対立 揉み合い相場へ

http://chart.fisco.co.jp/madoc

 本日の日経平均は 34.16 円高の 29730.79 円で取引を終了した。朝方は堅調に推移する場面があったものの、その後はやや売りが優勢。それでも後場に入ってから持ち直し、何とかプラス圏をキープした。

 日経平均の日足チャートでは十字足が出現。強弱感が対立していることを示唆しており、方向性は非常に乏しい。下方に空いている窓を埋めたことで、強い達成感が台頭。これで近くに窓が存在しておらず、株価を引き寄せる力は消滅したようだ。

 手掛かり材料は非常に乏しい。東芝(6502)が海外ファンドからの買収提案を受けてストップ高したものの、そのほかの時価総額上位組に大きな動きが出るものはなかった。本日の相場は「東芝一色」といった感じだ。

 もちろん2兆円規模の買収話は、日本株に対する起爆剤になる可能性がある。カネ余りが続くことになれば、技術や顧客を持った企業に対して、外資が食指を伸ばしてくる可能性があるということだ。それが良いことか悪いことはさておき、他の日本株にもスポットライトが当たる可能性は十分にある。「規模が大きいから無理だ」という思考はなくなり、多くの銘柄にチャンスが生まれることになる。

 そのようななか、投資家は「売りポジション」をキープしなければならない。株価は「居心地の良さ」を主張しているものの、チャートはわずかに弱気形状。下放れのリスクを残している。上下に壁・そして近くの窓をすべて埋めていることから、しばらくこの辺で「もみ合い相場」となりやすい。それでも下方の壁のなかには窓が残されており、これが株価を引き寄せる可能性は残されている。投資家は「もみ合い下放れ」を前提にトレードする必要があるだろう。

 その際、売り材料とされそうなのが、東京にも「マンボウ」が発令そうだということ。あとは為替の円高傾向。それに空売り専門のヒンデンブルグが中国のビットコイン関連を空売りしているという話。そして一部で「前倒し解散」が噂されていることだ。どんなことが嫌気されるか分からないが、この辺をチェックしておきたい。

<マーケット・ストーリー>
「空に浮かんでいるあれは何だ!」「ふわふわ怪獣?いや、飛行船?いやマンボウだ!」――形を変えたビニール塊は、見る人によって形が全然違う。「確かヒンデンブルク号は 1900 年代前半にアメリカで爆発したドイツの硬式飛行船・・・」――なんて縁起の悪いことを言うんだ。

黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想