今週は22000~22400円水準でのもみあいの中、米中貿易協議、トルコ動向に注目

著者:出島 昇
投稿:2018/08/20 20:47

先週は、トルコリラ急落をきっかけに22000円を切るが終値では22200円台へ

 先週の予測では、この週はお盆もあり、薄商いの中をトルコリラの急落の影響を受け、日経平均は下値模索の展開になるとしました。下値としては心理的フシ目である22000円を切ると5月30日の安値21931円があるものの7月11日の安値21744円が大きなフシ目になるとしました。但し、チャート分析では、21800円水準は過去もみあっているところですので、21800円水準をフシとしました。

 結果的には、トルコリラの急落に端を発し、金融市場がリスク回避へと大きく動いたことで円も買われ、日経平均は先物主導で大きな上下動となり、下値はザラ場では13日(月)の21851円、16日(木)の21871円と2点底をつけた形となって、週末の17日(金)は22270円で引けました。終わってみると前週末の10日(金)の終値22298円から比較すると僅か▼0.1%の下げでした。しかし、トピックスは17日(金)の終値は1697Pであり、前週末の10日(金)の終値1720Pより▼1.3%下回って引けています。つまり、日経平均に連動する値ガサ株中心に買われたアンバランスな相場になっているということです。日経平均の動きに比べて中小型株中心の個人投資家は大きなマイナスになっている方が多いと思われます。

 13日(月)は、前週末にトランプ大統領が米牧師の拘束に対する制裁として、トルコからの鉄鋼、アルミニウムにかける関税を2倍に引き上げるとしたことで、トルコリラが急落し、トルコに債権の多い一部のヨーロッパの金融機関が大きく売られ、つれて欧米株安となったことを受け、日経平均は▼180円の22117円で寄り付き、心理的な下値のフシ22000円を割り込み、後場になると中国・上海株式も大きく下げたことで、さらに一段安となり21851円まで下げて、終値は▼440円の21857円と4日続落となりました。

 14日(火)は、前日の欧米市場は引き続き売られたものの、日経平均はリラ安が一服したことや、前日の大幅な下げで買い戻しが先行し、直近4日で805円下げていることや円高一服もあり、△498円の22356円と5日ぶりの大幅反発となりました。

 15日(水)は、前日の欧米株高を受けて買い先行となって△24円の22380円の高値をつけるものの、トルコリラへの不透明感もあり、後場には▼245円の21110円まで下げ、終値は▼151円の22204円と反落しました。

 16日(木)は、前日のアメリカ市場で米中貿易戦争の激化懸念やトルコ情勢への警戒感から欧米株式は反落し、NYダウは一時▼334ドルの24965ドルまで売られたことで、日経平均は売り先行となり、一時▼332円の21871円まで売られましたが、途中で中国が貿易問題を話し合うために次官を派遣したという報道をきっかけに下げ幅を縮小し、前場は△29円の22234円となりました。しかし、後場は上値重く▼12円の22192円を続落しました。

 週末の17日(金)は、前日のアメリカ市場で、米中貿易問題への懸念が後退し、ウォルマートやボーイングなど好決算銘柄が後押しし、NYダウは一時△444ドルの25607ドルまで上昇し、△396ドルの25558ドルと大幅反発したことで、日経平均も持ち直しの動きとなって一時△148円の22340円まで上昇しましたが、終値では△78円の22270円と3日ぶりの反発となりました。ただし、お盆明けのせいもあって売買代金は1兆8455億円と7月25日以来の2兆円割れとなっています。

 17日(金)のアメリカ市場は、ウォール・ストリート・ジャーナルが米中貿易会議が11月にも開催の可能性があると報道したことで、米中貿易摩擦懸念が一段と和らぎ、NYダウは△110ドルの25669ドルと2月28日以来の高値水準となりました。但し、為替は1ドル=110.51円で引けており、シカゴ日経先物は±0円の22260円と冴えませんでした。

今週の日経平均は22000~22400円水準を基本に、米中貿易協議とトルコの動向に注目

 今週も、基本的にこう着状態が続く中で、海外要因に左右される展開となります。プラスの材料となる場合は、米中貿易摩擦の後退ですが、米中協議が22日、23日に開催される見通しであり、いい方向に話しが進めばドル買い・株買い要因となりますが、23日発動予定の160億ドル相当に対する追加関税措置は、回避されないとの見方が多く、米中協議の効果性も疑問となります。又、米国とトルコの対立が欧州経済に波及しかねないとの見方も消えていませんので、波乱要因として残ります。

