■コスモ・バイオ<3386>の事業概要
1. 研究用試薬が主力
2018年12月期の売上構成比は研究用試薬が71.8%、機器が26.2%、臨床検査薬が1.9%だった。過去5期間の売上構成比に大きな変動はない。
試薬とは、実験・研究・測定のために使われる薬剤である。化学物質以外にも、生物の体内から取り出した成分(タンパク質、細胞、核酸等)や、それを反応させるための溶液など、多種多様な試薬がある。そしてライフサイエンス研究は広範囲に様々な分野で研究が行われ、研究者一人ひとりが、それぞれ異なったテーマで研究を行っている。したがって多様な顧客ニーズに応えるためには、多種多様な試薬・技術情報・サービスが必要となる。
このため取扱品目は、タンパク質研究用試薬(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体等)、遺伝子研究用試薬(制限酵素、核酸、遺伝子検出用試薬等)、組織培養研究用試薬(培地、培養システム・器具等)、その他バイオ研究用試薬(ペプチド、ウイルス、細菌等)、バイオ研究用機器(細胞・遺伝子操作機器、分離・精製機器、培養機器等)、創薬支援・受託サービス(ペプチド合成・抗体作製等)、臨床検査薬(血液・血清試薬、細菌検査試薬、病理・組織検査試薬等)と幅広い。
ライフサイエンス研究用試薬の国内市場規模は、主に大学・公的研究機関の公的研究費及び企業の研究開発費で構成され、推定1,000億円程度で推移している。市場シェアは、海外企業の日本法人であるサーモフィッシャーサイエンティフィック(株)、イルミナ(株)、シグマアルドリッチジャパン(同)、大手企業の子会社・部門である富士フイルム和光純薬(株)(旧和光純薬工業(株))、タカラバイオ<4974>、独立系専門商社であるフナコシ(株)、及び同社の7社で市場全体の約3分の2を占めている。
2. 強み
グローバルネットワーク、メーカー機能、業界最大級の品ぞろえなどを強みとして、最先端・高品質の製品や最新の技術情報でライフサイエンス研究者にサービスを提供している。
仕入面は全世界に約600社(うち海外が400社以上)のグローバルネットワークを構築し、販売面は国内で全国をカバーする約200拠点の販売代理店網を構築している。
グループ内にメーカー機能を持っていることも強みである。仕入れで充足できないニーズに対して「自ら作る、サービスを提供する」ことで、最新の製品・技術情報及びソリューションを提供する。初代培養細胞(プライマリーセル)の研究開発・製造・販売及び細胞を用いた受託解析を行うプライマリーセルを2006年12月連結子会社化、2013年7月吸収合併(現札幌事業所)した。さらに2017年10月には、ペプチド合成・抗体作製受託サービス事業の強化、研究用試薬の自社開発・製造及び受託サービス事業の強化を目的として、札幌事業所(北海道小樽市)を開設した。
細胞製造やペプチド合成などのメーカー機能を持ち、自社ブランド製品を含めて、多様な顧客ニーズに対応する業界最大級の約1,500万品目の豊富な品ぞろえで、抗体分野を中心に多種多様な製品・技術情報・サービスをワンストップで提供している。膨大な製品ラインアップの中から、研究者にとって有用な製品を選び出し、タイムリーに提供する「製品・サービスとユーザーのマッチング」ノウハウも強みである。
在庫管理については、売れ筋製品を在庫として持ち、出荷頻度の小さい製品を受注状況に応じて仕入先から取り寄せている。更なる在庫適正化を図るため、売上データのより詳細な解析を推進している。また、製品カタログ発行費用や管理コストの削減、製品・サービス情報の随時更新・鮮度向上に向けて、2018年9月にWeb製品検索システムをリニューアル稼働した。
3. 子会社の状況
連結子会社のビーエム機器(出資比率約63%)は、ライフサイエンス研究に使用する消耗器材・機器類の輸入販売を行っている。
連結子会社のCBU(出資比率100%、2018年12月期から連結開始)は、北米を中心に新規製品・仕入先の探索及び仕入販売・販売促進を行っている。2019年1月にはグループ全体の海外業務体制を変更した。同社本体の海外営業部を廃止し、CBUが北米を中心とした新規製品・仕入先の探索を行うほか、日本以外の全世界向け販売(同社本体の輸出品、CBU独自の仕入・販売)を担当する。
非連結子会社のプロテインテック・ジャパンは、米国PGI と合弁(出資比率は同社51%、米国PGI49%)で2016年11月設立した。日本におけるPGI製品のプロモーションやテクニカルサポート等を通じてPGI製品の拡販を推進している。
また2015年9月には組織培養用培地のパイオニアであるコージンバイオ(株)に出資、2018年4月には創薬ベンチャーのファイメクス(株)に出資、2019年4月にはペプチド創薬支援で業務提携している創薬ベンチャーのメスキュージェナシス(株)に出資している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 研究用試薬が主力
