1万7000円挟んでの攻防、米雇用統計を注視

著者:冨田康夫
投稿:2016/03/25 19:40

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、引き続き日経平均株価1万7000円を挟んでの攻防となりそうだ。日経平均株価の想定レンジは1万6600~1万7400円とする。

 28日に3月期末の権利付き最終売買日を迎え、29日以降は実質新年度相場入りする。国内機関投資家は新たな買いが可能となるものの、外国為替相場、原油価格、17年3月期の企業業績の不透明さなど複数の不安要因を抱えるなかで上値を追う材料は限定的といえる。

 米国では4月の再利上げの可能性を示唆するタカ派の見方が強まるなかで、週末1日に発表される米3月の雇用統計に注目が集まる。市場関係者からは「米3月の雇用統計は2月の数値が予想に比べて強すぎた反動もあり、今回はおとなしい内容が予想されるとの観測がある、これによりタカ派的な姿勢はやや静まるのではないか」との見方が出ていた。ただ、利上げ観測の後退は円高・ドル安を誘発し、日本株にとってマイナス要因も含んでいる。

 国内では、1日に発表される日銀短観3月調査に注目が集まる。事前の市場予想では、前回の昨年12月調査に比べて小幅な悪化が予想されているが、極端に悪化した場合は売り材料となる可能性もある。

25日の動意株

 ザインエレクトロニクス<6769>=後場一時ストップ高。
この日前引け後に東京大学との共同研究によるノイズ耐性を改善した高速起動完全デジタル型クロック・データ・リカバリ(CDR)技術の開発に成功したと発表しており、これを好材料視した買いが入っている。今回開発に成功したのは、高速ロック特性と待機時電力を抜本削減できる特徴を維持しつつ、高速起動後の新規周波数追従機能によりノイズ耐性を向上したCDR技術。

 NDS<1956>=後場動意含みに。
午後1時30分ごろに、16年3月期の連結業績見通しについて、営業利益を22億円から29億円(前期比16.3%増)へ、純利益を14億円から18億円(同3.2%増)へ上方修正したことが好感されている。総合エンジニアリング事業の原価低減や、ICTソリューション事業の拡大が利益の押し上げに寄与したという。なお、売上高は740億円(同1.5%増)の従来予想を据え置いている。

 川岸工業<5921>=ストップ高。
午後2時ごろに16年9月期の単独業績見通しについて、売上高を170億円から185億円(前期比2.4%増)へ、営業利益を3億5000万円から16億円(同2.7倍)へ、純利益を4億5000万円から14億9000万円(同2.1倍)へ大幅上方修正したことが好感されている。超高層ビルを主とした建設受注が続き、収益が安定的に確保できていることに加えて、追加変更工事の獲得も追い風となっているとしている。

 タカラバイオ<4974>=急騰。
24日の取引終了後、東京証券取引所の承認を受けて、3月31日付で東証マザーズから東証1部へ市場変更することになったと発表しており、これを好材料視した買いが入っている。同社は、宝ホールディングス<2531>グループのバイオ事業会社で遺伝子研究用試薬や理化学機器販売が主な事業。16年3月期連結業績予想は、売上高292億円(前期比12.4%増)、経常利益30億円(同8.2%増)を見込んでいる。

 昭和化学工業<4990>=ストップ高。
同社は24日の取引終了後、16年3月期の連結業績予想の修正を発表。売上高を78億円から79億円(前期比4.5%増)へ、営業利益を2億7000万円から3億5000万円(同69.1%増)へ、純利益を1億7000万円から5億円(同3.6倍)へ上方修正、これを好感する動き。主力の濾過助剤製品が海外市場で増加、全社規模でのコスト低減策や持分法による投資利益の増加などが寄与している。

 菱友システムズ<4685>=急伸。
同社は24日の取引終了後、16年3月期の連結業績予想の修正を発表。売上高を300億円から305億円(前期比9.1%増)へ、営業利益を14億円から18億円(同94.2%増)へ、純利益を7億5000万円から9億5000万円(同38倍)へ上方修正、期末配当も20円から30円(前期10円)に引き上げた。主要顧客からの情報システム開発・運用業務の受注が好調に推移、生産性向上や一般管理費削減なども利益を押し上げている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想