権利落ち分埋め巡り攻防、上放れ軌道への試金石

著者:冨田康夫
投稿:2016/03/28 20:22

明日の東京株式市場見通し

 29日の東京株式市場は、実質4月新年度相場入りとなる。3月期末の配当などの権利落ち分は日経平均株価で130円弱(市場推計)とされており、この落ち分を埋めて引けるかどうかの攻防に注目が集まりそうだ。

 市場関係者からは「外国為替市場で円相場が、1ドル=113円台後半以上の円安・ドル高水準を維持することになれば、日経平均株価も3月半ば以降の三角もちあいを上放れる可能性が高まってくる。目先的には75日移動平均線(29日=1万7340円)の奪回が上昇軌道入りの第1関門となる」との見方が出ていた。

 28日の東京株式市場は、日経平均株価終値が前週末比131円62銭高の1万7134円37銭と続伸。また、きょうの始値が1万7129円27銭で、ほぼ“十字足”となった。一方、きょうの東証株価指数(TOPIX)は、大引けにかけて急ピッチの上昇をみせ、前週末比15.80ポイント高の1381.85とこの日の高値で引けた。

28日の動意株

 インフォテリア<3853>が後場急伸。
前引け後に、米ソフトウエア企業のCData Software(ノースカロライナ州)と事業提携すると発表しており、業績への貢献を期待した買いが入った。今回の提携により、インフォテリアがCData製品をOEMによりASTERIA WARPのオプション製品として日本国内で販売するとともに、両社の共同出資によるCData Softwareの日本法人「CData Software Japan」を新たに設立するという。

 アイサンテクノロジー<4667>=後場急上昇。
午後2時ごろに、プロドローン(名古屋市中区)および岡谷鋼機<7485.NG>の3社が協業し、3次元空間情報ソリューションを実現する高精度3次元地図計測UAV(無人航空機)「Winser(ウインザ)」を発売すると発表しており、これを好感した買いが入っている。「Winser」は、産業用UAVでは国内有数の技術力を誇るプロドローンが有するハイスペックなヘキサコプター(6枚羽根)を採用し、「自動飛行」「自動帰還」などの自律制御を搭載している。

 テイン<7217>=連日のストップ高。
警察庁が24日、高速道路の一部区間の最高速度を現行の100キロから段階的に120キロへ引き上げる方針を固めたと伝えられたことで、改造車用サスペンションを手掛ける同社にビジネスチャンス拡大の思惑が働いているようだ。高速道の最高速度引き上げでは、まずは17年以降に新東名と東北道で110キロへの引き上げを試行した後、全国の高速道で見直しを実施するという。

 ノーリツ鋼機<7744>=ストップ高。
同社は、前週末25日の取引終了後、100%子会社のNKリレーションズが、胎児遺伝子検査サービスを手掛けるGeneTech(東京都港区)の株式を取得し子会社化すると発表しており、これを好感した買いが入っている。GeneTechは、母体血による胎児遺伝子検査技術である無侵襲的出生前遺伝子検査(NIPT)の日本におけるパイオニア。NKリレーションズでは、30億2300万円でGeneTech株式7万4000株(議決権所有割合64.7%)を取得する。

 アイ・エス・ビー<9702>=一時ストップ高。
同社は、前週末25日の取引終了後、IoT(モノのインターネット)システム構築を支援するプログラム「IoTトータルコーディネート」の提供を開始したと発表しており、業績への期を期待した買いが入っている。同社では既に無線通信技術とクラウド技術を融合した効率的なIoT/M2Mネットワーク技術で、センサデバイスの開発からプラットフォームの提供までIoT/M2Mのワンストップソリューションを提供しているが、同プログラムは、これを活用して顧客のIoTに関する企画からシステム構築までを支援するサービスだという。

 ペプチドリーム<4587>=急伸。
同社はこの日、午前10時に旭化成ファーマと複数の創薬標的タンパク質に対して特殊環状ペプチドを創製する創薬研究開発契約を締結したことを発表した。今回の契約は従来の創薬研究開発契約(国内製薬企業5社、海外製薬企業10社)と同じように、旭化成ファーマが開発を目指す創薬ターゲット(ターゲットは未公開)に対して、同社独自の創薬開発プラットフォームシステムであるPDPS (Peptide Discovery Platform System) を用いて特殊環状ペプチドを創製し、旭化成ファーマにおいてこの特殊ペプチドに係る臨床開発を目指す内容。契約の締結に伴い、同社は旭化成ファーマから契約一時金及び研究開発支援金を受領する。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想