今週も引き続き22500円をはさんだもみあい

著者:出島 昇
投稿:2018/08/06 19:10

先週は、想定通り22500円をはさんだもみあいで引ける

 先週の予測では、日米の金融政策を受けての株価の展開になるとしました。日本は、日銀の異次元緩和の修正がどの程度行われるのか、米国は8月1日のFOMCの声明で利上げについて、どのようなコメントがあるのかがポイントになるところでした。

 米国のFOMCは、貿易摩擦がある中で4-6月期のGDPは好調だったことで、次の利上げは7月の雇用統計の結果をみて判断されることになり、今週の日経平均は22500円水準をはさんだもみあいを想定しました。

 結果的には、日銀金融政策決定会合では、想定内の結果(長期金利の上限を0.2%を認める)でインパクトはなく、FOMCでは、政策金利は据え置かれ声明文では、穏やかな利上げは強く主張され9月の追加利上げが示唆されました。しかし、日米金利差拡大期待はもりあがらず株価は想定通り22500円をはさんだ上下動となりました。安値が7月31日(火)の22352円、高値が9月1日(水)の22775円で、週の終値は22525円でした。

 この動きは直近の価格帯別の累積出来高の厚いところと一致します。

 7月第2週に外国人買いが膨らんで22400~22800円のゾーンで売買が行われました。需給関係で考えると現在の水準の売買代金では、このレンジを抜け脱すの難しく、出来高、売買代金の増加を待つところです。

 7月30日(月)は、先週末のアメリカ株式が3指標そろって下落(特にナスダックは大幅な2日続落)したことで、▼99円の22613円で寄り付き、ハイテク株中心に、一時▼193円の22518円まで下げ、▼167円の22544円で引けました。

 31日(火)は、前日のアメリカ市場で3指標がそろって大幅続落し、為替も110.92円までの円高となっていたことで▼72円の22472円で寄り付き、一時▼192円の22352円まで下げました。売り一巡後は、後場からの日銀金融政策決定会合を前に下げ幅を縮小し、後場は日銀会合の結果を受けて一時△133円の22678円まで浮上しました。日銀は長期金利の柔軟化(0.2%を容認)などを決定したものの事前の報道に似かよった内容でインパクトはなく、イベント通過で買い戻しを誘っただけで、その後、再びマイナス圏に入り、終値は△8円の22553円で引けました。

 8月1日(水)は、前日の米中通商協議再開報道を好感して、アメリカ株高、円安となっていたことで△88円で寄り付き、円安の動きとなっていたことや米中貿易摩擦の後退を好感し、一時△221円の22775円まで上昇し、終値は△192円の22746円と続伸して引けました。

 8月2日(木)は、前日のアメリカ市場で、トランプ大統領が対中国に対する輸入関税を従来の10%から25%にするとしたことで、再び米中貿易摩擦が再燃し、FOMCの声明文は強い内容で9月の追加利上げを示唆し、為替はやや円高方向となっていましたが、日経平均は▼69円の22676円で寄り付き、後場になると米中貿易摩擦を嫌気して上海株式が下げ幅を拡大したことで、一時▼281円の22464円まで下げました。

 その後は安値圏でのもみあいとなり、終値は▼234円の22512円となりました。

 週末の3日(金)は、△73円の22585円で寄り付き、一時△100円の22613円まで上昇するものの、この日の引け後のアメリカ市場での7月雇用統計を前に様子見ムードとなり、終値は△12円の22525円で引けました。

 8月3日(金)のアメリカ市場は、注目の7月雇用統計は非農業部門雇用者数は予想の+19.0万人を下回る+15.7万人だったものの、失業率は3.9%と市場予想と一致、平均賃金も一致、7月ISM非製造業指数は予想をやや下回ったことで、10年債利回りはやや低下したものの、穏やかな利上げ見通しは維持され、株価は3指標とも上昇となりました。シカゴの日経先物は△45円の22555円でした。

今週も強弱材料や投資家の夏期休暇増え、22500円をはさんだもみあい続く

 今週も先週に引き続き22300~22800円のレンジ内の動きが基本となりそうです。10日の内閣府発表の4-6月期GDP速報や、この間に発表のピークとなる4-6月決算が好調ならば、戻りを試すことも考えられますが、すでに23000円を上値のフシに3回チャレンジして跳ね返されていますので、上値は限定的といえます。日本では投資家のお盆休み、アメリカでは9月3日のレーバーデーの祝日まで夏季休暇に入る投資家も多く、閑散取引となる時期です。いったんポジションを手仕舞う動きが相場全体の活気をなくさせることになる場合もあります。一方でトランプ大統領は11月の中間選挙までは貿易摩擦を長引かせる可能性があり、為替のドル安への口先介入も気になるところです。

