yuhsanさんのブログ

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1-8 投資にプロはいません


「プロになって、その道の頂点に立ちたい」との思いは誰にもあります。「会社を辞めて株で生活します!」という人も結構いるようです。株で生活するということは、収入源を株に頼ること、つまりプロの投資家になることです。


その道を極めるためには、腕と道具、それに修行が必要といわれています。囲碁、ゴルフなどには、それぞれに、プロとアマとが明確に区別され、プロになるには相当険しい道のりが待っています。


株にもプロがいるようですが、この世界のプロは、証券会社に入社し、人の資金を運用するだけのサラリーマンプロが大半です。株で生活しているといっても、株を売買して給料をもらっているだけで、独立して生計を立てているとはいえません。


彼らのプロとしての視線は、証券会社や金融市場。つまり、市場を運営するサイドに立って、市場を活性化しようという意図で投資を見るようになっています。したがって目線が、個人投資家を儲けさせるより、短期取引で売買高を増やし、手数料収入をあげようとする傾向になります。そんなプロの教えが長期投資にどれだけ役に立つのか、考えるまでもないような気がしますが。


彼らのプロとしての腕前は、会社の看板、資金、情報、機材があって始めて機能し、会社を辞めてしまうと、株で生活することなど到底できません。サラリーマンプロは、いっぱいいますが、株の売買を手助けする側のプロばかりで、実際に自分の金を運用し、それで生計を立てているプロとは程遠いものといえます。


生活費を株で稼ぐプロとしては、投資法、資金それに時間が必要といえそうですが、決定的な要因は、資金量にありそうです。どんなに腕前がよくても、資金が1,000万円では「株で生活」するのは無理です。


生活の条件にもよりますが、ほかに収入がなければ、生活費として月に10~20万円は必要です。


10万円としても、年に120万円になります。1,000万円の中から120万円も持ち出していたら、投資資金が年に12%も減ることになります。いかにいい腕前をもってしても、毎年コンスタントに減少してゆく資金を維持するのは至難の業です。


1,000万円では、配当金だけで生活費が捻出できませんから、稼ぎは株の売買益ということになります。信用取引などでレバレッジをかけるでしょうが、当然、勝ち負けを争うゲームとなり、儲けは必ず誰かの損失の上で成り立っていますから、利益もあれば損失も出ます。素人相手ならいざ知らず、相手はヘッジファンドのような超手ごわいプロ集団かもしれません。


勝つためには、時間を味方につける必要がありますが、投資資金を回収しなければ、食っていけない状況では、そんな余裕もありません。1,000万円では、どんなプロでも株で生活は無理です。


それなら、1,000万円の資金で法人を設立して、資金を調達して株で運用し、生活費は給料で受け取るというのはどうでしょうか。法人には5年間の損失繰越、利益や費用の通算と個人にない税法上のメリットもありますが、定額の地方税負担とか、法人維持などの出費もあり、プラス面だけでもないようです。


銀行や出資者が金を貸してくれなければ、運用する資金が増えることはないので、法人を立ち上げても食ってゆけないことには変わりありません。それに他人の資金を集めて運用するには、法的な規制も罰則もありますので、十分注意する必要があります。


資金が5,000万円あれば、なんとか「株で生活」できます。年間200万円の資金流失があっても、配当金で穴を埋めることは容易ですし、腕前を発揮して大きく資金を運用して売買益も稼ぐことができます。


となると、5,000万円の資金量に達するまで、株で生活することを我慢して、修行の道を歩くことになります。どのくらいの時間がかかるかは、投資法に掛かっています。株をゲームとして考えるのでなく、時間を味方に資産形成を計れば、そんなに難しいものではありません。その間に、独立して株に明け暮れする必要もありません。生計を立てる仕事を持ち、時折持ち株のポートフォリオを見直す程度で十分です。


資金量がすべてとなると、株で生活するにはプロになる必要がないともいえます。プロは、株で生活していますが、株で生活している人は必ずしもプロではありません。配当金で生計を立てている人を、プロと呼べるでしょうか。