2018年12月期の売上構成比は研究用試薬が71.8%、機器が26.2%、臨床検査薬が1.9%だった。過去5期間の売上構成比に大きな変動はない。
試薬とは、実験・研究・測定のために使われる薬剤である。化学物質以外にも、生物の体内から取り出した成分(タンパク質、細胞、核酸等)や、それを反応させるための溶液など、多種多様な試薬がある。そしてライフサイエンス研究は広範囲に様々な分野で研究が行われ、研究者一人ひとりが、それぞれ異なったテーマで研究を行っている。したがって多様な顧客ニーズに応えるためには、多種多様な試薬・技術情報・サービスが必要となる。
このため取扱品目は、タンパク質研究用試薬(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体等)、遺伝子研究用試薬(制限酵素、核酸、遺伝子検出用試薬等)、組織培養研究用試薬(培地、培養システム・器具等)、その他バイオ研究用試薬(ペプチド、ウイルス、細菌等)、バイオ研究用機器(細胞・遺伝子操作機器、分離・精製機器、培養機器等)、創薬支援・受託サービス(ペプチド合成・抗体作製等)、臨床検査薬(血液・血清試薬、細菌検査試薬、病理・組織検査試薬等)と幅広い。
ライフサイエンス研究用試薬の国内市場規模は、主に大学・公的研究機関の公的研究費及び企業の研究開発費で構成され、推定1,000億円程度で推移している。市場シェアは、海外企業の日本法人であるサーモフィッシャーサイエンティフィック(株)、イルミナ(株)、シグマアルドリッチジャパン(同)、大手企業の子会社・部門である富士フイルム和光純薬(株)(旧和光純薬工業(株))、タカラバイオ<4974>、独立系専門商社であるフナコシ(株)、及び同社の7社で市場全体の約3分の2を占めている。
2. 強み
グローバルネットワーク、メーカー機能、業界最大級の品ぞろえなどを強みとして、最先端・高品質の製品や最新の技術情報でライフサイエンス研究者にサービスを提供している。
仕入面は全世界に約600社(うち海外が400社以上)のグローバルネットワークを構築し、販売面は国内で全国をカバーする約200拠点の販売代理店網を構築している。
グループ内にメーカー機能を持っていることも強みである。仕入れで充足できないニーズに対して「自ら作る、サービスを提供する」ことで、最新の製品・技術情報及びソリューションを提供する。初代培養細胞(プライマリーセル)の研究開発・製造・販売及び細胞を用いた受託解析を行うプライマリーセルを2006年12月連結子会社化、2013年7月吸収合併(現札幌事業所)した。さらに2017年10月には、ペプチド合成・抗体作製受託サービス事業の強化、研究用試薬の自社開発・製造及び受託サービス事業の強化を目的として、札幌事業所(北海道小樽市)を開設した。
細胞製造やペプチド合成などのメーカー機能を持ち、自社ブランド製品を含めて、多様な顧客ニーズに対応する業界最大級の約1,500万品目の豊富な品ぞろえで、抗体分野を中心に多種多様な製品・技術情報・サービスをワンストップで提供している。膨大な製品ラインアップの中から、研究者にとって有用な製品を選び出し、タイムリーに提供する「製品・サービスとユーザーのマッチング」ノウハウも強みである。
在庫管理については、売れ筋製品を在庫として持ち、出荷頻度の小さい製品を受注状況に応じて仕入先から取り寄せている。更なる在庫適正化を図るため、売上データのより詳細な解析を推進している。また、製品カタログ発行費用や管理コストの削減、製品・サービス情報の随時更新・鮮度向上に向けて、2018年9月にWeb製品検索システムをリニューアル稼働した。
3. 子会社の状況
連結子会社のビーエム機器(出資比率約63%)は、ライフサイエンス研究に使用する消耗器材・機器類の輸入販売を行っている。
連結子会社のCBU(出資比率100%、2018年12月期から連結開始)は、北米を中心に新規製品・仕入先の探索及び仕入販売・販売促進を行っている。2019年1月にはグループ全体の海外業務体制を変更した。同社本体の海外営業部を廃止し、CBUが北米を中心とした新規製品・仕入先の探索を行うほか、日本以外の全世界向け販売(同社本体の輸出品、CBU独自の仕入・販売)を担当する。
非連結子会社のプロテインテック・ジャパンは、米国PGI と合弁(出資比率は同社51%、米国PGI49%)で2016年11月設立した。日本におけるPGI製品のプロモーションやテクニカルサポート等を通じてPGI製品の拡販を推進している。
また2015年9月には組織培養用培地のパイオニアであるコージンバイオ(株)に出資、2018年4月には創薬ベンチャーのファイメクス(株)に出資、2019年4月にはペプチド創薬支援で業務提携している創薬ベンチャーのメスキュージェナシス(株)に出資している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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