日銀の金融政策決定会合に関心集中、思惑含みで売り買い交錯

著者:冨田康夫
投稿:2016/09/20 21:16

明日の東京株式市場見通し

 21日の東京株式市場では、同日の日銀金融政策決定会合での、これまでの金融政策の「総括的な検証」と、それに基づいて金融政策に何らか変更があるかに関心が集中する。

 市場では、日銀の追加緩和策について、政策金利のマイナス幅の深掘りや、長短金利差の拡大を促す新たな施策の導入などが取りざたされている一方で、今回は「総括的な検証」の発表にとどまり、金融政策は「現状維持」との見方も根強い。

 きょう、市場関係者からは「日銀による指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れを巡り、“日経平均型の買い入れを抑制するのでは”との見方が広がり、日経平均株価寄与度の最も大きいファーストリテイリング<9983.T>が大幅安し、全体相場の下落に影響した。

 3連休明け20日の東京株式市場は、日銀の金融政策決定会合を前にして、積極的な売買は手控えられ、日経平均株価は前週末終値を挟んでの往来相場となった。終値は前週末比27円14銭安の1万6492円15銭と小幅反落した。

20日の動意株

 ディー・エヌ・エー<2432>=後場一段高。
iPhone向け配信が発表された「スーパーマリオ」新作での任天堂<7974>との連携や、ロボットタクシーなど自動運転関連分野への注力といった展開材料が豊富で、株価は5年ぶりの4000円大台替えを視界に入れている。しかし、きょうの株高原動力となったのは、同社傘下のプロ野球球団、横浜DeNAベイスターズの球団史上初めてとなるクライマックスシリーズ(CS)進出だ。ご祝儀買い的な要素もあるとはいえ、CS進出に伴う試合数の増加による収益押し上げ効果が買いの根拠となっている。

 東邦チタニウム<5727>が大幅続伸。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は16日、同社株の目標株価を1220円から1240円に引き上げた。レーティングの「オーバーウエート」は継続した。第1四半期(4~6月)の決算で、想定していたほどスポンジ価格が下落していないことから、同証券では17年3月期連結経常利益を従来予想24億円から26億円に増額修正している。

 アーレスティ<5852>=後場上昇加速。
今月8日につけた年初来高値1029円の払拭を視野に置いている。ダイカスト大手で大手自動車メーカーを主要ユーザーに自動車向けで好調な需要を取り込んでいる。特に生産トラブルの影響で収益機会を確保できなかった北米拠点の改善が進行しており、16年3月期の業績予想大幅増額が株価上昇の原動力となっている。また、有配ながらPBR0.4倍台と解散価値を6割近くも下回っていることから、ここ水準訂正のターゲットとなっているバリュー株の観点でも注目度が高い。

 アサカ理研<5724>=ストップ高。
同社は16日の取引終了後、レアメタル含有スクラップに含まれるレアメタルの回収技術開発のための投資計画を発表、これを好感した。同社は、14年8月から、いわき工場生産技術開発センター(いわき市泉町黒須野)で、光学ガラスを原料としたレアメタル・レアアース回収の実証実験を行ない、この知見を元に、今年1月よりレアメタルの回収および材料販売事業を開始している。今回、福島県からの補助金の採択を受け、総事業費約6億6000万円を投じ同工場に研究開発投資を行う。 レアメタル事業における3年後の売上高を約10億円と見込んでいる。

 イード<6038>=急伸。
同社はきょう、シータ(東京都中野区)と共同展開するVR映像配信プラットフォーム「EINYME(エイニーミー)」に、独自研究開発した撮影システム(特許出願中)によるVRコンテンツを追加したと発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。エイニーミーは、アイドルやグラビアモデル、声優などに特化した実写VRコンテンツを配信するプラットフォームで、ヘッドマウントディスプレーを利用することにより、VR空間でさまざまな体験ができる映像を配信している。

 東宝<9602>=4日続伸。
庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」と新海誠監督の「君の名は。」が大ヒットとなっていることが評価材料となっている。「シン・ゴジラ」については公開前から評価が高かったが、アニメ映画の「君の名は。」については興行収入が62億円を突破し、100億円越えが有力視されている。過去のスタジオジブリの人気作品に匹敵する興行収入となっていることから、業績の上振れ期待が高まっている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想