株で生活するには、自分に残された時間を判断し、その時間内でどれだけ資産を増やせるか、そのための投資法を身につけることです。投資法が完成して、配当金で十分食べてゆけるだけの資金を獲得したら、プロになって人に教える必要もありません。


長期投資にはプロはいないのです。


ただ、長期投資の成功者は多数います。その人たちから学ぶところは多いのでは……。




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4件のコメントがあります
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    yuhsanさん
    2014/10/19 09:26

    思惑さん

    おはようございます


    歴史は繰り返すといいますが、同じことを考えておられた方がいたのは、複雑な思いです。

    昭和50年代というと、バブルの入り口のころですが、私がそろそろ株を始めようとしたころです。

    私はあんまり人の本を読まないほうなので、この方の存在は知りませんでしたが、あのころはなにを買っても儲かるよき時代でした。

    今は外国人が主流で、値動きも激しく、短期投資が主流になっています。

    投資環境が、大きく違う時代の考えが、今での通用するのかどうか…、

    難しい判断です。

    それでも、短期投資より長期投資のほうが、リスクが少なく、リターンが大きいという考え方は、あのころより定着しているような気がします。

    貴重な情報ありがとうございました。


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    思惑さん
    2014/10/18 21:51
    yuhsanさん、素早いご返答ありがとうございました。
    yuhasanさんの「プロはいません」も「波乗り投資法」も多分、昭和50年代に議論されつくされたものだと推察します。
    「波乗り投資法」は故 楠原正巳教授の「株の波乗り戦法」に「プロはいません」は故 久世雄三先生の「株名人の相場技術」に書かれていることに近いと推察します。
    どちらの著書も絶版となっていますが、30年を経た今でも中古本として価値が認められています。
    http://www.amazon.co.jp/s/ref=la_B004L27GL4_B004L27GL4_sr/377-9686537-3787964?rh=i%3Abooks&field-author=%E6%A5%A0%E5%8E%9F+%E6%AD%A3%E5%B7%B3&sort=relevance&ie=UTF8&qid=1413633611
    http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%E4%B9%85%E4%B8%96%E9%9B%84%E4%B8%89&rh=n%3A465392%2Ck%3A%E4%B9%85%E4%B8%96%E9%9B%84%E4%B8%89&ajr=1
    現在、上記のような本は主流ではありませんが、確かに現在も再発見されるべき内容が詰まったものだと思います。
    yuhsanさんが考えていたようなことが、昭和50年代の非主流派の投資家としていた事実を受け止めてほしいと思います。
    私も、故人となられた上記2名の遺志を現代に伝えていくためにも、yuhsanさんのような文章を書くことがうまい方に「語り部」となってもらうことは大切なことと思います。
    陰ながら応援させていただきます!
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    yuhsanさん
    2014/10/18 18:19

    思惑さん

    こんばんは


    どうしてどうして、「ケチな野郎」ではありません。大変有益なコメントありがとうございました。

    表題の「プロはいません」も、「波乗り投資法」も私の造語ではありません。

    ただ、私がそう思っているだけです。

    世の中には思っていても、なかなか発表できない人もたくさんいます。

    もし、思惑さんがどこかで見たと思われるなら、そういう人たちの声を代弁しているのかなと、自負しております。

    ただ、「波乗り投資法」は、私が出版したときは、同じ題名の本はありませんし、内容も似たものもありませんでした。

    版権を主張するつもりはありませんが、類似の出版物があれば、教えていただくと大変ありがたいのですが……。

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    思惑さん
    2014/10/18 17:08
    yuhsanさん、はじめまして、私は思惑というケチな野郎です。
    表題の投資にプロはいません。は、どこかで聞いたような言葉です。
    確かに投資にプロアマの区別は意味がないと思います。
    ただ相場のうまい人、下手な人がいるだけだと思います。
    投資の世界には自称プロの方々がたくさんおられます。
    この自称プロのほとんどは、相場が下手です、
    ヘッジファンドにしてもろくでもないのもたくさんです。
    株式で所得が多い人が、相場がうまい人とは限らないと思います。
    私は、相場がうまい人が好きで、下手な人は嫌いです。
    (影の声:波乗り投資法どこかで読んだような題名ですね?)
    失礼しました。