jojuさんのブログ
世界経済の中期見通し(伝統的、非伝統的金融政策)
バーナンキ講演は可もなく不可もなく、の内容。
ECBの前に、欧州を怠けさせるような美味しい発言はやはりなかった。
ただ、問題なのは、非伝統的金融政策に慎重な点。
資金が国境をまたぎ動き回るグローバル化以降は、実質金利、期待実質金利が国内景気に大きく影響する。
ゆえに、名目金利に注力する伝統的金融政策では機能不十分になるのは自明なこと。
流動性や物価に働きかけ実質期待金利に効く非伝統的金融政策こそ、グローバル化以降、スタンダードな金融政策になっていくのです。
FRBが非伝統的金融政策に慎重だとすると(要するに中銀資産大膨張へのびびりなのです、、非伝統的金融政策の重要性は分かっているのでしょうが)、ドイツの慎重さと相まって、先進国の金融緩和は前向きにはならない。
超緩慢な景気回復の中で、欧州の不良債権規模がある程度膨らみ、欧州金融のデレバレッジもそれに応じて膨らむ、、という図式になるのでは?
金融緩和が極めて不十分だった日本のバブル崩壊後ほどには引きずらないと思いますが、あく抜けまでは大分かかるのでしょう。
このシナリオだと、円高はそれほど進まないが、回復は超緩慢になる(金融緩和積極モードならばその反対)。
金融緩和をやらない、とは言ってないので(『それなりに』やる。それがFRBの使命だから)、増益率は伸び悩むものの米国景気の失速はなく、欧州落ち込みを新興国成長(緩和バリバリになる?)が漸次カバーする構図になっていくと見ます。
そして、今般景気がピークに達する頃、新興国経済の躍進、先進国の相対的地位低下が一層進むことになるかもです(ロムニー政権成立でアンチ通貨ダンピング関税等が施行された場合はそうならないので注意)。
-
タグ:
<非伝統的な金融政策の成功と限界>
米国や他の先進国で、非伝統的な金融政策の導入からすでに数年経過していることから、こうした政策がどのように機能するか、われわれはすでに知っている。
これまでの経験に基づくと、こうした政策には効果があり、実施されなかった場合2007─09年のリセッション(景気後退)は一段と深刻化し、現在見られる回復も現状より緩慢なものになっていたことは明確だ。
非伝統的な政策が、経済活動と物価上昇に及ぼす効果の推計は不明確だ。さらに、非伝統的な政策の実施に伴うコストは、標準的な政策に通常伴うコストを超える。この結果、非伝統的な政策の実施に対するハードルは、標準的な政策よりも高くなる。
さらに現在の文脈においては、非伝統的な政策は、より一般的に金融政策の限界に直面する。その限界とは、より広範でバランスのとれた経済政策の組み合わせを用いて達成できることを、金融政策のみでは達成できないということだ。また特にその国が直面する財政、および金融上のリスクを、金融政策で中和することはできないということだ。さらに、明らかに経済への成果を微調整することもできない。
***********
上記の部分にFRBのびびりモードがよく見える。
効果が定量化出来ないことと、効果がないことは別問題。 効果が不明確でも効果有りならばしっかりやるべきなのです。
中銀資産膨張を防ぎたいが為の財政政策待望も見えるが、それが難しいことは議長自身、分かっているはず。
それでもそう吐露するところにびびりモードが現れているのです。
非伝統的金融政策によるコスト(中銀資産膨張)と、それが不十分なことによる空洞化コスト、、、どちらが問題かと言えば、後者のほうが問題。
前者は、中銀による通貨価値のコントロールで何とかなるが、後者は財政政策など金融政策以外の余地を減じるようになるから。
〜。デフレ型の景気減退はバランスシートの改善が優先されて再投資が行われにくくなるために貨幣乗数が低下するというのが原因のはずだから、伝統的金融政策が効きにくいというのが一番の問題なんだと思います。だから量的緩和で無理やりインフレ率をある程度嵩上げする必要が出てくるんだろうなあと理解しました。
発生させるからそのしわ寄せが労働者に向かい、失業率の上昇やジニ係数の上昇といった形で格差拡大が顕在化しちゃったんじゃないかなと思います。
また、アメリカのM2は既に異常な水準に達しているのは明白なので、今はインフレ率をコントロールしながらドルをソフトランディングする段階に入っているんじゃないか?という疑念もあります。
