■要約
ムサシ<7521>は選挙関連の機器や用具の総合トップメーカー。選挙の投開票業務で必要な機材や用品用具類を全般的にラインナップし、主力の投票用紙読取分類機においてはシェア約80%と圧倒的な存在だ。また、文書のデジタル化(メディアコンバート)事業においても国内最大のイメージング作業施設を展開し、収益の2本柱への育成を図っている。
1. 2018年3月期は衆院選で上方修正するも、まだ控え目な印象
2018年3月期第2四半期決算は、売上高16,124百万円(前年同期比11.9%減)、営業損失92百万円(前年同期は999百万円の利益)で着地した。2016年の参院選の反動により減収減益は想定されていたが、期初予想から下方修正となったのは、想定を超える印刷システム機材事業の低迷が主な要因だ。一方、2018年3月期通期の業績予想は、2017年10月に実施された衆院選の効果で上方修正された。新予想は売上高38,369百万円(前期比8.8%増)、営業利益1,170百万円(同5.6%増)と増収増益予想となっている。衆院選のインパクトの織り込みは完全ではなく、上振れの可能性もあるとみる。
2. 2019年3月期は国政選挙スキップ年で端境期。改元による特需に期待
2019年3月期は現状から判断して国政選挙スキップ年となり、業績的には端境期を迎える可能性が高い。しかしながら、弊社では2018年央に予定される新元号の発表により、印刷業界やシステム業界に改元特需が発生し、同社もビジネスフォーム印刷や選挙関連のソフトウェアやシステム関連などでその恩恵を享受できると期待している。また、2017年9月にM&Aで子会社化したエム・ビー・エス(株)の業績フル寄与が見込まれるほか、同社が取り組む印刷システム機材事業の収益改善やメディアコンバート事業の巻き返しが成功すれば、選挙システム機材事業における衆院選の反動減の影響をかなり和らげることができるとみている。
3. 2020年3月期は再び業績拡大の見通し。国民投票が実施される可能性も
次の同社の業績浮揚期は2020年3月期と弊社ではみている。2019年4月と7月にそれぞれ統一地方選と参院選が予定されているためだ。印刷システム機材事業や情報システム機材事業等の状況次第では、選挙システム機材事業の増益効果がそのまま上乗せになる形で、2018年3月期の山を越える可能性は十分にあると弊社ではみている。また、2020年3月期には憲法改正の国民投票が実施される可能性もゼロではないと弊社では考えている。国民投票には国政選挙を超える業績インパクトがあると弊社ではみている。
■Key Points
・国民投票の現実性が一段上昇。業績インパクトは国政選挙を超えると期待
・2019年3月期から2020年3月期にかけては国政選挙の有無に加え、改元特需や国民投票で収益の山谷が変わる可能性
・「業績に応じた利益還元」に基づき、2018年3月期の期末配当は見直しの可能性
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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ムサシ<7521>は選挙関連の機器や用具の総合トップメーカー。選挙の投開票業務で必要な機材や用品用具類を全般的にラインナップし、主力の投票用紙読取分類機においてはシェア約80%と圧倒的な存在だ。また、文書のデジタル化(メディアコンバート)事業においても国内最大のイメージング作業施設を展開し、収益の2本柱への育成を図っている。
1. 2018年3月期は衆院選で上方修正するも、まだ控え目な印象
2018年3月期第2四半期決算は、売上高16,124百万円(前年同期比11.9%減)、営業損失92百万円(前年同期は999百万円の利益)で着地した。2016年の参院選の反動により減収減益は想定されていたが、期初予想から下方修正となったのは、想定を超える印刷システム機材事業の低迷が主な要因だ。一方、2018年3月期通期の業績予想は、2017年10月に実施された衆院選の効果で上方修正された。新予想は売上高38,369百万円(前期比8.8%増)、営業利益1,170百万円(同5.6%増)と増収増益予想となっている。衆院選のインパクトの織り込みは完全ではなく、上振れの可能性もあるとみる。
2. 2019年3月期は国政選挙スキップ年で端境期。改元による特需に期待
2019年3月期は現状から判断して国政選挙スキップ年となり、業績的には端境期を迎える可能性が高い。しかしながら、弊社では2018年央に予定される新元号の発表により、印刷業界やシステム業界に改元特需が発生し、同社もビジネスフォーム印刷や選挙関連のソフトウェアやシステム関連などでその恩恵を享受できると期待している。また、2017年9月にM&Aで子会社化したエム・ビー・エス(株)の業績フル寄与が見込まれるほか、同社が取り組む印刷システム機材事業の収益改善やメディアコンバート事業の巻き返しが成功すれば、選挙システム機材事業における衆院選の反動減の影響をかなり和らげることができるとみている。
3. 2020年3月期は再び業績拡大の見通し。国民投票が実施される可能性も
次の同社の業績浮揚期は2020年3月期と弊社ではみている。2019年4月と7月にそれぞれ統一地方選と参院選が予定されているためだ。印刷システム機材事業や情報システム機材事業等の状況次第では、選挙システム機材事業の増益効果がそのまま上乗せになる形で、2018年3月期の山を越える可能性は十分にあると弊社ではみている。また、2020年3月期には憲法改正の国民投票が実施される可能性もゼロではないと弊社では考えている。国民投票には国政選挙を超える業績インパクトがあると弊社ではみている。
■Key Points
・国民投票の現実性が一段上昇。業績インパクトは国政選挙を超えると期待
・2019年3月期から2020年3月期にかけては国政選挙の有無に加え、改元特需や国民投票で収益の山谷が変わる可能性
・「業績に応じた利益還元」に基づき、2018年3月期の期末配当は見直しの可能性
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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