明日の株式相場に向けて=中小型株のバリュースマッシュ相場続く
きょう(9日)の東京株式市場は上下に不安定な動きではあったものの、後場に入って上値指向を強め、日経平均株価は284円高の2万9027円と4日ぶりに反発した。取引時間中は米株価指数先物やアジア株市場の顔色をうかがいながら、神経質な値動きとなるのは避けられない。ただ、きょうは後場寄りに日経平均が一段高に買われた。タイミング的に違和感の伴う上昇だったが、「一部報道で中国の政府系ファンドが動き出したとの見方が浮上している」(中堅証券ストラテジスト)という。ポジティブ材料として先物主導の上げに結びついた。「これは中国政府系資金が日本株に投資するというニュアンスではないが、間接的ではあっても海外マネーの日本再上陸の思惑を生む。ハイテク株の後場の戻りは、この報道が影響した」(同)としている。
直近では、外国人投資家が日本株に再び攻勢をかけているとの観測がある。投資対象はずばり三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>などメガバンクを中心とする金融セクター。米長期金利の上昇で運用利ザヤが拡大することに加え、国内でも日銀が長期金利上昇を許容するとの思惑が出ているためという。来週の日銀金融政策決定会合は、FOMCと並び久しぶりに注目度の高いイベントとなりそうだ。
個別では、バリュー系の中小型株に物色の矛先が向いている。通常バリュー株というと景気敏感セクターの大型株がイメージされやすいが、実際はそうではない。比較的時価総額の小さい銘柄でも、業績面がしっかりしていて有配にもかかわらず、指標面で割安に放置されている銘柄は数多くある。グロース株投資の観点であれば、PERやPBRはむしろ高い方が成長性の高さを代弁するようなところが無きにしもあらずだが、バリュー株に流れが向いてくると、これまで蚊帳の外に置かれていた低PERや低PBR銘柄ががぜん輝きを放ち始める。
昨年来のコロナ禍にあって、バリュー系銘柄であっても利益が一時的に落ち込むのは仕方ない状況にあり、その意味で足もとではPERよりも、その企業の純資産にリンクされたPBRにマーケットの視線が向かいやすい。低PBR株というのは、グロース株に資金の流れが向いている局面では株高に向けたアピール要素はほぼ皆無といってよいが、今のように全体相場がアフターコロナを見込んだ地合いに変化してくると、トラディショナルな指標として威力を発揮する。
机上の論理には違いないものの、例えばPBR0.5倍というのは、当該会社の全株式を買い占めた後、その会社をすぐに解散して保有していた資産をキャッシュ化するだけで、買収に費やした資金の2倍を手にすることができるという理屈である。逆にいえば、PBRが大幅に1倍を下回る企業は、買収後ただちに解体してお釣りがくるのだから、現在営んでいる事業の成長性はおろかビジネスモデルそのものを否定されているに等しい。経営者側にとってはきつい評価だ。しかし実際はそんなことはなく、買い手側には理論上かなりのアドバンテージが付与されていることになる。
今は短期トレードの視点でも、低PBRで株価の瞬発力のある銘柄にスポットライトが当たりやすい地合いである。鉄鋼株では直近にきて三菱製鋼<5632.T>が急騰しているが、PBRは急騰後でも何と0.3倍台である。不動産関連では明和地所<8869.T>やフジ住宅<8860.T>、更に前日取り上げた高田工業所<1966.T>、関電工<1942.T>、大同メタル工業<7245.T>、ソディック<6143.T>や、急動意したインプレスホールディングス<9479.T>なども、それぞれの株高材料を内包してはいるものの、共通項として低PBRがひとつのポイントとなっている。
このほか、PBR1倍割れ銘柄でマークしてみたいのは独立系システムインテグレーターのNCS&A<9709.T>。あるいはカー用品販売でアフターコロナの有力株であるイエローハット<9882.T>など。また、PBRは1.3倍台ながら選挙関連株としての思惑でマクロミル<3978.T>の動きも目先注目しておく価値がありそうだ。
あすのスケジュールでは、1月の特定サービス産業動態統計速報など。海外では2月の中国消費者物価指数、2月の中国生産者物価指数、2月の米消費者物価指数、2月の米財政収支など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
直近では、外国人投資家が日本株に再び攻勢をかけているとの観測がある。投資対象はずばり三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>などメガバンクを中心とする金融セクター。米長期金利の上昇で運用利ザヤが拡大することに加え、国内でも日銀が長期金利上昇を許容するとの思惑が出ているためという。来週の日銀金融政策決定会合は、FOMCと並び久しぶりに注目度の高いイベントとなりそうだ。
個別では、バリュー系の中小型株に物色の矛先が向いている。通常バリュー株というと景気敏感セクターの大型株がイメージされやすいが、実際はそうではない。比較的時価総額の小さい銘柄でも、業績面がしっかりしていて有配にもかかわらず、指標面で割安に放置されている銘柄は数多くある。グロース株投資の観点であれば、PERやPBRはむしろ高い方が成長性の高さを代弁するようなところが無きにしもあらずだが、バリュー株に流れが向いてくると、これまで蚊帳の外に置かれていた低PERや低PBR銘柄ががぜん輝きを放ち始める。
昨年来のコロナ禍にあって、バリュー系銘柄であっても利益が一時的に落ち込むのは仕方ない状況にあり、その意味で足もとではPERよりも、その企業の純資産にリンクされたPBRにマーケットの視線が向かいやすい。低PBR株というのは、グロース株に資金の流れが向いている局面では株高に向けたアピール要素はほぼ皆無といってよいが、今のように全体相場がアフターコロナを見込んだ地合いに変化してくると、トラディショナルな指標として威力を発揮する。
机上の論理には違いないものの、例えばPBR0.5倍というのは、当該会社の全株式を買い占めた後、その会社をすぐに解散して保有していた資産をキャッシュ化するだけで、買収に費やした資金の2倍を手にすることができるという理屈である。逆にいえば、PBRが大幅に1倍を下回る企業は、買収後ただちに解体してお釣りがくるのだから、現在営んでいる事業の成長性はおろかビジネスモデルそのものを否定されているに等しい。経営者側にとってはきつい評価だ。しかし実際はそんなことはなく、買い手側には理論上かなりのアドバンテージが付与されていることになる。
今は短期トレードの視点でも、低PBRで株価の瞬発力のある銘柄にスポットライトが当たりやすい地合いである。鉄鋼株では直近にきて三菱製鋼<5632.T>が急騰しているが、PBRは急騰後でも何と0.3倍台である。不動産関連では明和地所<8869.T>やフジ住宅<8860.T>、更に前日取り上げた高田工業所<1966.T>、関電工<1942.T>、大同メタル工業<7245.T>、ソディック<6143.T>や、急動意したインプレスホールディングス<9479.T>なども、それぞれの株高材料を内包してはいるものの、共通項として低PBRがひとつのポイントとなっている。
このほか、PBR1倍割れ銘柄でマークしてみたいのは独立系システムインテグレーターのNCS&A<9709.T>。あるいはカー用品販売でアフターコロナの有力株であるイエローハット<9882.T>など。また、PBRは1.3倍台ながら選挙関連株としての思惑でマクロミル<3978.T>の動きも目先注目しておく価値がありそうだ。
あすのスケジュールでは、1月の特定サービス産業動態統計速報など。海外では2月の中国消費者物価指数、2月の中国生産者物価指数、2月の米消費者物価指数、2月の米財政収支など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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