 一方でアメリカの利上げに関しては、22日にFOMCの議事録が公開され、24日にパウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演があり、追加利上げを示唆する発言がでると、ドル買い・円売りとなって株価にはプラス材料となります。

 日経平均のチャートをみると、200日移動平均線が22400円近辺に走っており、目先の上値抵抗ラインとして意識されるところです。お盆明けでまだ夏休みの状況もあり、売買代金、出来高も増加する場面ではないので、22000~22400円水準の中で、もみあいというところでしょう。日本企業の決算は堅調でしたので、米国と中国、米国とトルコの関係が落ち着けば、いったんアクぬけとして上を目指す可能性は高いと思われます。但し、本格的な上昇はアメリカの11月の中間選挙後となるかもしれません。

 本日は、朝方は▼3円の22267円で寄り付き、上げに転じる場面もありましたが、一巡後はトルコ情勢の先行き不透明感を背景に円高・ドル安が重しとなって、一時▼119円の22150円まで下げる場面もありましたが、その後は上海株式の上昇で下げ渋り▼71円の22199円で引けました。

出島式ズバ株投資情報ブログ
http://ameblo.jp/zubakabu80

(指標)日経平均

 先週の予想では、米中貿易摩擦の激化懸念とトルコリラの急落で、日経平均は25日移動平均線、75日移動平均線を下にぬけ、22300~22800円のレンジを僅かに下放れして終わったことで下値模索の展開になるとしました。下値は22000円の心理的フシを切ると、その下は5月30日の21931円、さらには21800円水準としました。

 結果的には、トルコリラの急落に端を発し、世界の金融市場がリスク回避の動きとなって円も買われたので、日経平均は先物主導で大き上下動となり、8月13日(月)は21851円、8月16日(木)は21871円の安値をつけました。しかし、週末の終値は22270円となって前週末の22298円に近い水準まで戻して引けました。

 今週も、アメリカ市場の動きが注目となります。米中貿易摩擦の後退やFOMC議事録公開やパウエルFRB議長の講演で追加利上げの方向がでるとアメリカ株式が上昇し、日経平均もある程度は戻りを試すことになります。一方でトルコリラの急落からの新興国の通貨安への懸念もあり、基本的にはこう着状態の中で好材料が出れば戻りが試せるということになります。上値は日足のチャートで200日移動平均線が22400円近辺にあるため、上値として意識されるところです。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、米中貿易摩擦とトルコリラの急落を受けて、下値を試す動きも想定されるとしました。しかし、結果的には、週前半こそ大きな上下動を繰り返しましたが、米中貿易協定再開の可能性やリラの急落の一服から週後半は戻りを試す動きとなり、週末の8月17日(金)は11月に米中首脳会談のニュースが出ると、一気に25728ドルまで上昇して、今年の2月27日の25800ドルの高値に接近し、終値25669ドルとなりました。柴田罫線では7月25日に25414ドルで上放れとしていましたが、ここにきて一段高となりました。

 今週は、8月22~23日に開催される米中通商問題での次官級会議が注目される見通しのため、どういう結論に達するのか注目となります。又、8月23日には米国による中国からの輸入品(160億ドル相当)に対する新たな関税が実行される予定です。追加利上げに対する方向性は、22日のFOMC議事録や24日のパウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演の内容が注目となります。これらが好調であれば2月27日の25800ドルも突破すると一段高となって、26000ドルを試すことになりそうでです。一方、米中貿易交渉が決裂すれば株価は下落となりますが下値は限定的です。
 

 

(指標)ドル/円

 先週の予測では、引き続き米中貿易摩擦への懸念とトルコリラの急落が輸出国通貨安へと波及していることが懸念され、リスク回避の円買いの方向にあるものの、米国の追加利上げ期待で円高も限定的としました。

 結局、週始めはトルコリラの急落からの新興国の通貨安に対する警戒感からリスク回避の円買いが優勢になるものの、一方で米中貿易摩擦への懸念が後退したことで、ドルが買い戻される場面もありました。1週間を通じてはリスク回避の円買いが優勢でした。一時110.11円まで円が買われましたが週の引け値は110.51円でした。

 今週は、米中貿易協議の再開やFOMCの議事録公開やパウエルFRB議長の講演もあり、追加利上げ期待からドルは底堅い動きが期待されます。ただし、トルコリラなど新興国通貨安への警戒感からドルの上昇は限定的となるかもしれません。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム