大統領選挙は波乱含みも無難に通過か?昨年末相場との類似点に注目

著者:市原義明
投稿:2016/11/08 14:47

大統領選挙は波乱含みも無難に通過か?

11月8日に行われる大統領選挙の結果を目前にして、10月28日にクリントン候補の私用メール問題をFRBが再調査すると伝わりました。

クリントン候補で決まりのムードでしたが、直前に雲行きがあやしくなりました。

ただ、メール問題が蒸し返された直後のマーケットの反応は冷静で、当日、週明けのNYダウの下落は小幅にとどまりました。

この動きを見ると、事前にいわれていた『トランプリスク』をマーケットが警戒していないのか、クリントン勝利を期待していないのかのいずれかと考えられました。

しかしながら、11月1日に米国の複数のメディアがトランプ候補の支持率が上がったことを報道しました。ワシントンポストの世論調査では、トランプ候補の支持率が46%となり、クリントン候補の45%をわずかに上回ったと報じています。

これを受けてリスクオフの流れになり、米国株安、円高につながりましたから、やはり『トランプリスク』は警戒されていると考えられます。

ただ、クリントン勝利が好材料ならば、10月に3回行われたテレビ討論会の結果にもっと良い反応が出てもおかしくなかったと感じます。

なぜなら、クリントン候補が有利であっても、NYダウが8月に史上最高値を更新してから3ヶ月の日柄調整に変化がなかったためです。

今回の大統領選挙は両陣営ともに支持率が低いことが話題になるくらいなので、消去法的な選挙なのでしょう。

それでも予想外にクリントン候補が敗北した場合は、リスクオフの動きでマーケットが波乱になりそうです。これはみなさんも想定していると思います。

しかし、想定通りにクリントン候補が勝利しても、直前のリスクオフの急落分を取り返す程度で、本格的な米国株の上昇転換は期待できないのではないかと考えています。

昨年末相場と類似点が多い

むしろ、大統領選挙を通過したあとの12月FOMCの米国利上げの方が、マーケットの関心が高いのだと思われます。

利上げが行われると、昨年末以来、1年ぶりです。仮に米国の利上げが行われた場合、年末にかけての流れが昨年(2015年)と似ています。

昨年の日経平均は、9月29日に16901円の安値をつけてから反発相場入りし、11月に郵政3社が上場、12月の米国利上げ目前の12月1日に20012円の高値をつけて下落に転じました。

今年の日経平均は、6月24日のイギリスEU離脱で暴落した日に15000円割れの安値をつけましたが、17000円を抜ける今回の上昇の基点は9月27日安値16285円と考えられます。

そして、10月25日にJR九州が上場し、予想通りなら12月14日のFOMCで利上げが行われる見通しです。

つまり、9月下旬に日経平均が安値をつけてから上昇に転じ、国営企業の株式上場、米国利上げの流れが昨年にそっくりなのです。

もしも同じ流れになるのであれば、年内の株高は保てそうですが、年初からの反動安が意識されるのではないかと思われます。

特に直近3年間(2014年、2015年、2016年)は年初に急落しており、年明けの相場を警戒している投資家も多いでしょう。

今年はイギリスEU離脱の交渉が年明けから本格化する予定ですし、予想通りに米国の利上げが行われれば利上げの影響も警戒されます。

また、大統領選挙の結果にすぐ反応するのではなく、新政権になったあとの影響をマーケットが警戒するなら、年末休暇が明けてからではないかと思います。

日経平均が9月末から本格的に上がり始めたと考えると年内で3ヶ月が経過します。『小回り3ヶ月、大回り3年』といわれる日柄で考えると、タイミングも合ってきます。

日経平均の反動安は年明けと想定しているため、年内は日経平均の週足チャートに6月安値を基点に引いたトレンドラインを保つ想定です。

トレンドラインを延長した12月末の水準は、およそ17500円から17700円程度なので、年末の日経平均は17600円と想定します。

一方、ドル円の週足チャートはようやく安値横ばいに変わった段階のため、1ドル=102円50銭から106円程度の横ばいと見て、年末は1ドル=104円の想定です。
市原義明
株式会社ストックゲート 執行役員兼営業部長
配信元: 達人の予想