テクノスデータサイエンス・エンジニアリング、通期は大幅な増収増益 売上・利益とも過去最高に
経営ビジョン
城谷直彦氏:テクノスデータサイエンス・エンジニアリング株式会社の2018年度決算概要および今後の成長戦略について、お話をさせていただきたいと思います。本日はよろしくお願いします。
まず、当社の経営ビジョンですが、「新しい価値を創造し、変化をもたらす次世代のチャレンジャー」ということで「Next Generation Challenger」を掲げています。
東京証券取引所マザーズ市場への上場
昨年12月18日の東京証券取引所マザーズ市場への上場風景です。
株主構成(3月31日現在)
3月31日現在の株主名上位5位となります。ここでは、上場前はテクノスジャパンの子会社であった当社が、現在は子会社ではなく持ち分法適用会社からも外れた点をお伝えします。
会社概要
まず、会社概要および事業内容です。会社名はテクノスデータサイエンス・エンジニアリング株式会社で、代表者が私、城谷直彦です。所在地が新宿区のオペラシティタワー27階。資本金が8億3,318万円で、設立日が2013年10月17日です。
ビッグデータ・ソリューションということで、中国4,000年の歴史の算命学で分析したところ、10月17日が一番いい日ということで、設立日をその日にしました。
上場情報ですが、東京証券取引所マザーズ市場で、証券コードは7046です。上場日が2018年12月18日。事業としては、データ経営を目指す企業向けにデータ経営診断・データ解析・AI製品構築がメインとなっています。役職員は、現時点で114名です。
経営方針 【Triple C+C】
経営方針は「Triple C+C」です。当社がビジネスを進めていくうえで、まずはコンプライアンスを大事にする。その次にCSRを大事する。この2つが土台の当社の強みが、豊富な解析技術、国内最高峰のデータサイエンティスト集団、また協業のネットワークです。それら3つがトリプルCです。
プラスCとは、社員が新たな価値を見出す創造性を大切にするということで、「Creating New Values」のことで、これらをあわせて「Triple C+C」としています。
ビジネス沿革
ビジネスの沿革についてですが、2013年に会社を設立しました。その年に早稲田大学とAIの共同研究に入り、2014年にはシリコンバレー発のAI製品「Netbase」を持ち込んで提供を開始しました。2015年には自社AI製品「Scorobo」シリーズの提供等を開始し、2015年に日本マイクロソフト、セールスフォースとIoTの業務提携を行いました。
2016年にはフィスコとFinTechで業務提携しました。また、テレビ東京に「先読みAI」などを使っていただいた時期もあります。2017年にはエヌビディアと協業を開始し、同時に東京電力パワーグリッドとAIの共同研究開発を始めました。2018年にはドイツのAIベンチャーであるCOGNIGYと業務提携を行い、東大のHAIT(人工知能開発学生団体)発ベンチャー企業である株式会社STANDARDと業務提携を行いました。
2019年にはDataRobotとパートナー契約を締結し、現地で日経CNBCの番組に当社AIサービスを提供させていただいています。また、SKIYAKIとファンマーケティング分野での協業も開始しています。
資本金の推移ですが、2013年が5,000万円でした。2017年にはNTTデータ、あいおいニッセイ同和損保とも資本業務提携を行いまして、資本金は5億5,350万円となりました。また2018年にはマザーズに上場させていただき、資本金が8億3,318万円となりました。
事業全体像
事業の全体像ですが、ビジネスモデルが2つあります。1つ目が、フロー型。2つ目が、ストック型です。フロー型はビッグデータ・AIソリューションサービスということで、データ経営コンサルティングとして、データ解析支援・人材育成および組織組成支援・デジタル戦略・システム構築をやらせていただいています。
ストック型では、AI製品等によるサブスクリプションサービスを行っています。自社製品「scorobo」等を活用したサービスや、他社・海外のAI製品等を活用したサービスです。
自社ブランド「scorobo」を活用したサブスクリプションサービス
自社ブランド「scorobo」を活用したサブスクリプションサービスですが、どういう所で提供させていただいているかについてです。デジタルマーケティング、金融、健康医療、社会インフラ、製造・工場などに、それぞれ「scorobo for Marketing」など、いろいろな名前を付けさせていただき、実際に一部利用いただいています。
海外の先進AI製品を活用したサブスクリプションサービス
海外の先進AI製品を活用したサブスクリプションサービスについてです。先ほどお話ししたアメリカのシリコンバレー発のNetbaseは、Twitter、Facebook、InstagramなどのSNS上にあるテキスト・画像をリアルタイムに解析するAI製品で、50言語に対応させていただいています。
また「Cognigy」はドイツ発ですが、実際はシリコンバレーから持ち込みました。音声アシスタント等の対話サービスにおいて、自動応答機能を提供するAI製品となります。こちらは15言語に対応しています。
いろいろなAI製品があるなかで、シリコンバレーでどういうものが流行っているのか、どういうものが開発されているのか、当社では調査の人間を置いていますので、こういうものも早急に日本へ持ち込んでいます。
決算説明サマリー
決算説明サマリーですが、売上・利益、株主還元、成長戦略について、これから説明させていただきたいと思います。
2018年度主要業績
2018年度業績を説明します。まず、会社を始めた2013年10月17日から、会社設立後の数字の推移を見ていただいています。2018年度は、前年対比で売上が132パーセント強、営業利益が338パーセント強、経常利益も非常に伸び、当期純利益も伸びています。
2018年度売上分布①
2018年度の売上分布です。業種と業務に分けさせていただきましたが、業種に関して、30パーセントは金融業のお客さまで、29パーセントがサービス業、18パーセントが製造業です。あとはIT業、国・公共の部分を少し取り組んでいます。
業務内容は、CRM関連が39パーセント、与信が15パーセント、ヘルスケアが10パーセントです。そして、保険サービスが9パーセント、機器運用が8パーセントで、教育も少しですが、6パーセントぐらいを占めています。
2018年度売上分布②
こちらは、当社の新規と既存の売上比率と、先ほどからお話ししているフローとストックの売上比率です。2018年度ですが、既存ユーザーが88パーセントを占めており、新規が12パーセントです。
どうして既存ユーザーが多いのかについてです。1度、お客さまのなかで、AIプロジェクトコンサルを行うと、そのお客さまと一緒に1年、2年、3年と取り組むため、AIプロジェクトは短期で終了することはほとんどありません。次々に課題が出てきますので、既存ユーザーが増えています。
そして、フローとストックについてです。フローは、コンサルティングや分析を通じてお客さまの課題を解決していくビジネスです。これは労働集約型です。ストックは知識集約型ビジネスで、製品を作ったり、海外の製品を持ち込んで、それをうまく使っていただいて、ロイヤリティビジネスとして毎月いくらかいただくビジネスです。でも、昨年はフロービジネスの93パーセントに対して、ストックビジネスは7パーセントしかありません。
2018年度のトピックス①
2018年度のトピックスについてです。NTTデータ、あいおいニッセイ同和損保との資本業務提携を行い、当社とWIN-WINの関係を構築して仕事を行っています。
あいおいニッセイ同和損保の場合、その中でいろいろな課題が出ていますので、それを当社が解決しています。NTTデータの場合、当社が下請けをするのではなく、NTTデータで対応できていないお客さまを当社がいろいろお手伝いして、分析などをやらせていただいています。NTTデータおよびあいおいニッセイ同和損保との関係は、引き続き強化していきたいと考えています。
日本たばこ産業についてですが、データ経営支援ということで、いろいろと社内で悩まれていることに対して、ビッグデータの解析支援を通じて、参画メンバーの意識改革や業務改善に貢献させていただきました。
いろいろな企業からオファーをいただいているのですが、当社の現状の人員からすると、次から次へと新規を手がけるのは、まだ難しいところがあると考えています。
2018年度のトピックス②
科学技術振興機構(JST)が進めるIMPACTプログラムへも、1年以上にわたって参加してきました。どういうプロジェクトかと言いますと、要介護者の自立度を高め、介護者負担を激減させる、人とロボットの融合支援技術を研究開発して、生活支援のインフラ化・社会実装に挑戦していくものです。
責任者の方は、筑波大学の山海教授で、サイバーダインの社長でもあります。その中で当社は、GPUを活かした高頻度大容量データ解析モジュールとして、製造業・金融業で展開できるようなものということで、NVIDIAのGPU上で解析可能とする多次元相関アルゴリズムを、このプロジェクトの中で提供させていただきました。
