今週は、23100~23600円の大きなフシに入り、週後半はメジャーSQに向けて高値の波乱も

著者:出島 昇
投稿:2020/06/08 19:32

先週は、週始めに22000円にのせ、その後、5日続伸し23000円に接近

 先週は22000円台回復で上値が重くなると想定をしていましたが、米国株式の上昇が止まらず、為替も109円台への円安進行で、23000円を視野に入れる5日続伸となりました。NYダウの安値は6月1日(月)の25220ドル、高値は5日(金)の27338ドルで、これに連動する形で日経平均の安値は1日(月)の21898円で高値は4日(木)の22907円と23000円にあと100円弱と接近しました。

 今の相場を押し上げているのは、日米ともに過剰流動性と政府の財政出動であり、外国人の買い戻しに加え新規の買いで上昇が続いている形です。

 6月1日(月)は、△33円の21910円で寄り付いたあと、東京都が1日から「ステップ2」に進めたことで経済活動期待が高まり、一時△283円の22161円と2月27日以来3ヶ月ぶりの22000円台回復となり、終値でも△184円の22062円と22000円台を回復しました。時間外での米株先物や中国株、台湾株の上昇も支えとなりました。

 2日(火)は、前日の米国市場で経済活動再開を好感し、3日ぶりに反発したことで先物に買いが入り、一時△264円の22326円まで上昇し、その後、伸び悩んだものの、後場にも一段高となって△330円の22401円まで上昇し、終値は△263円の22325円と大幅続伸となりました。米中対立などの不安な問題にはほとんど反応せず需給相場の様相を示しています。

 3日(水)は、前日の米国市場では、中国国有企業が米国産大豆を購入という報道で米中悪化懸念が和らぎ3指標そろって続伸したことで、日経平均は△323円の22649円で寄り付き、一時△493円の22818円まで上昇しましたが、後場になると上げ幅を縮小し、一時△137円の22462円まで下げましたが、終値では△288円の22613円と3日続伸しました。

 4日(木)は、前日の米国市場は経済活動の再開による景気回復期待が続いている中で、経済指標が予想以上の改善で、NYダウは△527ドルの26269ドルと続伸したことを受け、△271円の22885円で寄り付きましたが、一時100円を超える下落となりましたが、売り一巡のあとは大型株中心に買いが入り△81円の22695円と4日続伸しました。為替が1ドル=109円台の円安になったこともサポート要因となっています。

 週末の5日(金)は、前日の米国株式がまちまちの動きであったことから▲82円の22613円で寄り付き、一時▲132円の22563円まで下げましたが、後場になると時間外での米株先物の上昇と円安歩調を受け、上げに転じて△167円の22863円と5日続伸しました。買い戻しが続いており日銀のETF買いもみられるという情報もあり、下げれば押し目買いが入る展開で方向としてはまだ上向きといえます。

 5日(金)の米国市場では、注目の5月雇用統計が大幅改善となり、失業率も予想外に減少したことで経済回復期待がさらに高まり、NYダウは△829ドルの27110ドルとなる、ナスダックは一時終値ベースで史上最高値を更新しました。5月の雇用統計で非農部門雇用者数が予想では▲800万人でしたがプラス転じ、失業率も予想の19.8%が13.3%だったことで、ドルも1ドル=109.85円まで買われました。シカゴの日経先物は△270円の23140円と23000円台にのせました。

今週は、23100~23600円の大きなフシに入り、週後半はメジャーSQに向けて高値波乱も

 今週も引き続き、米株上昇に連動しながら戻りを試す動きが想定されます。NYダウはナスダックの最高値更新に続いて、史上最高値を更新する動きとなれば、日経平均も23500円水準までが期待できます。日経平均のチャートをみると23100~23600円は昨年後半から今年にかけてもいあいのゾーンがありますので、ここを一発で突破するのは難しいと思われます。これまでのところ移動平均線乖離率や騰落レシオなどのテクニカル指標は過熱しており。買い有利の需給相場で、それを無視して上昇していますが、今週末の12日(金)はメジャーSQがあり、週後半は高値波乱となって、相場に変化がでてくる可能性があります。国内の相場の変化要因としては、緊急事態宣言の解除後、東京は感染者増によってアラームが出ており、さらに増加するようだと再発動という可能性もあります。

