日経平均株価は弱含み推移、連続テロが手控えを助長

著者:冨田康夫
投稿:2016/03/23 19:45

明日の東京株式市場見通し

 24日の東京株式市場は、引き続き手掛かり材料難が続くなか、ベルギーでの連続爆破テロ事件発生に伴う地政学リスク懸念によるリスク回避の売りが尾を引きそうだ。3月期末接近で国内機関投資家が動きづらい面もあり、小口の売りで値を消す銘柄が目立ち、日経平均株価は弱含み推移しそうだ。

 23日の東京株式市場は、商い薄で方向感を欠く展開となった。前場の日経平均株価は前日終値を挟んでの小浮動を続けたものの、後場は徐々に売りに押される展開。日経平均株価終値は、前日比47円57銭安の1万7000円98銭と小幅反落した。

 問題なのは、売買エネルギーの低迷ぶり。きょうの東証1部の売買代金は、1兆7399億円と、16日の1兆9118億円を大きく下回り今年最低となった。市場関係者からは「3月期末接近で、駆け込み的な配当狙いの買いは想定できるものの、国内機関投資家は期末で動きづらいところに、ベルギーでの連続テロ発生で世界的にリスク回避の姿勢に傾き、外国人投資家の手控えが強まった」との指摘が出ていた。

23日の動意株

 MRT<6034>=ストップ高。
同社とオプティム<3694>が共同で開発した、国内初となるスマホ・タブレットを用いた遠隔診療サービス「ポケットドクター」のサービスが4月から開始されるのを控え、期待感から買いが入っているようだ。遠隔診療サービス「ポケットドクター」は、医療を必要としている人々と遠隔地にいる医療の専門家をつなぐサービス。スマートフォンやタブレットに搭載されているカメラやウエアラブル機器を利用することで、医師は相談者の顔色や患部の状況や、さまざまなバイタルデータを確認することが可能なため、より具体的なアドバイスや診療が行えるという。

 カヤック<3904>=後場一時ストップ高。
この日、同社が運営するスマートフォンゲームコミュニティサービス「Lobi チャット&ゲームコミュニティ」が、22日から会員制の有料サービス「Lobiプレミアムサービス」の提供を開始したと発表しており、業績への寄与を期待した買いが入っている。プレミアムサービスでは、「Lobi」をより便利に楽しめるよう、調べたい内容がすぐに見つかる高機能検索や過去ログ見放題など会員専用の機能や特典が使用できるのが特徴。

 サクサホールディングス<6675>=大幅続伸。
前日にベルギーの首都ブリュッセルで連続テロが発生したことを受けて、顔認証装置を展開する同社株に目先筋の買いが向かった。空港など水際でテロリストの入国を阻止するための顔認証装置導入には政府も前向きであり、2020年の東京五輪を前に、全国の主要空港に顔を識別して本人確認を行うシステムの導入を進め、審査の待ち時間短縮とテロ対策強化の方針を打ち出している。同社は羽田・成田両空港で行われた実証実験に参加した実績もあり、同テーマでは物色対象の中軸に位置付けられている。

 ジーンズメイト<7448>=ストップ高。
同社が22日の取引終了後に発表した3月度(2月21日~3月20日)の売上高速報で、既存店売上高が前年同月比14.3%増と5カ月ぶりに前年実績を上回ったことが好感されている。トレンドでもある春物アウターが堅調だったことが牽引したほか、投入を開始した夏物の半袖Tシャツが前年を上回る立ち上がりとなったことが貢献。また、うるう年で営業日数が前年より1日多かったことも寄与した。

 きちり<3082>=ストップ高。
同社は22日の取引終了後、iPadを活用したSaaS型POSシステム「ユビレジ」の開発・提供を行うユビレジ(東京都渋谷区)と業務提携することを発表。今回の提携により同社直営店舗の業務効率向上はもとより、プラットフォームシェアリング事業におけるITソリューションの強化、また今後は外食企業各社へSaaS型POSシステム「ユビレジ」をOEM版として販売していくことも視野に入れている。提携に伴いユビレジが行う第三者割当による新株式を同社が引き受ける(ユビレジの取得価額2975万円)。

 東映アニメーション<4816>=大幅高。
同社は22日取引終了後、16年3月期期末配当(一括)を従来予想の30円から95円に増額すると発表した。前期実績比では50円の増配となることからポジティブサプライズとなった。アニメ制作事業が好調で16年3月期の最終利益は前期比89%増の46億円と大幅ピーク益更新を見込んでいることを考慮したほか、創立60周年(今年7月末)の記念配当も上乗せする。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想