先週から、3月末が近い、という要因もあり、デリバティブが株式市場と為替に大きな影響を与えている。年初に当社レポートで予想した3月末の日経平均株価は、18500円が一つの目処だったが、実際の相場は、3月末まであと2日を残し、19200円。ほぼ予想通りだか、心持ち強い。この予想と実績の差にも、仕組債を巡る先物売買が絡んでいる。
日経平均株価が一定の価格にくると権利が消滅する仕組債のオプションが組まれていたことは、日経新聞の記事にも出ていた通り。この一定の価格は、19000円、あるいは18500円で組まれていた。簡単に言えば、18500円、19000円を超えると、損失が発生するような仕組みがポジションニングされていたわけだ。
ここで、18500円を超えさせない圧力が発生すれば、そこが高値目処になったのだが、今月、18500円の局面では、逆のことが起きた。
つまり、18500円を超えてきたときに、機関投資家は、損失が発生することを受け入れ、これをヘッジするために、先物を買いあげたのだ。
この「ヘッジ買い」によって、日経平均は、18500円を超えると一気に上昇し、19500円を超えていった。この動きは4月以降で出てくるかと思っていたのが、早く出てきた。
しかし、この「一気の上昇」は、下げに転じたときには、逆に「一気の下落」を演じることを意味する。つまり、今週は、18500円近辺まで一気に下落する危険性をはらんだ状況になりやすい、ということを覚えておくべきだろう。ただし、この調整が終れば、新たな上昇局面が待っているだろう。調整局面は短い可能性が高い。
中国マネーはまだまだ出てくる
さて、先週しばらくの間、上海に滞在した。現地の金融マンや投資家と話をする機会があったので、少し中国の状況に触れておこう。いま中国の投資家は、短期的には、上海株にまだ魅力を感じている。その大きな変動率が魅力で、いくら日本株が割安といっても、変動率を一番の投資魅力とする彼らには、あまり通用しない。ただし、中長期投資となると、話しは別だ。彼らは、中国の中期的な成長には、少なからず疑問を持ち始めているようだ。都市部の不動産価格はまだ下落していないが、地方は、すでに急落中だ。多くの地方の金持は、ほとんどが金地金への投資を主流にし始めているという。大金持ちは、採掘権を売買するらしい。このあたりは専門ではないのでよくわからないが。
いずれにしても、中国の投資家は、党の政策には批判的になっているようだ。表立っては言えないものの、西部で独立運動・あるいは反乱の危険が差し迫っているいま、日本や海洋を巡る争いをしている余裕は、本来はない、という。
日本との商業的なやりとりに制約をつけてくる現状は、中国の民間ビジネスに影を落としつつある。
したがって、中長期的な投資資金は、中国から離れつつある、という。政策的な意味も多少あるが、日本への投資は、中長期的な視点で考えるという。もちろん、株だけではなく、不動産もその対象になる。株式でいえば、彼らの主な目的はM&Aだ。単純に売買して儲ける、というよりは、「買収できる企業」を探しているのだ。とくに不動産を保有している上場企業の経営権が手に入るなら、ある程度の無理をしてでも、資金を回すという。
中国の投資家にとっては、日本企業のオーナーである、ということは、一つの大きな勲章になるそうだ。その社会的地位こそが、もっとも値があると公言してはばからない。国内の不動産保有企業などに、中国投資家の手が伸びるのは、まだまだこれからかもしれない。
http://jst-trade.jp/show_page.html/view/lp02/mediaCode/min2
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