そして、東京電力パワーグリッド社についてですが、これは東京電力のメンテナンス会社です。架線画像検査システムということで、すでに本稼働して使っていただいていますが、東京電力パワーグリッドと共同研究を行ったものです。山の中に架線がたくさん走っていますが、その架線を作業員がヘリコプターでVTRに撮ったりします。
架線のどこが故障しているのかを見るのですが、今までは目で検査されていました。それを今回、AIによる検査にしたところ、精度が向上し、作業時間も50パーセント短縮を図れる見通しで、実際はほぼ50パーセント以上の工数が短縮できるという報告を受けています。ですから、2019年度には70~80パーセントの工数短縮になるかもしれません。
このスライドの絵を見ていただくとわかりますが、ヘリコプターやドローンで撮影した架線を、AI……とくに画像解析・ディープラーニングを通して、故障予知を行ったり、故障箇所を見つけていくということです。
この技術は、今後どんどんストック型になっていこうとしているのですが、他の電力会社からも問い合わせが来ていますし、橋梁、ビル、鉄塔といったいろいろな社会インフラの点検にも応用できますので、この技術をどんどん展開していきたいと考えています。
2018年度のトピックス③
日経CNBCと、SNS分析AIによるリアルタイムモニターサービスの実現についてです。2017年11月6日に、米国の中間選挙がありました。その中間選挙において、米国だけでなく、世界のネットユーザーの意識や世代間ギャップをリアルタイムで解析して、それぞれの思考分析をAIで直感的に見せるということで、当社の仕組みを持ち込んで、実際に生放送で提供させていただきました。
また、2018年5月9日ですが、株式市場の取引時間に発表されるトヨタの決算について、Twitter等を情報源とするビッグデータ分析をリアルタイムで行い、場中に発表されるトヨタ株価の関係性についてリアルタイムで検証する取り組みを行いました。
これらを日経CNBCと取り組んだところ、当社のAIサービスが非常にいいということが認められ、今年の1月より日経CNBCの番組でのリアルモニタリングサービス「トレンドAI」が開始され、実際に番組で使っていただいています。毎日の株価がどうなるのかなどが番組に出ていると思います。
次に、先日新聞に載っていたのですが、日本経済新聞社に協力し、SNSから「人工知能(AI)」に関する市場分析ということで、2017年4月~2019年3月までの2年にわたるSNSデータを用いて調査をやらせていただきました。
その結果が5月27日の朝刊9面に大きく載っていましたが、「AIブームが落ち着き、実際の利用に関心が移った」という記事が大きく出ていました。
そして、SNS分析サービスの顧客拡大ということで、スライドにあるようなJAL、読売テレビ、TOTO、三井住友FG、スカパーなど、いろいろな企業……自動車メーカーは名前を出さないでほしいということで、日本の大手自動車メーカー2社に導入いただいていますが、SNS分析サービスの導入企業としては合計70社ぐらいとなります。
2018年度のトピックス④
マザーズに上場されているSKIYAKIという企業が、総会員数270万人をお持ちのファンサイトを運営されているのですが、エンタメ業界のファンマーケティングサービス「bitfan analysis」を作っていきましょうということで、今年の3月からお互いに開発中です。
ファンの行動履歴や熱量をもとにして、(ファンクラブ等への)入会を促進したり、売上を増加させたり、退会抑止が実現できるもので、ファンの需要を正確に把握できたり、ファンの熱量を向上させることができます。
ファンの熱量でbitがどんどん増え、ファンがそのbitをレストランに持っていくとbitで食事ができたりするようになるのですが、まずは各ファンの方に喜んでサービスを使っていただき、クリックしていただいたら1回につき100円や200円が(アーティストや芸能事務所に)入るというもので、「1回のクリック×金額」になります。最初に270万人のすべての方が使うわけではないですが、最低でも何十万人という方に使っていただけるかもしれず、そういう仕組みで現在作っています。
そして、サービスを使っていただくと、ロイヤリティ使用料収入が(SKIYAKIと当社に)入ってくるという仕組みです。これを今年の10月から利用いただくこととなっています。
2018年度のトピックス⑤
そして、ドイツのCOGNIGYとの提携ですが、対話型AI製品の提供を開始しました。
