明日の株式相場に向けて=新政権の勝ち筋を探る、「防衛関連」が躍動
名実ともに10月下期相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比732円高の3万8651円と大きく切り返した。前日は石破茂新総裁の誕生を受け、2000円近い暴落の洗礼を浴びせたマーケットだったが、さすがに売られ過ぎとみたのか、きょうは素直にリバウンド局面へと移行した。
今月27日の総選挙まで1カ月の猶予もないが、それだけに石破新総裁は発言に細心の注意を払うはずである。金融所得課税の強化など財務省寄りの発言は封印し、経済対策について具体的な言及はないまでも、マーケットフレンドリーなコメントに終始することは想像に難くない。経済政策を軽視しているということはないはずだが、確固たるポリシーを持っているようにはあまり見えないゆえ、手っ取り早くといえば語弊があるが、岸田路線を継承する意向を明示している。とするならば、岸田政権下で導入された新NISAの梯子を外すようなコメントはできない。金融所得課税の強化は「富裕層がターゲット」と言えば、株式市場は安堵するかといえば絶対にそれはあり得ないことで、今回その相場の不文律を新総裁は理解したはずである。こうなると、ショート筋も先物を絡めた売り仕掛けなどは難しく、当面は下値にセーフティーネットが敷かれているような相場環境と考えられる。
きょうは日経平均が大幅反発したとはいえ、前日の半値戻しにも届かず自律反発の領域にとどまっているが、外国為替市場の円安方向への揺り戻しを味方につけて、とりあえずリスクオフの流れは堰き止めた。一つ明るい材料としては、石破新政権を評価する方向でテーマ株物色の流れが形成されたこと。つまり、防衛関連株への買いが一気に加速したことが特筆される。今回の組閣人事では解消されたはずの自民党内の派閥抗争の実態が色濃く反映されたものとなったが、注目点はそれ以外にもあった。それは「防衛族で固められた内閣」であること。「軍事オタク」と呼ばれる石破氏は言うまでもなく、防衛大臣に起用された中谷元氏は再登板で元陸上自衛官という筋金入りの防衛族であることは知られている。だが、市場筋は「それ以外でも小野寺政調会長、林官房長官、岩屋外務大臣、浜田衆院議運委員長が防衛大臣経験者、長島首相補佐官は民主党・野田政権時代に防衛副大臣を務めた。防衛という2文字で塗り込められた内閣」(ネット証券マーケットアナリスト)とする。名は体を表すというが、今回の内閣はそのまま政策姿勢を表している、というのである。
前日の相場は拒絶反応が先に立ったが、きょうは内閣の顔ぶれを見て、投資マネーは買いの手掛かりを目ざとく察知したようだ。そうしたなか、何と言っても圧巻だったのが、三菱重工業<7011.T>のパフォーマンスである。防衛省との取引額では群を抜いており、文字通り“リアル防衛関連”の旗艦銘柄といってよい。きょうは、売買代金トップ常連のレーザーテック<6920.T>を押しのけ、断トツの商いをこなしながら大幅高に買われた。更に、値上がり率上位は防衛関連株のオンパレードとなった。値上がり率上位10傑に三井E&S<7003.T>、東京計器<7721.T>、日本製鋼所<5631.T>、川崎重工業<7012.T>、カーリット<4275.T>、新明和工業<7224.T>、そして三菱重と実に7銘柄がランクインしている。
これらは重量級の銘柄が多いが、今後このテーマに波状的に物色の矛先が向くのであれば、中小型の値の軽い銘柄群にも高い確率で投資マネーは波及しそうだ。きょうの値上がり率ベストテンの中ではカーリット<4275.T>が小型で投資指標面からも割安であり、引き続き上値妙味がありそうだ。このほか、防衛関連の常連銘柄であった石川製作所<6208.T>は業績も好調で今期は復配見通しにあり、改めて見直し買いの対象に浮上しそうだ。また、株価3ケタ台で値ごろ感のある重松製作所<7980.T>も今期は営業2割増益見込みで、PERが10倍割れ、PBR0.6倍という安値水準に放置されている。
また、石破新総裁は「防災省」の創設を目指す意向を示している。これも防衛関連の姉妹テーマである防災関連に投資資金を誘導しそうだ。防災分野を中心にクラウド事業を展開するドーン<2303.T>は増収増益トレンドをまい進中で、株価も動意含みだ。
あすのスケジュールでは、9月のマネタリーベース、9月の消費動向調査、9月の財政資金対民間収支、全国証券大会など。また、海外ではポーランド中銀が政策金利を発表し、8月のユーロ圏失業率に注目が集まる。このほか米国では9月のADP全米雇用リポートが開示され、ボウマンFRB理事の講演も予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
今月27日の総選挙まで1カ月の猶予もないが、それだけに石破新総裁は発言に細心の注意を払うはずである。金融所得課税の強化など財務省寄りの発言は封印し、経済対策について具体的な言及はないまでも、マーケットフレンドリーなコメントに終始することは想像に難くない。経済政策を軽視しているということはないはずだが、確固たるポリシーを持っているようにはあまり見えないゆえ、手っ取り早くといえば語弊があるが、岸田路線を継承する意向を明示している。とするならば、岸田政権下で導入された新NISAの梯子を外すようなコメントはできない。金融所得課税の強化は「富裕層がターゲット」と言えば、株式市場は安堵するかといえば絶対にそれはあり得ないことで、今回その相場の不文律を新総裁は理解したはずである。こうなると、ショート筋も先物を絡めた売り仕掛けなどは難しく、当面は下値にセーフティーネットが敷かれているような相場環境と考えられる。
きょうは日経平均が大幅反発したとはいえ、前日の半値戻しにも届かず自律反発の領域にとどまっているが、外国為替市場の円安方向への揺り戻しを味方につけて、とりあえずリスクオフの流れは堰き止めた。一つ明るい材料としては、石破新政権を評価する方向でテーマ株物色の流れが形成されたこと。つまり、防衛関連株への買いが一気に加速したことが特筆される。今回の組閣人事では解消されたはずの自民党内の派閥抗争の実態が色濃く反映されたものとなったが、注目点はそれ以外にもあった。それは「防衛族で固められた内閣」であること。「軍事オタク」と呼ばれる石破氏は言うまでもなく、防衛大臣に起用された中谷元氏は再登板で元陸上自衛官という筋金入りの防衛族であることは知られている。だが、市場筋は「それ以外でも小野寺政調会長、林官房長官、岩屋外務大臣、浜田衆院議運委員長が防衛大臣経験者、長島首相補佐官は民主党・野田政権時代に防衛副大臣を務めた。防衛という2文字で塗り込められた内閣」(ネット証券マーケットアナリスト)とする。名は体を表すというが、今回の内閣はそのまま政策姿勢を表している、というのである。
前日の相場は拒絶反応が先に立ったが、きょうは内閣の顔ぶれを見て、投資マネーは買いの手掛かりを目ざとく察知したようだ。そうしたなか、何と言っても圧巻だったのが、三菱重工業<7011.T>のパフォーマンスである。防衛省との取引額では群を抜いており、文字通り“リアル防衛関連”の旗艦銘柄といってよい。きょうは、売買代金トップ常連のレーザーテック<6920.T>を押しのけ、断トツの商いをこなしながら大幅高に買われた。更に、値上がり率上位は防衛関連株のオンパレードとなった。値上がり率上位10傑に三井E&S<7003.T>、東京計器<7721.T>、日本製鋼所<5631.T>、川崎重工業<7012.T>、カーリット<4275.T>、新明和工業<7224.T>、そして三菱重と実に7銘柄がランクインしている。
これらは重量級の銘柄が多いが、今後このテーマに波状的に物色の矛先が向くのであれば、中小型の値の軽い銘柄群にも高い確率で投資マネーは波及しそうだ。きょうの値上がり率ベストテンの中ではカーリット<4275.T>が小型で投資指標面からも割安であり、引き続き上値妙味がありそうだ。このほか、防衛関連の常連銘柄であった石川製作所<6208.T>は業績も好調で今期は復配見通しにあり、改めて見直し買いの対象に浮上しそうだ。また、株価3ケタ台で値ごろ感のある重松製作所<7980.T>も今期は営業2割増益見込みで、PERが10倍割れ、PBR0.6倍という安値水準に放置されている。
また、石破新総裁は「防災省」の創設を目指す意向を示している。これも防衛関連の姉妹テーマである防災関連に投資資金を誘導しそうだ。防災分野を中心にクラウド事業を展開するドーン<2303.T>は増収増益トレンドをまい進中で、株価も動意含みだ。
あすのスケジュールでは、9月のマネタリーベース、9月の消費動向調査、9月の財政資金対民間収支、全国証券大会など。また、海外ではポーランド中銀が政策金利を発表し、8月のユーロ圏失業率に注目が集まる。このほか米国では9月のADP全米雇用リポートが開示され、ボウマンFRB理事の講演も予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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