■業績動向
1. 2021年3月期第2四半期業績の概要
アイエックス・ナレッジ<9753>の2021年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比3.2%減の8,462百万円、営業利益は同17.5%増の399百万円、経常利益は同18.6%増の427百万円、四半期純利益は同28.1%増の285百万円となった。
売上高では、システム開発・運用案件の売上高が増加したが、前期の大型プロジェクト収束の影響を補うまでには至らず、全体として減収となった。システム開発案件では、車載組込みシステム開発が堅調に推移し、総合物流企業や化学メーカー、化粧品メーカーにおいて受注が拡大した。また、システム運用案件では、運用設計や基盤構築案件など既存業務を堅守し、増収となった。しかしながら、前期の大手通信事業者向けシステム検証大型プロジェクトの収束をカバーするまでには至らなかった。なお、コロナ禍の影響により、一部のプロジェクトで延期などが発生したが、業績への影響は軽微だった。むしろ、テレワークの普及などに伴いクラウド型システム構築の需要などが増加しており、プラスの影響が顕著になっている。
売上高の減少により売上総利益も前年同期比41百万円減となったが、売上総利益率は同0.2ポイント上昇した。これは、不採算プロジェクトの撲滅や原価管理の徹底など事業基盤の強化に継続的に取り組んできた成果が出たものと考えられる。また、販管費は同100百万円減少し、販管費率も同0.7ポイント上昇した。販管費の減少の要因としては、コロナ禍の新しい働き方の普及に伴い、採用・新人教育、出張、交際費等が抑制されたことが挙げられる。
自己資本比率は52.0%、安全性が高く堅実な財務内容
2. 財務状態
2021年3月期第2四半期末における総資産は9,962百万円となり、前期末比205百万円増加した。そのうち流動資産は同72百万円増加したが、これは、受取手形及び売掛金が同86百万円減少したものの、現金及び預金が同169百万円増加したことが主な要因である。固定資産は同132百万円増加したが、投資有価証券の増加同103百万円が主な要因である。
負債合計は前期末比25百万円減の4,786百万円となった。そのうち流動負債は同37百万円減少したが、これは未払金の減少同49百万円が主な要因である。固定負債は同11百万円増加したが、退職給付引当金の増加同31百万円が主な要因である。
純資産合計は5,175百万円となり、前期末比230百万円増加した。これは、利益剰余金の増加135百万円、その他有価証券評価差額金の増加95百万円が主な要因である。
流動比率は312.2%と短期の安全性の目安となる200%を大きく上回る。自己資本比率は52.0%であり、中長期の安全性も高い。全体として健全な財務体質を維持している。
2021年3月期は増収増益予想。車載組込みシステム開発やクラウド移行案件などで受注拡大を目指す
3. 2021年3月期見通し
2021年3月期の業績見通しについては、売上高で前期比3.1%増の18,017百万円、営業利益で同2.0%増の800百万円、経常利益で同1.8%増の842百万円、当期純利益で同3.6%増の561百万円とする期初予想を据え置いている。
受注環境について見ると、企業のIT投資は引き続き堅調であることに加え、コロナ禍の影響も2020年11月下旬時点で一部に限定されており波乱要因にはなっていない。システム開発に関しては、前期の大型プロジェクト収束の補完と同時に来期を見据え、車載組込みシステム開発案件やクラウド化案件(オンプレミスからクラウドへの移行や統合など)の受注拡大を目指す。また運用に関しては、技術者の育成・確保を通じて、基盤構築への案件対応力を強化し、受注拡大を行う。なお、通期の売上高計画に対する第2四半期進捗率は47.0%(前年同期は48.5%)と前期には及ばないものの、営業本部制への移行(2020年4月)や営業情報の見える化など営業体制強化を行うことで、下期の受注拡大を図る。
また、通期の営業利益計画に対する第2四半期進捗率は49.9%(前年同期は40.5%)と順調である。通期の売上高総利益率は18.7%(前期比0.1ポイント上昇)とする計画だが、上期が18.9%と良好なことに加え、下期も原価管理の徹底や不採算プロジェクト撲滅を徹底することで達成を目指す。販管費は期初予想では同4.7%増の見込みであったが、コロナ禍における新しい働き方が定着しつつあり、下期も抑制される公算が高い。弊社では、顧客企業のIT投資に対するコロナ禍の影響としては、投資抑制やプロジェクト延期は限定的であり、むしろコロナ禍を契機としたクラウド移行の早期実現などデジタル化(DX)の動きが活発となっていることから、下期も堅調に推移し、例年同様に予想値に近い業績を達成すると見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<YM>
1. 2021年3月期第2四半期業績の概要
