~カラオケとカーブスを分離独立、初のスピンオフで企業価値は一段と向上~
【ポイント】
・2020年2月末に、カーブス事業をスピンオフする。日本初のスピンオフ税制を使った事業の分割独立である。分割前の株主に何ら不利益はない。二社に分割されても、カーブスの株を1:1の同数もらえ、カーブスも上場する。
・腰髙社長は、経営を分けた方が互いの成長力を高められると判断した。分割後のコシダカHD(ホールディングス)は自らが経営し、新しいエンタメ・インフラ企業を作っていく。創業の精神が「既存業種新業態」にあり、新サービスと海外展開で飛躍を目指す。
・3月に新しく独立会社として上場してくるカーブスHDは、これまでの成長を牽引してきた増本社長のリーダーシップのもと、メンズ・カーブスや海外展開で第2の成長を目指す。大株主が腰髙氏であることは変わらない。カラオケとカーブスに事業としてのシナジーは薄かったので、自立的な企業価値創造は一段とおもしろくなろう。
・メンズ・カーブスを見学した。長野県のメンズ・カーブスオギノ茅野店は2018年11月にオープンしたが、会員も400名を超え順調である。1店目が黒字化したので、2店目を昨年12月に大分市に出店した。メンズでビジネスの展開力は大きく高まろう。カーブスは、日本の2000店を含めて、世界の4000店をフランチャイジーとする。日本の会員は現在約86.4万人であるが、150万人を超えて拡大できよう。従来の見方よりパイはかなり大きくなり、フィットネスの新たなビジネスモデルも期待できよう。
・カラオケは、まねきねこブランドの首都圏展開、集客戦略が当たっており、収益性が大きく向上している。AI(人工知能)を活用した新しい楽しみ方なども具体化しよう。海外では、マレーシアの新規出店が好調で、タイに続き、インドネシアの準備も進めている。今後は、内外のカラオケで1000店を目指すという方向へ展開しよう。
・「既存業種新業態」を軸に、既存市場での事業を新業態の仕組みに変えていく。「総合余暇サービス提供企業」をビジョンに、中期的に営業利益は、コシダカHDもカーブスHDも各々営業利益で100億円が十分達成できよう。スピンオフ後も、両社ともROEが高くピーク利益を更新、独自の価値創造を続けよう。両社の革新に大いに注目したい。
目 次
1.特色 「既存業種新業態」の総合余暇サービス提供企業
2.強み 女性専用フィットネスが圧倒的キャッシュカウに成長
3.M&A 米国カーブス総本部の買収でブランドの確保し、周辺ビジネスへ展開
4.スピンオフ カーブスをスピンオフして分離独立
5.カーブスの経営方針 メンズ・カーブスへ多様化し、グローバル市場へ挑戦
6.カラオケの経営方針 成熟市場の開拓に成果、次はグローバル展開へ
7.当面の業績 カラオケ、カーブスとも好調、ピーク利益の更新が続こう
8.企業評価 スピンオフで株主にとっての企業価値は一段と向上
企業レーティング | A |
---|---|
株価 (2020年2月7日) |
1555円 |
時価総額 | 1280億円 (82.3百万株) |
PBR | 3.96倍 |
ROE | 23.0% |
PER | 17.2倍 |
配当利回り | 1.0% |
総資産 | 69866百万円 |
純資産 | 32012百万円 |
自己資本比率 | 45.8% |
BPS | 392.6円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2013.8 | 34515 | 4151 | 4237 | 3072 | 40.5 | 6.3 |
2014.8 | 37720 | 4276 | 4370 | 2423 | 32.0 | 6.9 |
2015.8 | 44257 | 4394 | 4492 | 2098 | 28.2 | 7.5 |
2016.8 | 51170 | 4810 | 4699 | 1900 | 26.2 | 8.0 |
2017.8 | 55283 | 6146 | 6354 | 3255 | 43.6 | 9.0 |
2018.8 | 61771 | 7858 | 8207 | 4426 | 54.4 | 10.0 |
2019.8 | 65840 | 9507 | 9562 | 6226 | 76.6 | 12.0 |
2020.8(予) | 57200 | 8100 | 8100 | 5500 | 67.5 | 12.0 |
2021.8(予) | 48000 | 6000 | 6000 | 4000 | 49.0 | 8.0 |
(2019.11ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りはスピンオフ前ベース。11.8期末に1:400、14.8期末に1:2、2018年5月末で1:4の株式分割を実施。それ以前のEPS、配当は修正ベース。2020.8期はカーブスを2020年2月末でスピンオフした後のベース。
(開示)日本ベル投資研究所は、スピンオフに関する実態と手続きの詳細を分析するために、当社株式を1000株ほど中長期的に所有している。〔アナリストレポートの原則について(詳しくは⇒ こちら)〕
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/kosidaka202002.pdf
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