衣雲さんのブログ

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ロックフェラーとスタンダードオイルの偉いところ(2)

http://minkabu.jp/blog/show/571397
今日は↑この日記の続きです。
前回は以下の3点をロックフェラーの偉いところとして上げました。

・「石油採掘」ではなく「石油精製」に着目した。
・はじめて「安全な灯油」を世に送り出した
・「鉄道輸送」に着目し、交渉により有利な条件で独占契約した

これは以下の様に言い換えることもできます。

1.効率的なビジネスモデル
2.潜在的な市場性の掘り起こし
3.独占的な流通の確保

これらは現代のビジネスでも十二分に役立つ戦略パターンです。
今回は更にスタンダード・オイルがアメリカを支配し「帝国」を築き上げた戦略について述べたいと思います。

・「石油パイプライン網」の発明した
 今でこそパイプラインは世界中で活用されていますが、この優れたアイディアもロックフェラーとスタンダードオイルの発明でした。当時、鉄道輸送により安定的な流通を確保したロックフェラーでしたが、彼の台頭と共に鉄道業界は危機感を覚え、価格カルテルにより自らの優位性を保とうとします。しかしこれをスタンダード・オイルに対する挑戦と受け止めたロックフェラーは、鉄道に頼らない流通網を確保し、石油流通を完全に独占すべく「石油パイプライン網」という全く新しいインフラを発明します。これにより、スタンダード・オイルの運賃支払に大きく頼っていた鉄道業界は大打撃を受け、鉄道バブルは崩壊、アメリカは1873年から恐慌に見舞われてしまいました。

・バブル崩壊を利用してあらゆる企業をタダ同然で買収した
 ITバブル崩壊のときを思い出していただければ、鉄道バブル崩壊の様子は想像しやすいでしょう。ITバブルによりあらゆる企業で「効率化」が進み、大幅に生産性が向上すると思われて株価は急騰しました。しかし、思ったほどITは儲からないと判るやいなや急激な資金の引き上げが起こり、まずはIT企業から株価が暴落、続いて一般企業にまでその影響が波及し株価は「理由なき」値崩れを起こしました。これと似たような状態が鉄道バブルの崩壊でも起こりました。しかし、聡明なロックフェラーはその先に控える更に大きなバブルを見据え、全力で企業買収を進めていきました。このときの大胆な判断こそがロックフェラーを一大帝国に引き上げ、世界の覇者たらしめた原動力となったのです。

・ガソリンの市場性にいち早く着目した
 鉄道バブルの崩壊に乗じて勢力を急拡大していったロックフェラー帝国ですが、それでもスタンダード・オイルの「灯油」は収益の大きな柱でした。しかし、ここでロスチャイルドーJPモルガンの勢力による予想外の攻勢を受けます。JPモルガンはロスチャイルドの巨大な富を背景に全く新しいエネルギーインフラである「電力」に全財産を投資しました。電灯の普及はロックフェラー帝国の屋台骨を揺るがしかねない脅威でした。そこで、当初ロックフェラーは莫大な資金を「電力」へのネガティブキャンペーンに注ぎました。しかし、電力の普及は歴史の必然であり、もはや抗えないと判断したロックフェラーは次の手を打ちます。それが自動車の燃料としての「ガソリン」です。灯油全盛の時代には揮発性が高過ぎるため廃棄されていたガソリンが、内燃機関の燃料として最適であることを見出したのもロックフェラー−スタンダード・オイルです。更に、熱分解法による安価なガソリンを世に送り出したのもスタンダード・オイルでした。ここでも「潜在的な市場の掘り起こし」が威力を発揮しました。そしてこの判断こそが、世界中でモータリゼーションが進むに連れ石油の価値を引き上げ、アメリカにゴールドに代わる強靭なバックボーンを与えるのでした。その意味で、アメリカに今日の繁栄をもたらしたのもロックフェラーであるといえます。

・非ユダヤ系アメリカ人として唯一ユダヤ資本と対等に渡り合った
 ゴールド中心の時代は、言い換えればロスチャイルドの時代でもありました。ロスチャイルドは世界最大ともいわれる金保有を背景に覇権を握っていたユダヤ資本でしたが、これに非ユダヤ系として初めて喧嘩を売ったのがロックフェラーです(※本当に非ユダヤ系なのかは異論もありますが、少なくとも資料の上でロックフェラーがユダヤ系であるとする証拠はありません)。ロックフェラーは石油を背景にロスチャイルドに対抗し、冷戦、プラザ合意、共産圏の崩壊を経てロスチャイルド勢力に引導を渡し現代の金融資本主義にまでつながるわけですが、それについてはまた機会があれば書きたいと思います(読みたい人はいないと思いますが・・・)。

まとめると、ロックフェラーは以下の戦略で一大帝国を築いたということになります。

1.効率的なビジネスモデル
2.将来性の高い市場の掘り起こし
3.独占的な流通の掌握
4.バブル崩壊に乗じた大胆な企業買収

もしこんな経営者がいたら、こんな企業があったら、そのときは迷わず買いです。
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