この対話型AI製品はCognigyというもので、当社がグローバル販売代理店になりました。どういうものかというと、最先端の自然言語処理と自然言語理解の技術を持っています。
欧州の自動車メーカーのコマーシャルでも流れていますが、もう実際に使われており、リアルタイムでナビと会話をしたりできます。これを開発した人は、(Amazonの)Alexaを開発した人で、その人が独立してこういうものを作っています。当社はアジア全体の代理店となり、今後は日本、アジアに展開していこうとしています。
これもサブスクリプションモデルで、当社はプラットフォーム上にいろいろなAI製品を載せて、いろいろなところで使っていただこうと考えています。
当社コア・コンピタンスの強化
当社のコア・コンピタンスの強化ということで、当社の強みですが、技術力、人材面、ビジネス面の3つがあります。
国内最高峰のデータサイエンティスト集団
当社の技術者ですが、国内最高峰のデータサイエンティスト集団だと自負しています。現在は73名がおり、理系修士以上が67名、後期終了・博士が45名です。出身研究所では、世界で一番有名なスイスのジュネーヴの欧州原子核研究機構をはじめ、シカゴのフェルミ国立加速器研究所、日本の理化学研究所、JAXA、東京大学宇宙線研究所等で、そうした技術者が多数いるのが当社の強みだと思います。
解析技術ライブラリー増強と活用について
当社は設立して5年半ぐらいですが、そのなかで労働集約型のビジネスで培った情報をもとに、モジュールライブラリーを作っています。例えば、数学のアルゴリズムをモジュールにして、ライブラリー化しており、約300件くらいのアルゴリズムのモジュールができあがっています。
そのライブラリーをどのように使っていくかについてです。フロー型ビジネスにおいては、今までお客さまのところに行って、新たに数学的なものを考えていかなければいけなかったものが、ライブラリーで検索してすぐに対応できるということで、生産効率を上げるような使い方ができます。
もう1点は、ストック型ビジネスに用いたいと考えています。そのモジュールを「scorobo」シリーズで使うということで、ストック型でお客さまが使えるものであれば、ロイヤリティビジネスとして使っていただければと考えています。
協業ネットワーク体制強化について
協業ネットワーク体制についてです。国内外のAIベンチャー企業では、COGNIGY、NETBASE、STANDARDなどです。STANDARDは学生運営する会社で、学生に対してAI教育を行っています。まだ小さい会社のため対象の学校は限定されますが、東大、東工大、早稲田、慶應の学生たちに対してAI教育をされているということです。
そのなかで、一部の優秀な学生に対して、まずは当社にインターンとして来ていただいて、いろいろと技術的に教育して、そこから当社に来たい人には来ていただいたり、他社へ行きたい人は行っていただくなどしています。そうしたAI教育を行っている会社です。
またビッグデータの協業企業は、Microsoft、Amazon、SASなど、いろいろなところと協業させていただいています。また政府や大学、団体としては、先ほどお話しした早稲田大学や筑波大学は一緒に研究開発を行っていますし、科学技術振興機構とも一緒にプロジェクトに取り組ませていただいています。
2018年度株主還元政策
2018年度の株主還元政策です。2017年度は5円でしたので、2018年度は記念配当5円を上乗せして10円としています。大した金額ではないですが、利益も出ましたので、株主さまに少しでも還元したいということで、10円を配当します。
AIビジネス市場について①
AIビジネスの事業環境についてです。スライドのグラフは、株式会社富士キメラ総研が2019年に発表された数字ですが、右肩上がりで急成長することがわかります。
(グラフの青い部分の)サービス市場というのは、当社が取り組んでいる市場です。それに付随する市場ということで、アプリケーション市場、プラットフォーム市場で色が分かれています。サービス構築フェーズがいかに大きな市場となりえるか理解できると思います。
AIビジネス市場について②
グラフではなく、数字で表すとこのスライドに記載のとおりとなります。
中期ビジネス戦略
今日、本当にお話をさせていただきたいのが、今後の当社の成長戦略です。中期ビジネス戦略ということですが、フロー型ビジネスからの転換を図れるよう、フロー型からストック型、サブスクリプションサービス強化に比重を高めていかないといけませんし、製品開発もどんどん進めていかなければなりません。
