yuhsanさんのブログ
日本の富裕層-その3 経済学との関係
「え!まだやるの。いい加減にしてよ」前回は、コストプッシュ・インフレの経済に与える影響とその効果を、政治との絡みから見てきました。今回は「経済と経済学」との関係です。
「うっそ!経済学なんてあるの」大学には経済学部があり、ノーベル賞にも経済学賞があるほどの立派な学問ですが、そういわれるほど最近の経済学は堕落しています。
経済学はケインズ以後、複雑な社会事象を計量化し、大量なデータを分析する計量経済学が、行き詰まった経済の新しい方向性を打ち出すのではないか、と期待したこともありました。ただノーベル賞を受賞した計量経済学者の理論ですら、それを使ったファンドが破綻してしまうのを見ると、まだ限界があることは明白です。
経済学のような社会問題を扱う学問では、自然科学のように新しい理論を、実験で検証することができません。理論が検証されないので何をいっても自由ですが、わけの分からない理論が続出します。実験で検証できない学問の限界は、こんなところにありそうです。
経済現象は、多様な人によって構成されています。ある国でうまくいった政策を、別の国でやって、そのとおりに動くか不明です。結局、現状をうまく説明するか、調子のいいことをいっている人たちが学会をリードするようになり、画期的な経済理論は出てきません。
その中で竹中平蔵氏は、郵政の民営化で小泉首相の理論的なバックボーンとなり、理論を実際の政治で実証したのですが、郵政の民営化が実現したところで政治家を辞めてしまいました。小さい政府と競争原理の導入、金融によるデフレの克服といった彼の主張は、社会実験未了のままです。とはいっても、経済学を先進国の社会で検証できた学者として、ノーベル賞の候補になる可能性のあるのは、彼くらいしか思い当たりません。
ところで、学者と呼ばれるには、大学教授の肩書きが必要のようです。でも大学側が教授を選ぶときには、研究成果は二の次で、経済界と政府に受けがよく、学生の就職活動に都合のよいことが条件のようです。こうして、論文を書くよりマスコミに出るほうを選ぶ教授が増えてきます。
「へぇ~こんな人が経済学部の教授。それだったら・・・」とばかりに、自称経済学者が町に溢れます。これら肩書きだけの教授が、マスコミで日本経済を論じているのをみると、教えている大学の学生が気の毒になってきます。「二番じゃだめなの!」といって有名になった政治家は、こんな教授から学んだのかもしれません。
経済学部を選んだ学生のほうも、有名教授のゼミに加わり就職への道筋をつけようとはしますが、経済学の勉強のほうはそっちのけで、就活や就職後に役立つ会計学、簿記、商法などに励むようになります。卒業生に経済学について質問しても、学者の名前を挙げるぐらいが関の山で、まともな答えが返ってこないのも無理ありません。
経済学で有名な大学といえば、東大、一橋大、慶応などが思い浮かびますが、東大は大蔵省、日銀などとの関係が深く、一橋大、慶応は、商社、証券、銀行といった民間のシンクタンクとの結びつきが強いようです。それだけに、大学での研究も、既得権益に都合のよいものになりがちで、「デフレに悩み、GDPの2倍もの借金を抱えた国が、どうやって経済を活性化し、国民所得を増大させるのか」その方策すら提言できない有様です。
政党に経済学者の支持がないのも問題です。政党の政策は、経済学を実証する場のはずですが、寄り合い世帯の民主党がどの経済学を指向しているのか不明です。今では、ほとんど省みられなくなっている左翼理論の支持者もいるようですが、表立ってこれをいう人はいません。マスコミに登場する民主党議員も、人によって都度主張が変わります。
民主党も政権与党として、はっきりした経済政策を掲げる必要があります。自民党は資本主義を掲げていましたが、新しくできた政党も、その経済政策のバックボーンをはっきりと国民に提示して、政治に関与してほしいものです。
冷静に現状を見てください。
デフレで得した人は誰ですか・・・。リスクを取らなかった富裕層、公務員、年金生活者、生活保護を受けている人???
デフレで損をした人は・・・。借金をした人。なかでも、膨大な借金を抱えている政府です。日本の富裕層は、負担を政府に負わせ、ぬくぬくとデフレを享受していたのではないでしょうか。ここまできて、まだ税金を上げるより国の借金を増やせというのは、あまりにも虫がよすぎます。
人口増と資源の枯渇が鮮明になると、世界の国々はいっそう資源の分配を主張するようになります。経済学が的確な回答を出せないと、民主主義が壁にぶつかっているように、資本主義もその限界を露呈して、軍事力を背景にした共産主義に逆戻りしかねません。そんな時、日本の富裕層は、何を信じ、どちらの方向に向かうのでしょうか。
長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。
「なに~、これで終わり?あまり役に立ってないよ」勝手にしろ!!!