> 〜
> 欧州落ち込みを新興国成長が漸次カバーする構図になっていくと見ます。
大筋で私も同意です。大胆な量的緩和に踏み切れなければ、間違いなく欧州ではデレバレッジが進むでしょうね。統一通貨が話を複雑にしているため、日本よりも深刻になる可能性すらあると思います。回復は「超緩慢」どころか、EUが解体しない限り徐々に衰退していくんじゃないでしょうか。
量的緩和で起きるのは、終局的には通貨価値の適正化(低減)=労働価値の適正化(増大)ですよ。
無理矢理インフレを起こすとかそういうことではない。
適切に通貨価値の高すぎによる歪みを除去するだけです。
効果が限られる、と議長が言っていたのはそういうこと。
ともあれ、それにり景気は中立化していくますから、資産価格、物価、賃金と波及して上がっていきます。 失業率も当然下がっていきますよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
米国での最近の格差拡大は、量的緩和が対中国等で相対的に不足してることで起きている。
量的緩和不足による空洞化で、低レベル労働者の雇用が中国に奪われたことで起きてます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
米国はまだ、緩和が必要な状態ですよね。 欧州発のデフレ圧力がかかるのですから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ユーロ解体よりも最適通貨圏化への動きが勝るかもです。
衣雲です、返信ありがとうございます
> 量的緩和で起きるのは、終局的には
> 通貨価値の適正化(低減)=労働価値の適正化(増大)ですよ。
> 無理矢理インフレを起こすとかそういうことではない。
でも実際にQE1後に起きたのはドルの減価だけで、労働価値の適正化は起こりませんでした。見方によっては「失業率の上昇に歯止めをかけた」とも言えますが、8-10%の失業率で「労働価値がプラトー達した」と言う方が実態を表してると思います。
サブプライム危機処理に臨んでQE1が出た時、私は素直に「資産価値の暴落を防ぐために過剰流動性相場に持って行ってインフレ率を維持するんだな。そうすることで日本型のバランスシート不況に陥るのを回避するつもりだろう。」と考えましたが、認識が間違ってたかな・・・?
通常、インフレ率が上昇すれば失業率は低下に向かいますよね?でもそれが起きなかったのは、既にアメリカが2008年までにバランスシート不況に突入しており、そこで量的緩和を行なってもまずはバランスシートの修復に向かうため、失業率低下や賃金の上昇が起こらなかった
。だからドルの減価によって実質労働価値は低下した(名目労働価値は据え置きだったので)、という風に捉えています。
> ともあれ、それにり景気は中立化していくますから、
> 資産価格、物価、賃金と波及して上がっていきます。
> 失業率も当然下がっていきますよ。
私もそう思います。ただ、そのために本当はQE3が必要なのかなあ・・・と。
ドルはまだ明らかに高すぎる様に感じます。
その点も多分jojuさんと同意見で、多分
> 米国での最近の格差拡大は、量的緩和が対中国等で相対的に
> 不足してることで起きている。量的緩和不足による空洞化で、
> 低レベル労働者の雇用が中国に奪われたことで起きてます。
というのjojuさんの指摘が問題の本質なんだろうなと感じました。
> ユーロ解体よりも最適通貨圏化への動きが勝るかもです。
ユーロの最適通貨圏は、実はドイツ西部だけだったというオチは無いですよね!?(笑)
以上、長々と失礼しました
賃金上昇は景気中立化以降に本格化します。
まだ、そこまで行ってないです。
そのうえ、中国の通貨安固定政策による空洞化があるのだから、賃金伸び悩み、失業頻発となるのも当然ですよね。
要するに緩和不足と思います。
衣雲です
なるほど、そうですね!jojuさんの解説はいつも勉強になります。
いろいろご教示くださりありがとうございます
どうもです。
こちらも鋭い突っ込みを入れてもらったほうが考えが深まるのでありがたいです。