拡大続く沖縄経済

著者:冨田康夫
投稿:2015/12/24 17:35

インバウンド消費が牽引

 沖縄経済の拡大基調が続いている。日本銀行那覇支店が14日に発表した12月の県内企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は全産業でプラス45となった。

 前回の9月調査から1ポイントの上昇で、15期連続のプラス。全国短観の全産業DIのプラス9と比べると沖縄県の景況感が突出している。内訳をみると、製造業DIがプラス41(前回プラス46)となった一方、非製造業はプラス47(同プラス43)に拡大。インバウンド消費が景況感を牽引しているとみられ、小売業のDIはプラス70(同プラス50)、サービス業のDIはプラス67(同プラス56)に達している。

 日銀那覇支店は4日に発表した県内金融経済概況で、個人消費は人口増加や観光需要の拡大から堅調に推移していると指摘。航空便数の拡充やクルーズ船寄港回数の増加などで外国客需要が大幅に伸びているほか、国内客需要も航空路線の拡充などを背景に伸長している。政府が2016年度予算案の沖縄振興費を今年度当初から10億円増の3350億円とする方針を固めたと伝えられていることもあり、沖縄関連銘柄から目が離せない。

 サンエー<2659>は、県内流通大手でスーパーを軸に外食事業などを展開。10月5日に発表した16年2月期第2四半期累計(3~8月)の連結営業利益は72億800万円(前年同期比7.4%増)となり、通期計画129億4100万円(前期比0.7%増)に対する進捗率は55.7%となった。

 ホテルでは、リゾートホテル「ラグナガーデンホテル」を運営する明治海運<9115>や、リゾートホテル「ザ・ビーチタワー沖縄」などを手掛ける共立メンテナンス<9616>に注目。

 モバイルクリエイト<3669>は、沖縄都市モノレールおよび沖縄本島バス事業者4社の共通IC乗車券システムを開発した経緯がある。

 また、沖縄銀行<8397>琉球銀行<8399>沖縄セルラー電話<9436.T>などへの恩恵も期待される。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想