【来週の注目材料】英国のEU離脱を巡る状況に注目

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/03/23 17:00
 ブレグジットに関しては、本来の離脱期限が3月29日と
今週末が2年前のリスボン条約第50条で定められた期限となっていました。
 しかし、実際に離脱への合意が得られておらず、
仮に合意がすぐに決まったとしても法整備含めて調整の時間が間に合わないこともあり
期限に関しては延長が決定しています。

 メイ首相は21日の欧州連合首脳会合(EUサミット)に対して
6月30日までの延期を要請しましたが、
こちらは認められず、
トゥスクEU大統領は今週中に議会で協定合意を可決できた場合は
5月22日までの延期を認めると示しました。

 もっとも1月の230票差という歴史的な大差での否決に続いて
3月12日の二度目の採決でも149票差と相当な差がついている状況で 
二度目の採決と基本的に同じ協定案での三度目の採決が
いきなり合意に向かうという状況は考えにくいです。

 EU側もそうした状況は理解しており
合意なき離脱という英国にはもちろん
EUにとっても実はリスクの相当大きい状況を避けるために
4月12日離脱の延期を認めることで合意し、メイ首相に伝えました。

 こうした状況を受けて、メイ首相は今週中に三度目の採決を実施する見込みとなっています。
(いったん否決したものを再度採決に賭けることを拒否している
バーコウ下院議長の説得なども必要)

 可決された場合は、トゥスク大統領の述べたように
5月22日まで離脱日が延長され、
その間に法整備を実施する展開に。
もっとも穏当な結果に見え、ポンドが大きく買われる材料となりそうです。
ただ、可能性はそれほど高いものではありません。

 否決された場合は、4月12日まで可決への道を探る展開となります。
そのため、否決と一口に言ってもどの程度の差かというのが重要になります。
前回よりも差がはっきりと縮まり、
4月12日までの合意の可能性が印象付けられるとポンド買いになりそう。
4月12日までに合意が難しいという印象を与えるとポンド売りに。
このところリスク警戒感からの円買いが厳しい状況が続いているだけに
ポンド円の売りがドル円の売りを誘いそうです。

 4月12日までに欧州議会選挙(5月23日から実施、任期は7月1日からの5年間)に
英国が参加するのかどうかを含めて意識決定が必要となります。
メイ首相への辞任要求を含め、
英国の政治情勢が注目される展開が続きます。

minkabuPRESS編集部山岡和雅

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

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