まずは、製品開発の強化をどんどん進めていくなかで、共創体制ということで、一緒に研究をやらなければならないところとはうまくお付き合いします。また、人材育成もやらなければいけないということで、今年度は教育にも投資をしていきたいと思っています。
組織強化とタスクフォース実行
組織強化とタスクフォースの実行ということで、モジュール開発、アライアンス強化、人材強化、先進技術のR&D、ビジネスアイデア企画を推進して、それによって成長戦略を考えていきます。
サブスクリプションサービス強化の考え方
サブスクリプションサービス強化の考え方についてですが、創業から当社が培ってきたAI技術で、例えば故障検知予兆や離職予測、スコアリング、与信管理、画像認識など、300種類近くあるものをライブラリー化したモジュールと、NETBASEやCOGNIGYなど、他社のAI製品をうまく組み合わせて1つの製品にしていきたいという考え方です。実際に、製品としてできあがっているものもあります。
当社には、そうしたAIコンテンツや考え方はたくさんあるのですが、会社自身にデータがありません。ですから、大量にデータを保有している企業との連携によって、AI製品やモジュールを企画開発して、一緒にサブスクリプションサービスを展開していかないといけません。
先ほどお話ししたように、東京電力、SKIYAKIなど、そうしたデータをお持ちのところと一緒に組みながら製品開発して、ロイヤリティビジネスを展開していかないといけないと考えています。
サブスクリプションサービス強化にむけた取組①
1つ目が、SKIYAKIとの業務提携を通じて提供する、エンタメ業界初のサービスということで、「bitfan analysis」を開発中で、今年の10月から各ファンの方たちに提供していこうと考えています。
2つ目が、Cognigyに搭載する顧客応対やヘルプデスクに活用するFAQ辞書の生成AIを開発しています。サービス開発を行う協業先と最終調整中で、7月に決定し、進んでいきます。
3つ目が、ペットヘルスケアサービスです。これは社内で企画したのですが、イヌやネコの排泄物から動物の健康状態を把握するAIエンジンを開発しています。獣医ネットワークや協業パートナーともいろいろと調整しています。
例えば、イヌを散歩させたときに排泄物が出たら、スマートフォンでそれを写真に撮っていただき、AIが健康状態を把握できるというものです。健康状態が悪いと思えば、獣医さんにそれを持って行って診ていただきます。10月には協業企業との合意も進み、サービスに向けた企画が決定すると思っています。
そして4つ目が、「scorobo for Fintech」です。これは、ファンド開発を視野に入れて取り組んでいます。複数の金融機関と「ファンドを構築しましょう」ということで、今後の株価や経済指標の傾向を、当社のAIをアナリストやファンドマネジャーの支援ツールとして活かし、ファンドを立てることを予定しています。複数の金融機関と協議しており、ファンド、それのもとになる指数を作っていきたいと考えています。
サブスクリプションサービス強化にむけた取組②
5つ目が、金融機関向けの優良見込み客を見極めるマーケティングエンジンの開発・展開です。例えばクレジットカード顧客の行動分析を行い、他製品への勧奨をAIが実施していく製品を開発しています。
6つ目が、大手サービス業へのディープラーニング技術を用いた次世代事務効率化エンジンを開発・検証中ということで、10月に製品を発表します。例えば、大手企業で、見積書や請求書などいろいろなパターンの伝票が来たときに、合計金額や単価などがどこに載っているのかをすべてAIが判断して、うまくコントロールしてしまうというAI製品です。AIでどんなパターンの伝票も読み込んで理解するため、伝票をパターン化しなくてもよくなります。
7つ目が、ディープラーニングの技術を活用した事例研究を、毎月テーマを選定して調査研究するタスクチームがあり、ディープラーニングをとことん研究しています。それも、相当な人数を投じています。
その成果として、例えば東京電力パワーグリッドとの取り組みです。当社が受注して、共同研究ができたのも、彼らタスクチームの研究テーマを東京電力パワーグリッドにお見せして、「非常にいい取り組みだ」ということで、設備保全ソリューションへと展開しています。
8つ目が、HR-techです。新卒採用、離職抑制、ハラスメント予測など、人事業務用のソリューションを展開しています。過去のデータやSNSのデータを取り込んで分析しています。