 本日は、前週末のアメリカ株高受け、買い先行で△110円の22635円まで上昇するものの、後場、上海株式が軟調となると上げ幅を縮小し、マイナス圏入りとなって大引けは▼17円の22507円で引けました。

出島式ズバ株投資情報ブログ
http://ameblo.jp/zubakabu80

(指標)日経平均

 先週の予測では、日米の金融政策が焦点になるとし、日銀の異次元緩和の修正がどこまで行われるのか、又、アメリカではFOMC声明や7月雇用統計の発表もあり、為替がどう動くのか注目となります。強弱の材料が対立しているので22500円をはさんだもみあいが基本的な動きになるとしました。

 先週の日銀の決定会合では、0.2%の長期金利を容認したことで、神経質な取引が続き、これに連動する形で日経平均は22500円をはさんだ荒い動きが目立ちました。トランプ大統領の貿易への課税額の引き上げ示唆から中国株式が下落し、日本株も連動する場面がありました。日経平均は安値22352円、高値22775円で終値は22525円でした。

 今週は、相場環境としては、米中貿易摩擦の再燃が懸念される中、10日は4-6月期決算発表のピークを迎え、又、4-6月期GDPの速報値の発表があるため、内容によっては戻りを試す場面も考えられます。ただ、9日には日米の貿易協議がワシントンで開かれ、対日通商姿勢がどうなるのか注目されます。基本レンジは先週と同じように22300~22800円となります。
 

 

(指標)NYダウ

 先週の予測では、前週の4-6月期GDPの結果が米国経済の好調さを示したことで、短期のゆるやかな上昇トレンドを7月25日の25414ドルで上放れとなり、目先は2月27日の25800ドルを試しにいく動きが想定されるとしました。一方で貿易摩擦は不透明なままですので激化すれば上値は重くなってきます。

 先週は上値は25500ドル、下値は25000ドルの狭いレンジでのもみあいに終始しました。週始めは前週の4-6月期GDPが4%台を記録したことで、ドル、株は買われましたが、4%台の成長は維持できないとの見方が浮上し、ドルと株は売られました。その後、FOMCの声明文では9月の追加利上げを示唆する発言でドルが買われ、一方で米中貿易摩擦の激化懸念でドルが売られるという強弱が対立し、株価は上にも下にもいきにくい状況となりました。週末の注目の雇用統計は非農業部門雇用者数は予想を下回ったものの、失業率や平均賃金は市場予想と一致したことで、10年債利回りはやや低下したものの穏やかな利上げ見通しが維持されました。

 先週は、トランプ大統領が対中輸入関税を従来の10%から25%にすると示唆したことで、貿易摩擦懸念が再燃しており、今週は米中貿易交渉の行方が注目されます。全体的には、9月3日のレーバーデーまで夏季休暇に入るため、閑散取引となる時期に入ってきます。そのため、いったんポジションを手仕舞う動きもでてくるため上値は限定的とまります。
 

 

(指標)ドル/円

 先週は、ドル・円相場は強弱の材料が入り交じり110~113円のレンジの中でのドルが底堅い動きになるとしました。

 週前半の7月30日~31日の日銀金融政策決定会合では、市場の予想通りの動き(長期金利の0.2%容認)で、一時112.15円までドルが買われました。8月1日のFOMCの声明では、アメリカ経済の堅調さを確認し、9月の追加利上げを示唆しました。一方でトランプ大統領が中国に対して追加の課税を従来の10%から25%へ示唆したことで、ドルは110.75円まで売られましたが、週末の雇用統計を受け穏やかな利上げ見通しは変わらず111.27円で引けました。

 今週も引き続き110~113円のレンジの中で、ドルがしっかりした動きとなりそうです。FOMCの声明文では、米国の経済の力強さが強調され、FRBは9月と12月に追加利上げを決定する見方が広がっています。問題はトランプ大統領の為替に対する口先介入があればドルの上値は押さえられることになります。7月19日の「ドル高は望まない」と発言しており、今後は今年の最高値である113.31円の1つ前のフシである113円に接近すれば、口先介入がでてくる可能性はあります。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム