~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~
★【大発会から5日続落】日本株を襲った2つのリスク、反転のきっかけは?
大発会から日経平均株価は下がり続け、年始から5日続落となりました。年初に5日続けて下げるのは、1950年に日経平均株価の算出が始まって以来、史上初めてのことです。
8日には17,500円割れ目前まで下げ、5日間の下げ幅は一時1,500円に達しました。昨年1年間で日経平均は1,582円上昇しましたので、わずか5日で昨年の上昇分をほぼ帳消しにした格好です。この間にいったい何が起こったのでしょうか。
■史上初「大発会から5日続落」の原因を紐解くと…
まず、一つ目は地政学リスクの高まりです。1月3日にサウジアラビアがイランと外交関係を断絶すると発表。サウジと関係の深いバーレーンやスーダンも追随したほか、アラブ首長国連邦やクウェートも大使を召還させるなど、影響が中東全体に広がっています。
また、6日に北朝鮮の国営テレビが「水爆実験を行い成功した」と報道し、リスクオンに拍車をかける事となります。真偽のほどは専門家の間でも判断が分かれているようですが、投資家心理の悪化につながった事は論じるまでもありません。
もう一つは、中国市場の混乱です。株価の急落を食い止めるために導入した「サーキットブレーカー」が裏目に出て、世界のマーケットを揺らすことになりました。
サーキットブレーカーは、中国の代表的な株価指標である「CSI300指数」が1日で±5%変動した場合は15分間取引を停止し、±7%変動した際にはすべての売買を終日停止するというものです。
4日の取引初日から早速発動されることになりますが、急に売買ができなくなったことで投資家がパニックとなったのです。
中国は、株式の売買シェアの8割を個人投資家が占めるといわれています。昨年の夏には、「重要な発表がある」として数週間にわたって売買が停止される事態になったため、今回も取引きができなくなると勘違いして、狼狽売りが広がりました。
また、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行が、人民元の対ドル基準値を7日まで8営業日連続で引き下げたため、人民元安によって対中向けの輸出が落ち込むとの警戒感が広がりました。
■「チャイナ・ショック」は春節前に収束か
地政学リスクとチャイナ・ショックのダブルパンチで、2016年相場は年初から大荒れの船出となりました。市場はいつ落ち着きを見せるのでしょうか?
中東や北朝鮮の問題は状況を見守るしか施す術はありませんが、チャイナ・ショックは次第に落ち着きをみる可能性があります。
8日にはサーキットブレーカーが一時停止されたほか、株式を買い支える市場介入を当局が実施したとの一部報道もあります。
市場原理を無視した政策が長続きするとは思えませんが、このまま春節を迎えるわけにもいかないでしょうから、「官製相場」によって混乱収束に向かう公算は大きいでしょう。
■日本株の鍵を握るのは「3月期企業と日銀」
また、今月第4週から主要な3月期企業の決算発表が始まります。日本企業のファンダメンタルズは好調だと確認できれば、企業の実力が評価される業績相場へと移行することでしょう。
さらには、1月28日、29日の日銀金融政策決定会合に向けて、追加金融緩和の観測が相場の下支えになる可能性がありそうです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
小野山 功
大発会から日経平均株価は下がり続け、年始から5日続落となりました。年初に5日続けて下げるのは、1950年に日経平均株価の算出が始まって以来、史上初めてのことです。
8日には17,500円割れ目前まで下げ、5日間の下げ幅は一時1,500円に達しました。昨年1年間で日経平均は1,582円上昇しましたので、わずか5日で昨年の上昇分をほぼ帳消しにした格好です。この間にいったい何が起こったのでしょうか。
■史上初「大発会から5日続落」の原因を紐解くと…
まず、一つ目は地政学リスクの高まりです。1月3日にサウジアラビアがイランと外交関係を断絶すると発表。サウジと関係の深いバーレーンやスーダンも追随したほか、アラブ首長国連邦やクウェートも大使を召還させるなど、影響が中東全体に広がっています。
また、6日に北朝鮮の国営テレビが「水爆実験を行い成功した」と報道し、リスクオンに拍車をかける事となります。真偽のほどは専門家の間でも判断が分かれているようですが、投資家心理の悪化につながった事は論じるまでもありません。
もう一つは、中国市場の混乱です。株価の急落を食い止めるために導入した「サーキットブレーカー」が裏目に出て、世界のマーケットを揺らすことになりました。
サーキットブレーカーは、中国の代表的な株価指標である「CSI300指数」が1日で±5%変動した場合は15分間取引を停止し、±7%変動した際にはすべての売買を終日停止するというものです。
4日の取引初日から早速発動されることになりますが、急に売買ができなくなったことで投資家がパニックとなったのです。
中国は、株式の売買シェアの8割を個人投資家が占めるといわれています。昨年の夏には、「重要な発表がある」として数週間にわたって売買が停止される事態になったため、今回も取引きができなくなると勘違いして、狼狽売りが広がりました。
また、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行が、人民元の対ドル基準値を7日まで8営業日連続で引き下げたため、人民元安によって対中向けの輸出が落ち込むとの警戒感が広がりました。
■「チャイナ・ショック」は春節前に収束か
地政学リスクとチャイナ・ショックのダブルパンチで、2016年相場は年初から大荒れの船出となりました。市場はいつ落ち着きを見せるのでしょうか?
中東や北朝鮮の問題は状況を見守るしか施す術はありませんが、チャイナ・ショックは次第に落ち着きをみる可能性があります。
8日にはサーキットブレーカーが一時停止されたほか、株式を買い支える市場介入を当局が実施したとの一部報道もあります。
市場原理を無視した政策が長続きするとは思えませんが、このまま春節を迎えるわけにもいかないでしょうから、「官製相場」によって混乱収束に向かう公算は大きいでしょう。
■日本株の鍵を握るのは「3月期企業と日銀」
また、今月第4週から主要な3月期企業の決算発表が始まります。日本企業のファンダメンタルズは好調だと確認できれば、企業の実力が評価される業績相場へと移行することでしょう。
さらには、1月28日、29日の日銀金融政策決定会合に向けて、追加金融緩和の観測が相場の下支えになる可能性がありそうです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
小野山 功