買い意欲削がれ続落、円高・ドル安進行に警戒感

著者:冨田康夫
投稿:2016/01/04 18:30

明日の東京株式市場見通し

 5日の東京株式市場は、中国株式市場や外国為替相場などの外部要因を注視しながらの神経質な推移となりそうだ。ただ、年初の大幅下落で市場参加者の多くは出ばなをくじかれ買い意欲を削がれており、日経平均株価は続落となりそうだ。外国為替市場で、午後5時過ぎ現在1ドル=118円60銭台へと円高・ドル安が加速していることも懸念材料だ。

 4日(大発会)の東京株式市場は、年初から4営業日ぶりの大幅安となった。日経平均株価は、一時600円を超える急落となり、終値は前営業日比582円73銭安の1万8450円98銭と、10月22日以来約2カ月半ぶりの安値水準となった。

 サウジアラビアがイランとの国交断絶を発表して中東での地政学リスクが高まっていたところに、15年12月の財新・中国製造業購買担当者景気指数(PMI)の悪化を受け、4日の中国・上海総合指数が急落。さらに、外国為替市場での1ドル=119円前半への急速な円高・ドル安の進行も重なり、株価指数先物先導で売りが売りを呼ぶ展開となった。

 市場関係からは「“ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)から判断すれば下げ過ぎ”と言うことは簡単だが、チャート面では、下値支持線として作用していた75日移動平均線(1万8840円=4日)を大幅に割り込み、12月15日の安値1万8562円も下回ったことで、調整色が強まっている」との見方が出ていた。

4日の動意株

 ドーン<2303>=ストップ高。
同社はGIS(地理情報システム)クラウドソリューションを業界に先駆けて展開し、官公庁や自治体に加え、民間企業向けにも高い実績を持っている。この技術が自動運転車分野でもキーカンパニーの一社として商機をつかむ可能性が指摘されている。自動運転車関連銘柄のなかでは株価に出遅れ感があり、2014年に2040円の高値まで一気に駆け上がるなど急騰習性にも注目が集まっているようだ。

 ハーツユナイテッドグループ<3676>=6日続伸。
安倍晋三首相が2020年の東京五輪までに自動運転車の実用化と普及促進に前向きな姿勢を明示し、自動運転車の開発・普及に強力な国策の後押しが利いている。そのなか、直近では経済産業省が自動運転車の実用化に向け、市街地をイメージした専門テストコースを整備することが伝わり、関連銘柄が勢いづいた。

 綿半ホールディングス<3199>=後場一段高。
同社は昨年12月下旬に東証2部から1部に市場変更しており、今月末のTOPIX組み入れへの期待がある。また、地方自治体に本社機能を移転した企業に対して地方税を減額する動きが広がるなか、4日付の日本経済新聞は「長野県は法人事業税を3年間95%減額する」と報じた。同社の本社は東京だが、ホームセンターなどの事業基盤は主に長野県に置いており、同県へ本社を移転した場合、事業税が減額されることに対する思惑買いが流入している様子だ。

 ジャパンシステム<9758>=ストップ高。
今月から社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度の運用がスタートしたことに伴い、マイナンバー対応の情報セキュリティーソリューションを提供する同社にも関連銘柄人気が波及しているもよう。海外株安や為替の円高含み、さらに中国をはじめとするアジア株の軟調で全般相場が悪化しているだけに、注目のテーマ株として同関連銘柄に物色の矛先が向かう要因ともなっているようだ。

 ヒト・コミュニケーションズ<3654>=4連騰。
時価は上場来高値圏をまい進する状況にあり、戻り売り圧力のない点が強みとなっている。PER19倍に割安感はないが、毎期増配を続けるほか、20%を超えるROEは魅力であり、投資ファンドの買い増しなどに期待が募っている。

 日本エアーテック<6291>逆行高。
IT、バイオ業界向けクリーンルームと関連機器の専業メーカーで、15年12月期営業利益は前期比2.6倍の2億1000万円を見込む。世界最大の資産運用会社であるブラックロックが同社株を買い増す動きをみせていることで、市場でも注目されている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想