アイエックス・ナレッジ<9753>の2021年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比3.2%減の8,462百万円、営業利益は同17.5%増の399百万円、経常利益は同18.6%増の427百万円、四半期純利益は同28.1%増の285百万円となった。
売上高では、システム開発・運用案件の売上高が増加したが、前期の大型プロジェクト収束の影響を補うまでには至らず、全体として減収となった。システム開発案件では、車載組込みシステム開発が堅調に推移し、総合物流企業や化学メーカー、化粧品メーカーにおいて受注が拡大した。また、システム運用案件では、運用設計や基盤構築案件など既存業務を堅守し、増収となった。しかしながら、前期の大手通信事業者向けシステム検証大型プロジェクトの収束をカバーするまでには至らなかった。なお、コロナ禍の影響により、一部のプロジェクトで延期などが発生したが、業績への影響は軽微だった。むしろ、テレワークの普及などに伴いクラウド型システム構築の需要などが増加しており、プラスの影響が顕著になっている。
売上高の減少により売上総利益も前年同期比41百万円減となったが、売上総利益率は同0.2ポイント上昇した。これは、不採算プロジェクトの撲滅や原価管理の徹底など事業基盤の強化に継続的に取り組んできた成果が出たものと考えられる。また、販管費は同100百万円減少し、販管費率も同0.7ポイント上昇した。販管費の減少の要因としては、コロナ禍の新しい働き方の普及に伴い、採用・新人教育、出張、交際費等が抑制されたことが挙げられる。
自己資本比率は52.0%、安全性が高く堅実な財務内容
2. 財務状態
2021年3月期第2四半期末における総資産は9,962百万円となり、前期末比205百万円増加した。そのうち流動資産は同72百万円増加したが、これは、受取手形及び売掛金が同86百万円減少したものの、現金及び預金が同169百万円増加したことが主な要因である。固定資産は同132百万円増加したが、投資有価証券の増加同103百万円が主な要因である。
負債合計は前期末比25百万円減の4,786百万円となった。そのうち流動負債は同37百万円減少したが、これは未払金の減少同49百万円が主な要因である。固定負債は同11百万円増加したが、退職給付引当金の増加同31百万円が主な要因である。
純資産合計は5,175百万円となり、前期末比230百万円増加した。これは、利益剰余金の増加135百万円、その他有価証券評価差額金の増加95百万円が主な要因である。
流動比率は312.2%と短期の安全性の目安となる200%を大きく上回る。自己資本比率は52.0%であり、中長期の安全性も高い。全体として健全な財務体質を維持している。
2021年3月期は増収増益予想。車載組込みシステム開発やクラウド移行案件などで受注拡大を目指す
3. 2021年3月期見通し
2021年3月期の業績見通しについては、売上高で前期比3.1%増の18,017百万円、営業利益で同2.0%増の800百万円、経常利益で同1.8%増の842百万円、当期純利益で同3.6%増の561百万円とする期初予想を据え置いている。
受注環境について見ると、企業のIT投資は引き続き堅調であることに加え、コロナ禍の影響も2020年11月下旬時点で一部に限定されており波乱要因にはなっていない。システム開発に関しては、前期の大型プロジェクト収束の補完と同時に来期を見据え、車載組込みシステム開発案件やクラウド化案件(オンプレミスからクラウドへの移行や統合など)の受注拡大を目指す。また運用に関しては、技術者の育成・確保を通じて、基盤構築への案件対応力を強化し、受注拡大を行う。なお、通期の売上高計画に対する第2四半期進捗率は47.0%(前年同期は48.5%)と前期には及ばないものの、営業本部制への移行(2020年4月)や営業情報の見える化など営業体制強化を行うことで、下期の受注拡大を図る。
また、通期の営業利益計画に対する第2四半期進捗率は49.9%(前年同期は40.5%)と順調である。通期の売上高総利益率は18.7%(前期比0.1ポイント上昇)とする計画だが、上期が18.9%と良好なことに加え、下期も原価管理の徹底や不採算プロジェクト撲滅を徹底することで達成を目指す。販管費は期初予想では同4.7%増の見込みであったが、コロナ禍における新しい働き方が定着しつつあり、下期も抑制される公算が高い。弊社では、顧客企業のIT投資に対するコロナ禍の影響としては、投資抑制やプロジェクト延期は限定的であり、むしろコロナ禍を契機としたクラウド移行の早期実現などデジタル化(DX)の動きが活発となっていることから、下期も堅調に推移し、例年同様に予想値に近い業績を達成すると見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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