決算発表佳境で個別株に関心、円相場の動向を継続注視
来週の東京株式市場見通し
来週の東京株式市場は、日銀の金融政策決定会合というビッグイベントを経過したことで、佳境を迎える4~6月期決算と今後の業績見通しに関心が注がれ、好業績銘柄を中心とした個別株物色の流れが本格化しそうだ。
日経平均株価の想定レンジは1万6200~1万6900円とする。
日銀の金融政策決定会合の内容が“上場投資信託(ETF)の買い入れ増額”と“マイナス金利の据え置き”という絶妙な組み合わせとなったことがプラス評価され、29日の
日経平均株価は、乱高下の末に前日比92円43銭高の1万6569円27銭と1万6500円台をキープして引けた。
市場関係者からは「一部に“小出しの金融緩和”との見方はあるものの、事前には“どのような緩和策でも売られるのでは”という見方が多数派だっただけに、結果的には評価できる内容だった」との見方が出ていた。
焦点は、日銀の金融政策決定会合の結果、29日午後6時30分現在で1ドル=103円台となっている円相場の動きだ。これ以上の円高が進まなければ、決算発表でのマイナス影響も軽減されることになる。その円相場に影響を与えるのが、現地5日に発表される米7月の雇用統計ということになる。
29日の動意株
日本通運<9062>=後場急上昇。
同社午後1時ごろに自社株買いを発表しており、これを好材料視した買いが入った。4000万株(発行済み株数の4.00%)、または300億円を上限としており、取得期間は8月1日から来年2月28日まで。資本効率の向上を図るとともに、株主価値向上を目的としているという。同時に発表した第1四半期(4~6月)連結決算は、売上高4495億1100万円(前年同期比5.2%減)、営業利益107億7800万円(同2.1%増)、純利益73億7100万円(同10.1%減)だった。前年の米西海岸港湾混雑の影響による航空輸出入貨物増加の反動減や石油販売単価の下落、円高による為替の影響などで、警備輸送セグメントを除いて各セグメントで減収となったが、利用運送費や外注費、燃油費などの減少などに新規連結会社が加わった営業で増益を確保した。
日本ガイシ<5333>=大幅高。
同社が28日取引終了後に発表した17年3月期第1四半期(4~6月)連結決算は、売上高が989億7500万円(前年同期比5.3%減)、営業利益は191億5100万円(同3.9%減)、最終利益は126億4600万円(同8.7%減)と減収減益決算だった。輸出企業の4~6月期決算は円高の影響により前年同期比で大きく落ち込むケースが多いが、海外売上高比率が7割を占める同社が営業4%減益でとどまったことはむしろポジティブサプライズとなり、一気に買い戻しを誘発する格好となった。世界的な排ガス規制強化の流れを受け、自動車向けセラミクス技術などの海外需要が旺盛で、その将来性に期待する声も出ている。
富士紡ホールディングス<3104>=後場に入って急伸。
同社はきょう午前11時30分に、17年3月期通期の連結業績予想修正を発表。営業利益は従来予想の45億円から55億円(前期比51.7%増)に引き上げた。売上高予想は420億円から415億円(同8.9%増)に引き下げたが、半導体デバイスおよび一般工業向け研磨材事業が好調に推移していることが利益を押し上げる。
関電工<1942>=急伸し、年初来高値を更新。
同社は28日の取引終了後、17年3月期の連結業績予想の修正を発表。営業利益を200億円から220億円(前期比34.0%増)へ、純利益を122億円から142億円(同50.9%増)へ上方修正、売上高は4900億円(同9.5%増)で据え置いた。堅調な民間建設投資を背景に屋内線・環境設備工事の収益性が向上、コストダウン含めた経営改革の効果も表面化している。
マキタ<6586>=大幅急反発。
同社が28日の取引終了後に発表した第1四半期(4~6月)の連結純利益は前年同期比21%増の132億2500万円と2ケタ増益だった。主力の電動工具は国内販売が住宅需要の増加もあり堅調だったほか、人民元安で中国からの輸出採算も改善した様子だ。17年3月通期の同利益は前期比0.3%減の415億円が見込まれている。
ランドコンピュータ<3924>=急反発。
同社は28日の取引終了後、8月31日を基準日として、1対3株の株式分割を実施すると発表しており、これを好材料視した買いが入っている。投資単位当たりの金額を引き下げることで株式の流動性を高めるとともに、投資家層のさらなる拡大を図ることを目的としているという。なお、効力発生日は9月1日。
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