日立、お前もか…。

著者:小野山功
投稿:2016/02/06 15:04

~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~

★【日立、お前もか…。】「株価は下がれど割安感に乏しい」現状を打開するのは?

製造業を中心に、今期の業績見通しを下方修正する企業が相次いでいます。

(6954)ファナック(6645)オムロンなどの機械メーカー、(5401)新日鐵住金や(5411)JFEなど鉄鋼大手が、新興国の景気減速を要因に業績の下方修正を行いました。

中国から安い鋼材がアジアに流れ鋼材市況が悪化していたため、鉄鋼大手の業績悪化は織り込まれていた面はあります。

ただ、2月3日に業績を発表した(6501)日立(6752)パナソニックの下方修正は想定外として、市場の評価は厳しいものとなりました。

■日立、お前もか…。

日立の株価は決算翌日に一時12%安と急落し、488.2円まで下げ幅を広げました。2012年12月26日以来、およそ3年1ヶ月ぶりの安値に沈んでいます。

同日は第2次安倍政権が発足し、アベノミクスがスタートした象徴的な日です。アベノミクスへの期待感から、日立株には海外投資家の資金が流入し、外国人持ち株比率はこの3年で約8ポイント上昇していました。

同社の株価がアベノミクス以前の水準に戻ってしまったことで、アベノミクスの3年間は一体なんだったんだというムードになってしまいかねません。

「日立、お前もか…。」と嘆いた投資家の皆さんも多かったのではないでしょうか。

■「株価は下がれど割安感に乏しい」現状を打開するのは?

主要企業の相次ぐ下方修正を受けて、日経平均株価の予想株価収益率(PER)は足元で上昇傾向にあります。

日銀がマイナス金利の導入を発表する前日の1月28日、17,041円で取引を終えた日経平均のPERは14.2倍でした。

1週間後の2月4日には17,044円とほぼ同値で引けていますが、PERは一転して14.7倍に急上昇しています。

一株利益が下げっていることで、株価が下がれど割安感に乏しくなっているのが現状です。

このままEPSが1,100円程度まで縮小するようであれば、予想PERが15倍水準の16,500円が日経平均株価の妥当な水準という見方にもなりかねません。

週明けには、(9433)KDDI(9984)ソフトバンクなど内需企業が決算発表を予定しています。輸出企業の業績不振を内需株が補うことができるかが注目されます。

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想