「堅調スタートも、最悪の事態を想定し・・・」~黒岩の眼(朝刊)

著者:黒岩泰
投稿:2021/03/09 08:49

チャートは依然として弱気形状 先安感が残る

http://chart.fisco.co.jp/madoc

 昨日の米国株式相場は高安まちまち。ダウ工業株 30 種平均は 306.14 ドル高の 31802.44、ナスダック総合指数は 310.99 ポイント安の 12609.16 となった。また、時間外取引の日経平均先物(円建て)は 28850 円付近での推移。したがって、本日の日経平均は堅調スタートを想定。上値を試すものと思われる。

 しかし、日経平均の「弱気形状」は続いており、先安観が残る格好。買い一巡後は上値を抑えられ、再び下値模索の動きへと移行するだろう。

 NY ダウは上昇したものの、ナスダックは軟調な推移。米長期金利が年 1.6%付近での推移となっており、相変わらず警戒感が残っている。成長株、ハイテク株には売りが出て、ナスダックを押し下げている。

 日経平均の日足チャートでは目先、前回の長い下ひげとの攻防が焦点。すでに上方の窓埋めを拒否しており、この下ひげトライが濃厚となっている。本日は買い先行が予想されるものの、チャートは依然として弱気形状。最悪、今週中にもブレイクすることがありそうだ。

 もし、そうなった場合は、投資家は注意が必要だ。現在は「下ひげ・上方の窓」という典型的な「窓・ひげ理論」の形となっており、これに反する動きとなった場合には、軸が大きく下向きに傾いていることを意味する。これは「大暴落の前兆」ということになり、投資家は最大限の注意を払わなければならない。本日は落ち着いた動きとなっており、その予兆はみられないが、もし、下ひげブレイクとなった場合には、先物売り・プット買いなどのヘッジの必要性が出てくるだろう。投資家は「売りポジション」を維持しながら、この「最悪の事態」を想定して動くべきだ。

黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想