jojuさん
おはようございます。
jojuさんからのコメントお待ちしてました。
大体想像していたようなお小言をいただけるものだと思いながら書き上げました。
私としては皆さんの意識レベルを見る上でたいへん参考になりました。
このままでは国家破綻は避けられません。世の中の動きは消費税増税に向かっています。
jojuさんのようなお考えの方方から、その解決法を、ぜひ日記のうえで、発表していただければと思います。
来週からは、また株式投資法についての自慢話になります。
どうぞお立ち寄りください。
まったく逆だと思います。
税金を上げるためにデフレにしてるのです。
なぜなら、日本だけ諸外国より通貨供給量が少ない状態がずっと続いているからです。
通貨供給量過小=デフレ化ですから、意図的にデフレにしていると見られても仕方のない状態です。
デフレ=税収減ですから、意図的に財政悪化させているとも言えます。
で、財政を悪化させれば、国民に増税を迫れますね。
税金を上げるために借金を大きく見せているのです。
なぜなら、政府のほんとの借金=負債ー資産、、は大きくないのですから。
政府負債が増えれば、政府資産も増えるのですよ。
でも、純粋な負債は大きくないのです
それなのに、資産込みの純粋な負債額を言わず、資産を差し引かない負債額ばかり喧伝してます。
これは増税に追い込むためとしか思えませんね。
詳細は当方日記の高橋洋一さん書評にも書いてますので、参照してみてください。
増税=官僚(財務省)の支配力拡大、権限拡大です。
増税=バラマキ政治家の利権拡大です。
ビッグバン2011さん
コメントお寄せいただきありがとうございます。
新年早々から、だんだん重いテーマになってしまいました。
当初は、デフレ克服の対策と、株価への影響を書くつもりでいたのが、だんだん大きくなり、ついには学校の教授まで槍玉に挙げるようになってしまいました。
もっともぜんぜん思っていないわけでもありませんでしたが・・・。
でも、この場で皆様方の政治に対する取り組み姿勢が明らかになって、大変勉強になりました。
思っていた以上に、政治と経済に関心と造詣が深いのに驚いています。
今年は選挙の年、早くこの重苦しい空気を明るくし、若い人がいい仕事に就き、希望を持って人生を送れるようにしてあげたいですね。
>「デフレに悩み、GDPの2倍もの借金を抱えた国が、どうやって経済を活性化し、国民所得を増大させるのか」その方策すら提言できない有様です。
デフレ脱却、財政破綻の回避、将来的な国債償還の道筋、経済の活性化、国際競争力維持、国民所得の増大、社会保障の充実などという、複雑な連立方程式を解かないといけません。全部を満足する解があれば、よいのですが、もし全部を満たせないときは、何かを取って、何かを後回しにするしかないのでしょう。
何を優先させるかも含めて、全体最適を目指す政策パッケージが必要と思いますが、そういうものを信念と確信をもって持ち合わせている人がどれだけいるか、仮にいてもそれを実行に移せるポジションにあるか、仮にそういうポジションにあっても、社会の理解を得て実行していく力があるかというたくさんのハードルがあります。
今出ている意見はバラバラで、それを継ぎはぎしてもうまくいくとは思いません。
各政党が、きちんと体系的に政策パッケージを提示して、それを選挙で国民が選択し、選択した以上は、四の五の言わずに任せるということがなければ、「何も決定できない民主主主義、責任を取らない民主主義」になってしまいます。
まして、衆議院と参議院がねじれている状態は、政治のロス以外の何物でもありません。
より慎重な民意の反映という意味で、ニ院制も意味を持つ時代があるかも知れませんが、今の時代のように決定と実行が必要な時代にあっては、社会の障害になってしまいます。
消費税を上げるにせよ、消費税を上げないで他の方策を取るにせよ、体系的にきちんと提示し、それを国民がきちんと選択し、選択した以上は実行するという政治が必要と思います。
Ukiyoさん
コメントありがとうございました。
そうですね。もう共産主義の時代ではないですよね。
でも、いつの時代もそうですが、軍事力で資源獲得競争に走る国は、共産主義を手段として使おうとしています。こんな国にどう向かい合うのか、困ったもんです。
いろいろありますが、私は日本の将来について、それほど悲観していません。少なくとも、株価についてだけかもしれませんが・・・。
ねこ2さん
コメントありがとうございます。
おっしゃるように、私も竹中さんはあまり好きではありません。だからその部分は目立たないようにしたんですが・・・。
確かに言動が目立ちすぎますし、いっていることが過激です。今後可能性はないと思いますが、日銀の総裁にでもなって、彼の言う金融政策でデフレ解消するという理論が実証されなければ、ノーベル賞は無理でしょう。
でも、いい悪いは別にしても、世論は消費税上げのほうに傾いてきたことは事実です。われわれも消費税引き上げで世の中がどう変わるか真剣に考えなくてはならなくなった感じです。
その1から読ませていただきました。ありがとうございました。
どんな形であれ共産主義はほぼ失敗に終わる流れですのでそれほど心配はしておりません。
そのほかまったく同感です。
経済学者はなにをしているのかと思います。
提言のできる学者、それそってた指導者・政治家はいないようです。
残念ながらなにもかもしばらくは悲観的に見ています。
私自身も、評価ができていません。
確かに、正論を述べていて、小泉政権での貢献は高いものと思います。
短期的には、日経も上昇したし、財政悪化を改善はしたものと思います。
その成果となると、おっしゃるように、社会実験は未実施だったのかもしれませんね。
ある意味、ケインズと同じように、理論は正しくても、実社会においては、多少の、かなりの修正が必要なのかとも、思っています。
それにしても、最近の竹中さんは、マスコミに呼ばれ、現政権へのコメントを求められことが多いですが、多少、言動が過激すぎて、自分の成果を誇示しすぎているような気もしますが。