ドル円:未だ底打ち出来ない理由とは?

著者:平野朋之
投稿:2019/05/20 11:44

109円が支えに・・・


■先週は、米中貿易摩擦の激化を嫌気して109円ギリギリのところまで下落しました。
しかし、週末にトランプ大統領から自動車関税に関して最大6ヶ月延期するとの報道からリスクオンに傾き大台である110円を超える展開となりました。

■今週は110円の大台をクリアしたことや自動車関税延期が決定したことで、戻り継続といいたいところですが、110円台の重さを改めて感じる1週間になるのではないかとみています。
むしろ下値余地が残る中では、しっかりと戻り場面で「売り」エントリーで待ち構えたいと考えています。

■底打ちと考えていないポイントを記載します。

まず、世界経済全体的に下振れ出してきたことにあります。

直近ではユーロ圏、ドイツとGDPは若干伸びたものの、その他の経済指標が悪化しだしてきています。
また、ブレクジットに対する状況も日増しに混迷を深めてきています。更にRBNZの利下げやRBAが利下げするのではないかとの観測、そしてわが国の来週発表のGDP速報値もマイナス予想と軒並み下り坂になっています。

■そんな中、FRBは現在の金利スタンスをキープできるのかというと、少々疑問に残るところです。
最近ではトランプ大統領やペンス副大統領を筆頭に様々な閣僚から利下げの声が出始めています。
独立性を維持するために現状は直ぐに利上げをしにくいという立場はあるものの、これだけ世界経済が下り坂、また米中貿易摩擦を考慮すれば、そろそろ金融政策のスタンスもややハト派に変更せざるを得ないのではないかとみています。


■次に先日発表された「ファーウェイ禁止」が今後の米中貿易問題を更に激化させるのではないかとみています。
世界でも第2位のファーウェイの売上高を誇るだけに世界IT供給網に対して黄色信号がともったのと同じです。
つまり、米注文代だけでなく世界全体的に景気が下り坂になる可能性がありそうです。
上記の大きな問題を抱える中では、本当の意味での「リスクオン」は程遠いとみています。

また、米国とイランの問題で軍事的圧力に発展する恐れもあり、ここにきて地政学リスクも大きな要因の一つに浮上してきています。

■今週は、日本のGDP速報値が発表され、増税延期や衆院同時解散も出始め国内景気がやや下り坂になる可能性があることから、株式市場はやや劣勢になるのでアジアタイムも戻り売り優勢になるのではないかとみています。

また、週末の米国の小売売上高と耐久財受注には注目したいです。


■最後にドル円のテクニカルです。

やはり、戻り売り狙いです。
特に日足チャートでフィボナッチを使うと23.6%戻りは達成。ポイントは38.2%(110.34円)が一つの目安になるとみています。
下値では109円を割り込んだ段階で追撃の売りを想定しています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想