1万6000円攻防の地合いに、25日線割れで調整色強まる

著者:冨田康夫
投稿:2016/08/03 19:06

明日の東京株式市場見通し

 4日の東京株式市場は、きのうきょうの大幅続落で日経平均株価が、合計552円の急落となったことから、ある程度の自律反発は予想される。また、4~6月期決算発表に伴う好業績銘柄の個別物色は継続しそうだ。ただ、きょうの300円を超える大幅下落によって、全般相場はかなり調整色が強まっているのは確かで、日経平均株価は1万6000円攻防の軟調地合いとなりそうだ。

 市場関係者からは「きのう日経平均株価が終値で75日移動平均線を下回ったのに続いて、きょうは終値で25日移動平均線(1万6144円78銭=3日)を割り込んでしまった。チャート面では調整色が強まり、買い姿勢では臨みにくい地合いとなっている。また、比較的頑強だった銀行株の急反落も全般のムードを暗くしている」との見方が出ていた。

 3日の東京株式市場は、前日の欧米株安と、一時1ドル=100円台という外国為替市場での円高進行を受け、終日売り優勢の展開となった。日経平均株価終値は、前日比308円34銭安の1万6083円11銭と大幅続落した。東証1部の値下がり銘柄数は1757に達し(値上がり167、変わらず46)、全体の約9割の銘柄が下落した。

3日の動意株

 安川情報システム<2354>=ストップ高。
同社はきょう午前11時に、19年3月期の連結営業利益目標を10億円(16年3月期実績は5億4000万円の赤字)とする中期経営計画「Challenge for Excellence」を策定したと発表。これが材料視されているようだ。19年3月期の売上高目標は175億円(同122億7500万円)。IoTやM2M分野などで自社ソフトの開発を強化するほか、医療分野などで付加価値の向上を目指し、保守・メンテナンスサービスも強化する。

 UACJ<5741>=続急伸。
同社はアルミ圧延の最大手で自動車向けを中心に高水準の需要を捉えている。欧州では自動車軽量化に向け、鉄の代替としてアルミや樹脂に需要がシフトしていることが同社のビジネスチャンスにつながっている。また、北米の自動車部品関連製品も好調で、米自動車アルミ構造材メーカーのM&Aによる展開力増強も評価材料だ。一方、昨年立ち上げたタイ工場の稼働が本格化しており、生産体制にも不安がない。

 ネットワンシステムズ<7518>=大幅高。
同社グループのネットワンパートナーズはきょう、IoTビジネスの加速に向けて、産業用ネットワーク製品などを手掛ける台湾のMoxa社と協業すると発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。Moxa社は1987年に設立され、60カ国以上で産業用ネットワーク製品を提供している企業。ネットワンパートナーズは、Moxa社のイーサネットスイッチ製品群およびシリアルデバイスサーバ製品群(シリアル通信をイーサネットに変換する機器)をパートナー企業経由で販売を開始した。

 ファミリーマート<8028>=急騰し年初来高値更新。
ユニーグループ・ホールディング<8270>の株価も急伸している。日本経済新聞は2日、同社株を日経平均株価の構成銘柄に新規採用すると発表した。ユニーGHDと同社は9月に経営統合するための臨時入れ替えとなる。ユニーグループは日経平均銘柄から削除され、存続会社のファミリーマートが新規採用される。今月26日の終値ベースでリバランスに伴う売買インパクトが見込まれている。

 ヤマハ<7951>=大幅高。
同社は2日取引終了後に、17年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算を発表。為替の影響で売上高は983億9900万円(前年同期比6.8%減)にとどまったものの、営業利益は117億7500万円(同33.0%増)となった。主力の楽器事業および音響機器事業の営業利益は過去最高を記録し、これが好感されているようだ。楽器事業の営業利益は94億円(同32.1%増)。アコースティックピアノおよびデジタルピアノの販売が北米や欧州、中国で好調で、ギターも国内や北米、欧州、中国で売り上げを伸ばした。また、音響機器事業の営業利益は20億円(同2.1倍)。オーディオ機器やPA機器が国内外で好調で、業務用通信カラオケ機器やICT(情報通信)機器も堅調に推移した。

 ゴールドウイン<8111>=急騰。
4日放送予定のテレビ東京「カンブリア宮殿」の放送500回記念スペシャルに、人工でクモ糸素材の開発に成功した「Spiber(スパイバー、山形県鶴岡市)」の関山和秀代表が出演することが買い手掛かりとなっているもよう。市場ではスパイバーの上場観測などもあり、昨年9月にスパイバーに出資したゴールドウインの刺激材料となっているようだ。また、同社は2日取引終了後に、17年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算を発表。アウトドアブランドの販売好調などを背景に、売上高は106億7600万円(前年同期比6.6%増)、営業損益は2億6300万円の赤字(前年同期は5億2800万円の赤字)となった。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想