例えば学生さんは「この企業は◯◯だよね」といったことをSNSでシェアされると思いますので、それらをAIが判断して(新卒採用に活かして)いきます。また離職に関しても、何万人もいる企業であれば、「もうこの企業はだめだね」など、いろいろなことを言ってる人がいると思いますので、そうした情報を取り入れて、いかに辞めるのを抑えていくかに活用できます。さらには、ハラスメント予測にも活かすことができます。そうしたAIを上期中に発表できる見通しです。これを実現するにはデータが必要ですので、従業員が何万人もいる企業と一緒に取り組んでいます。
共創体制の強化
共創体制の強化ということで、これはアライアンス連携です。1つ目が、DataRobotと取り組んでいるものです。これはアメリカの会社ですが、フロー型で、AI人材育成サービスの強化ということで、このAIを使っているお客さんの課題を分析するのに、非常にすばらしいツールです。
NTTデータとの連携強化についてです。これはフロー型とストック型の両方があるのですが、NTTデータにも当社のAI製品を使っていただいています。
3つ目が、Cognigyの販売に向けた企業連携です。当社はアジアの販売代理店になりましたので、その2次店と言いますか、仕入れた製品をどんどん広めていただくSIerと連携して売っていただこうと考えています。「ぜひ、一緒にやらせていただきたい」という大手SIerも1~2社ほど出てきています。
4つ目が、新たな共創先の発掘で、ビジネスが大きくなる、シナジーが生まれる企業との連携です。とくにデータをお持ちの企業さまと一緒に取り組みたいということです。今後は、お互いにどういう製品を作って市場に出せば、お互いがWIN-WINの関係で、ストックビジネスとしてロイヤリティをいただけるかを考えていきます。
人材育成の推進・事業基盤の強化
「人材育成の推進・事業基盤の強化」ということですが、まずは学生のAIエンジニア教育です。東大HAITというところを中心に、学生さんを当社のインターンシップとして受け入れて、いろいろと教育していきます。
次に、AI人材を目指す社会人教育についてです。早稲田大学社会人教育プログラム「WASEDA-NEO」に、AIビジネスマネジャーとAIエンジニア講座を提供します。つまり、社会人にAIの教育を行っていきます。
3つ目です。「AI、AI」と言われているなかで、ベンチャー企業ばかりがAIに取り組んでいるのですが、日本には大手SIerがたくさんあり、SIerの中でもAI人材を育てていかないといけません。そうでないと、当社の市場も大きくならないため、SIer向けにAI教育プログラムを展開しています。
実際に何社かに受けていただいており、実際にお付き合いしているところもあります。大手メーカーさんからも「300人、教育してください」というお話をいただいています。
4つ目が、産学連携で進めるAI教育ということで、データサイエンスという学部をお持ちの大学と連携して、学生の教育を進めています。
2019年度業績予想について
2019年度の業績予想です。この前、あくまで予想として発表したのですが、「株価がかなり下がっている」ということで、いろいろな株主様からご意見をいただいております。
2018年度は営業利益が約2億円でしたが、2019年度の予想として7,000万円という発表をしたところ、株価が大幅に下がりました。しかし、先ほどお話しした成長戦略等を理解していただくことが成長に結びつくので、ご理解いただきたいと思います。
2019年度AI人材ポートフォリオと売上高に関する考え方(概算)
2018年度では80名の技術者がおり、75名がプロジェクト要員で、いわゆるフロー型、労働集約型のビジネスに対応していました。そして5名が研究などに取り組んできました。
このまま人数が増えれば増えるだけ売上収益は右肩上がりになりが、飛躍的な向上は見込めません。上場する際に3カ年計画を発表し、その時の2018年度の利益は1.3億円強を予想していたのですが、最終着地点は約2億円になりました。また、当初の発表では、2019年の利益を2億円としていましたが、現段階では7,000万円としています。
その理由についてです。2019年度、プロジェクト要員は昨年と同じく75名で進めて売上を伸ばしましょうと考えました。ライブラリの活用など、いろいろと生産効率を向上させて売上を伸ばします。ただし、研究開発やマネジメント要員は10名増やします。それだけでも相当なコストを使ってしまうということなのです。
スライドの右側の2019年度(成長戦略を実行しなかった場合)と書いてあるところですが、研究開発を2018年度と同じく、フロー型ビジネス中心で進めていくと……次のページをご覧ください。
2019年度成長戦略にかかる投資と利益に関する考え方(概算)
お話ししたように、成長戦略を加速せずに従来型ビジネスを遂行した場合、2019年度の利益は2億円です。ただ、2018年度が約2億円の利益でしたので、2億円以上の利益が出るかもしれません。しかし、さらに2〜3年後の大幅な売上・利益成長を実現させるには、今年度は投資をさせていただきたいと思います。製品開発やサービス開発で7,000万円、また戦略商品の仕入や人材教育などにも投資して、合計で昨年との比較で、1.3億円の投資増額を行います。
先日発表した短信の内容としては、ここの説明を十分できなかったため、市場は大きく反応したと思われますが、今期・来期の成長戦略の実行状況を見れば、そこまで悲観的にはならなくてもよいことがわかります。
AI製品、AI企業は、このように投資していかないと伸びていきません。労働集約型では、過去のSIerと同じで、人数だけ集めて、その人数で売上を上げていくビジネスだと思います。しかし、AI人材は簡単に集められるわけではなく、後期博士の学位を取得しているような人を集めてきており、そういう人たちを今後何百人も何千人も集めて、労働集約型ビジネスをやっていいのかというところもあると思います。
労働集約型にしても、そうした(AIを用いた)製品づくりをして、その製品を使って、今まで50人月かかっていた作業を10人月で終わらせるといった利益構造に持っていかないといけないと思っています。
2018年~2020年3カ年中期経営計画
中期経営計画と中長期ビジネス戦略ということで、当初、2019年度(の利益が)2億円としていたものが7,000万円になりますが、ご勘弁いただいて、2020年度は最低でも当初の数字まで持っていきたいと思っています。そのあとは、もっと伸ばしていきたいと考えていますので、ぜひ中期で成長を見守っていただければと思います。
2018~2020年度3カ年中期経営計画(詳細)
こちらのスライドが中期経営計画の詳細です。売上高のところで、フローとストックの比率を見ていただきたいのですが、2018年は、フローが12.8億円、ストックが7,000万円でした。それを、2019年度に投資をして、2020年度にはストックを5億円弱まで伸ばしていきたいと思います。2021年度、2022年度では、ますますストック型を増やして、最終的には50対50ぐらいの比率に持っていきたいと考えています。
以上で、説明を終わりたいと思います。ありがとうございました。
質疑応答:同業他社との違いについて
質問者1:ご説明ありがとうございました。丸三証券のコボリと申します。簡単に3点、お願いいたします。
1点目、少し漠然とした質問で申し訳ないのですが、今後はストックに力を入れますというお話で、そうは言っても、これからフローも伸ばすといった中計になっていますので、こちらについてお聞きします。
データサイエンティストさんをお持ちの会社もけっこう上場されたりしており、同業他社もいるかと思うのですが、一方で、外部からだとなかなか(他社との)違いが見えにくいところがあります。
出身の研究所などを見ると、けっこうすごいところから来ていますというお話はわかったのですが、例えばお持ちの技術であったり、展開されている領域などでの違いがあれば教えてください。
城谷:違いというとなかなか難しいですが、先ほどの(11ページの)絵で共有させていただいたところです。
当社が取り組んでいるのは、医療やデジタルマーケティングや金融、また社会インフラや工場関係も手がけています。他社がどういう領域をやられているのか、比較対象にもならないですが、当社は当社でがんばっています。他社は、製品作りよりも、人をベンダーさんの中に出し、システム開発に力を入れていると聞きます。
ですので、ある会社は毎年100名ぐらい採用して、労働集約型を中心にビジネスを伸ばしているのだと思います。当社では、100人とかではなく、最大で20人ぐらいを採用しようと思っています。労働集約型の場合は、お客様と一緒に進めていかないといけないため、そこでいろいろなノウハウを学ばなければいけません。それをもって、また製品化していかないといけないという考え方をしています。
質疑応答:来期のストックの売上高が伸びるタイミングについて
質問者1:2点目ですが、中計のところです。先ほどのお話では、今期は研究開発をされて、来期にストックを伸ばされるということでしたが、来期にストックがものすごく伸びるようなかたちかと思います。これは、どのぐらいのタイミング……今期の終わりぐらいからけっこう伸びるような想定なのか、来期に入って、一気に伸びるような想定なのかを教えてください。
城谷:来期で伸びるというのは、来期の利益のところでしょうか?
質問者1:ストックの売上高です。
城谷:今年度に投資した製品は、そのぐらい売上が上がるだろうという見込みは持っています。
質問者1:期初から一気に伸びるような想定でしょうか?
城谷:先ほどの(50ページの)数字のとおり、2020年4.7億円ぐらいのストックの売上が出ます、ということです。
2020年の3億円の利益ですが、ストックビジネスではなく、人を増やして、当初のフロー型のビジネスだけでも達成できる自信がありました。
ただし、その次の年、その次の年と、同じことを繰り返していくのでは大変ですので、今年度はいろいろと投資させていただいて、製品作りに入っていきたいという思いです。4.7億円のストック売上は、ある程度自信を持って見えています。
質疑応答:来期の利益目標について
質問者1:最後に3点目、利益についてです。47ページ、積極的に投資しますというスライドですが、一方で、人材教育などの費用は、来期もなかなか剥落しづらいと思っています。
来期の利益である3億円についてですが、今期投資したもののなかで一過性のものがあり、来期に剥落するものがあるのか、それとも巡航速度で売上を伸ばすことで、利益もそこまで伸ばす計画なのか、そちらだけ確認させてください。
城谷:来期も、製品開発では1億円ぐらいは投資します。それを置いておいても、3億円ぐらいの利益を出しますということです。
質疑応答:データサイエンティストやAI人材の給与の高騰について
質問者2:データサイエンティスト・AI人材の1人あたりのお給料が年々上がっているというような記事も出ていますが、実際に、足元で御社がターゲットにしている人材もそういった環境にあるのでしょうか? もしそうでしたら、そうした動向は今後も継続すると考えてよろしいでしょうか? どこまで続くのかをお聞きしたく、お答えいただける範囲で教えてください。
城谷:人件費は非常に上がっています。一般企業さんでの給料は、今後何パーセントぐらい上がりますかね? 2〜3パーセントくらいでしょうか?
私どもの給料では、平均で6〜7パーセントです。ですので、上がっている人はすごく上がっています。しかし、上がらない人は一切上がりません。普通の人は一切上がりませんが、活躍された方や優秀な方は、若くても、月々何十万円と上がっていきます。
よって、(一般的にも)そういう状況なのかなと思いますし、まだ何年かは続くと思います。
例えば、Googleさんなど、海外のいろいろな企業が日本に出てきて、高い給料が支払われるということで、利用価値がなくなれば、使い捨てるといった部分も出てくるとは思うのですが、ネームバリューと給与の高さからそうした会社に憧れて行く人も出てきますよね。
当社は、幅広い業界で得た技術・ノウハウをAIに組み込む、やりがい感高い仕事そのものがモチベーションであり、大きな事業会社にありがちな企業文化に染まらせようとすることは、プロフェッショナル集団に合わないことがわかっています。高額の給与を出して集める企業に対抗して(同じような)給料を出そうとも思っていません。直近のニュースでは、マスコミが一部の企業に対する報酬アップの話を大げさに述べていると思います。
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