 現在の相場は、強気になっていますが、実態経済の厳しさは今から増すのであり、今の上昇は主要中央銀行の資金供給策で生じた金余りの投資マネーが背景となっており、その代表がFRBの大規模緩和による緊急対応策の無制限の貸し出しなのです。今週は23000円台に株価が上昇し、さらに一段高となって総強気となれば、そこは注意となります。今日の日経平均は丁度、経営的には悪材料の多い仕手株が急騰している状況であり、ここでの投資は、一種のバクチであり勝った人はバクチに勝ったと思った方がよいでしょう。

 本日は△314円の23178円と大幅に6日続伸し高値引けとなりました。前場は、3ヶ月ぶりに23100円台にのったあと、利益確定売りで伸び悩むものの、後場になると盛り返し、大引けにかけて強い動きとなって高値引けとなりました。ミニバブル状態で23100~23600円の昨年後半から今年の初めにかけてのもみあいのゾーンに入り、この水準から上は重たくなるところです。PERからみても割高ゾーンに入ってきています。

出島式ズバ株投資情報ブログ
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(指標)日経平均

 先週の予測では、日経平均はNYダウに追随しており、NYダウの上昇が続けば日経平均も22000円を回復する場面がありそうだとしました。緊急事態宣言の解除後の第2次感染への不安やテクニカルな過熱感があり、上値は重くなると想定しました。

 しかし、米国株式の上昇は止まらず潤沢な金融緩和マネーと高水準のカラ売り残を背景に上昇が続き、6月4日には22907円まで上昇し、週末の終値は22863円となりました。25日移動平均乖離率9.4%、騰落レシオ150%水準と過熱感をテクニカルが示していますが無視した上昇となっています。

 先週は、米株高に連動し、1日(月)は約3ヶ月ぶりに22000円台を回復し、4日(木)には22907円と23000円に接近し、5日までで5営業日続伸となりました。

 今週も米株高、特にNYダウがナスダックに続いて史上最高値を更新する動きとなれば、日経平均は23000円ぐらいまでの上昇は可能性があります。チャートを見てわかりますように、23100~23600円のゾーンは、昨年、後半から今年にかけてもみあいが続いており、一気にぬけるのは難しいところです。これまでのところテクニカルな過熱感も無視した上昇になっていますが、週末はメジャーSQであり、週後半も高値波乱となって来週から相場の流れに変化が起きるかもしれません。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、景気底入れ期待が継続すれば26000ドル台を試すことになり、そこから上値は重くなるとしました。

 結果的には、想定通り26000ドル台にのせたあと週末の5月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想外の大幅改善となり、景気見通しが改善し、NYダウは27338ドルまで急騰し、△829ドルの27110ドルで引けました。過剰流動性に支えられ、米中対立などの悪材料は無視されて上昇が続きました。

 今週もFRBや政府の強力な支援策のもとに経済活動再開による見通しの改善で、28000ドルは心理的なフシだが、ここを抜けると史上最高値を試す可能性があります。5月雇用統計の予想を超える改善、4月底入れの証拠となるという見方が多く、さらなる戻りが期待できるところです。気になる米中対立懸念は今のところ無視されています。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、週末の5月雇用統計は悪化の予想となっており、ドルの上値は重いとしました。

 しかし、経済活動再開による景気回復期待と金余りによる株価上昇でドルが買われ、週末の5月雇用統計では非農業部門雇用者数の減少予想がプラスに転じたことで、ドルが買われて一時109.85円をつけ引け値は109.59円となりました。

 今週のドル・円も引き続き底堅い動きが想定されます。6月10日~11日のFOMCでは、金融政策の維持が確実視されているので、米長期金利の先安感は後退しており、リスク回避的なドル売りは縮小するので、やや円高の方向に向かいそうです。雇用情勢の大幅改善によって米国経済の早期回復期待が広がっており、株高、ドル高の流れにあります。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム