今週は、米国とイランの対応の落ち着きどころをみること

著者:出島 昇
投稿:2020/01/06 19:14

先週は、年末年始の休日で週始めのみの営業、米国市場は1月1日のみ休場

 先週の日経平均は、12月30日(月)のみの営業でした。年末年始の休場を前に利益確定売りにより先物に売り出て下げ幅を拡大し、下げ渋る場面があったものの、戻りは限定的で大引けにかけて再度、売られ▼181円の23656円の安値引けとなりました。月足では4ヶ月連続の陽線で引けました。

 先週の想定では、新年度の出足は堅調だろうと想定しましたが、日本市場が休日の間のアメリカ市場で中東情勢の悪化から先週末リスク回避のドル安と株安となっています。米株式は30日(月)の週始めは年末を控えた利益確定売りで年初から大きく上昇した銘柄が利益確定で売られ3指標(NYダウは▼183ドル)そろって下落しました。その後は1日(木)をはさんで31日(火)、2日(木)は堅調な戻りとなりました。特に2日(木)は米中対立の緩和の期待が続いているなかで中国人民銀行が預金準備率を0.5%引き下げる発表をしたことを好感し、米株3指標は大幅高(NYダウは△330ドル)となりました。

 ところが2日夜に米国国防総省がイラン革命防衛隊のコッズ部隊の司令官を殺害したと発表し、それに対してイランは報復を宣言したことで中東情勢が緊迫化しました。

 これを受けてNYダウは急反落し下げ幅は一時▼368ドルの28500ドルまで下げ、終値は少し戻して▼233ドルの28634ドルで引けました。為替市場もロンドン市場では1ドル=107.84円までドルが売られ、NY市場では108.06円で引けました。シカゴの日経先物は▼350円の23290円と大きく下げています。

今週は中東情勢の行方をみながら、落ち着きどころを捜したあと反発となるか

 今週は、トランプ大統領によるイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の殺害に対し、イラン最高指導者ハメネイ師はイスラエルと米国に報復の警告をしました。これに対してトランプ大統領は翌日、報復が実行されれば、すぐにイランの52ヶ所に攻撃を加えるとツイッターで述べています。イスラエルは原爆開発にも乗り出している可能性があり、攻撃目標の1つになっているかもしれません。米国の対イランとの戦いが深刻化すれば最高値圏にある米国株はリスク回避からいったん売られ為替もドルが売られ円高が進行する可能性はあります。どう展開するのか分からない以上、今週は様子見が基本といえます。3日のシカゴの日経先物は▼350円の23290円となっていました。今年は大統領選挙の年でトランプは再選するために強い米国を打ち出すためにテロ国家を攻撃し、米国が軍隊を出動させて抑える形をつくる可能性もあります。そういう流れができれば今年は再びテロの年になるかもしれません。

 本日は、先週末のNYダウが▼233ドルだったことを受け、▼336円の23319円で寄り付き、その後も安値圏で推移し、一度も戻りらしい戻りを試すことなく▼451円の23204円と安値引けとなりました。出来高は12億1971万株、売買代金は2兆2246億円となっています。今日の下げの原因は、イラン革命防衛隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害し中東情勢の緊迫化への懸念が強まったことや、ISM製造業指数が10年ぶりの低水準に落ち込んだことなどが嫌気された結果といえます。
 
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(指標)日経平均

 先週の営業は年末年始の長期休日で12月30日(月)のみでした。

 12月30日(月)は、年末年始の休場を前に利益確定売り優勢となりました。▼66円の23770円で寄り付くと先物に売りが出て下げ幅を拡大し、一時、下げ渋る場面もありましたが、戻りは限定的で大引けにかけて再度、売りが出て▼181円の23656円の安値引けで引けました。ただし、月足は4ヶ月連続の陽線で年足も陽線に転じて引けました。

 2日(木)の夜、米国国防総省がイラン革命防衛隊の司令官を殺害したと発表し、イランも報復すると宣言し中東情勢が悪化しました。そのため3日(金)のアメリカ市場は、NYダウは一時▼368ドルの28500ドルまで下げて終値は▼233ドルの28634ドルとなり、為替も一時108円を切るドル売りとなりました。シカゴの日経先物は▼350円の23290円となっています。

 今週は、週始めは中東情勢の悪化を意識した動きとなりそうです。トランプ大統領の指示でイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害しましたが、これに対して最高指導者ハメネイ師は厳しい報復を宣言し、イスラエルと米国に対する抵抗が倍増すると警告しました。局地戦の報復ならば相場にはそれほど影響はありませんが、社会に大きな影響を与えるテロが起きた時は、原油高、ドル売りとなりどうなるかわかりません。2020年の懸念材料にテロを挙げる人も多くおり、トランプ大統領の政策が危険な方向に進み出した可能性もあります。今週は中東情勢をまず見極めるところです。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、年内(週前半)は、投資家が休暇に入っており閑散取引となるが、1月1日は休場で2日からは出来高も回復してくるとし、ただし、12月期決算を控えており、業績修正の発表が出やすい時期なので要注意ともしました。

 結果的には、週始めは利益確定で大きく売られたものの、その後は1日(水)の休日をはさんで戻りを試す動きとなり、3日は中国人民銀行による0.5%の利下げ発表があり、これを好感してNYダウは△330ドルの28868ドルの上昇となりました。しかし、週末はアメリカによるイランの革命防衛隊の司令官を殺害したことで中東情勢が悪化し、NYダウは一時▼368ドル、為替は108円を一時割り込みました。

 今週の米株式は、3指標とも最高値圏にあるだけに注意が必要です。トランプ大統領によるイラン革命防衛隊の司令官の殺害措置に対し、イランの最高指導者のハメネイ師が報復を宣言したことで、さらにその報復宣言に対して昨日トランプ大統領が実行されればイランの52の場所を直ちに攻撃すると反発しました。今週は米・イランの対立がどこまで深まるか落ち着きどころをさぐる展開となりそうです。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、ドル買い要因としては米中通商協議で両首脳による合意への署名が確実視されていることからドルはしっかり、一方で年明けに発表される経済指標は予想を下回る見方が多いことからドル売り要因であり、そうなるとこう着状態の可能性があるとしました。

 結果的には、週半ばまではもみあっていましたが、後半になると中東情勢の悪化と12月ISM製造業指数が10年ぶりの低水準となったことで、ドルが一時108円を割る動きとなり、引け値では108.06円でした。

 今週は、引き続き米国とイランの対立がどこまで深まるのか場合によってはテロ攻撃とアメリカのイランへの52ヶ所への攻撃の可能性もあり、リスク回避のドル売りが継続する可能性もあります。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム