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*12:21JST 日経平均は6日ぶり反発、需給悪化イベント通過も上値の重さ変わらず
日経平均は6日ぶり反発。90.15円高の32279.88円(出来高概算6億888万株)で前場の取引を終えている。
10日の米株式市場でダウ平均は209.52ドル高(+0.62%)と4日ぶり反発、ナスダック総合指数も+0.18%と4日ぶり小反発。連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げを警戒した売りが先行したが、その後金利が低下したことで買い戻しが優勢になった。
景気敏感株を中心に堅調に推移した一方、ハイテクは半導体株を除いて売り買いが交錯した。なお、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+2.06%と大幅に続伸。上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う換金売りが一巡したことや米SOX指数の上昇を背景に日経平均は244.94円高からスタート。しかし、為替の円高が重石となり、32500円に近づくと戻り売りに押される一進一退の展開が続いた。前引けにかけては失速し、この日の安値圏で終えている。
個別では、米SOX指数の上昇を受けてレーザーテック<6920>、アドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>など半導体株が大きく上昇。SUMCO<3436>は経済産業省が新工場建設を補助するとの報道もあり大幅高。連続増配や既存店売上高が好感されたコスモス薬品<3349>は急伸。決算を材料に前日ストップ高となった良品計画<7453>は大幅続伸。USENNEX<9418>は大幅増益決算と業績上方修正が、パンパシHD<7532>は既存店売上高が、ベルク<9974>は第1四半期高進捗の決算がそれぞれ材料視されて大きく上昇。ほか、ANYCOLOR<5032>やラクスル<4384>、Sansan<4443>などグロース(成長)株の上昇が目立つ。三菱自<7211>は外資証券の目標株価引き上げが好感されているようだ。
一方、本日、株式の売出価格が決定するソシオネクスト<6526>は大きく下落。為替の円高を受けてトヨタ自<7203>、日産自<7201>、マツダ<7261>が安い。決算が失望されたウエルシアHD<3141>、ブックオフGHD<9278>、進和<7607>、業績下方修正や株主優待制度の廃止が嫌気されたワッツ<2735>などは急落している。
セクターで水産・農林、金属製品、精密機器が上昇率上位に並んだ一方、輸送用機器、電気・ガス、海運が下落率上位に並んだ。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の60%、対して値下がり銘柄は35%となっている。
上場投資信託(ETF)分配金捻出に伴う換金売りが前日で一巡したことで、あく抜け感が台頭する期待もあったが、本日の日経平均は伸び悩んでいる。何度か騰勢を強める場面もあったが、結局32500円が近づく度に売り戻され、前引けにかけては前日終値に近い水準まで失速した。
日経平均および東証株価指数(TOPIX)ともに25日移動平均線を下回った状態が3日以上継続、日足ローソク足は4本連続で陰線を形成しており、テクニカル的にはトレンドが明らかに悪化している。
先週後半から円高・ドル安に転じている為替のトレンドが一段と強まっていることも日本株の重石だ。ドル円は前日から25日線を割り込んできており、本日は1ドル=141円も割り込んできている。
日本の期待インフレ率および10年債利回りに代表される長期金利が先週末から大きく上昇してきている。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、実質賃金は依然としてマイナスではあるものの、名目賃金は着実に増加してきており、実質賃金のマイナス幅も縮小してきている。こうした背景から、日本でもインフレが定着する期待が高まっているようだ。
加えて、先週末の日本銀行の内田副総裁の発言もあり、7月の日銀金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)が修正もしくは撤廃されるとの思惑が強まっているようで、これが円高・ドル安の要因と推察される。
7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが再開され、米連邦準備制度理事会
(FRB)がさらなる追加利上げを示唆し、さらに日銀金融政策決定会合で政策の現状維持が確認されれば、再び円安・ドル高に転じる可能性は残されていそうだ。
ただ、米ニューヨーク連銀が10日に発表した6月の消費者調査で、1年先のインフレ期待は3.8%と5月(4.1%)から低下し、2021年4月以来の低水準を記録したほか、米自動車オークション会社のマンハイムが集計した中古車価格指数によると、6月の中古車価格は前月比4.2%低下し、2020年4月以来の急激な落ち込みとなった。
今週発表される米国の物価指標の結果次第ではあるが、FRBの追加利上げは多く見積もっても2~3回と思われ、市場がすでに2回目まで織り込みはじめていることを考えれば、追加利上げ回数が市場想定比で大きく上振れる展開は考えにくくなっている。一方で、時間軸は長くても、日銀の政策修正が意識される状況は続くとみられ、再び円安・ドル高が大きく進むシナリオは想定しづらい。仮に7月の日銀金融政策決定会合で修正があれば尚更であり、この場合、ドル円は135円程度までの調整を強いられそうだ。
ほか、主力製造業決算の前哨戦として注目された安川電機<6506>の決算では、受注高が前四半期比で増加し、底入れ感が見られたものの、業績・受注ともに市場コンセンサスに沿った水準とみられ、前日の同社株価は大きく下落した。むしろ、受注高は会社計画比でやや弱含みのもよう。また半導体投資の回復が見えていないことで、第2四半期の受注は伸び悩むとの見通しも示されたという。
日本株は4月以降、大きく上昇してきただけに、決算では余程のポジティブサプライズでもない限り、株価が一段と上昇することは難しいだろう。これから迎える決算シーズンのハードルが高いことが今回の安川電機の決算から窺えた。上述した為替の不透明感も踏まえると、7月の日本株は少なくとも日柄調整を余儀なくされそうだ。この間、本日の指数別パフォーマンスにおいて相対的な強さを見せているマザーズ指数から窺えるように、中小型株や新興株に対する幕間繋ぎの物色に期待したい。
(仲村幸浩)
<AK>
10日の米株式市場でダウ平均は209.52ドル高(+0.62%)と4日ぶり反発、ナスダック総合指数も+0.18%と4日ぶり小反発。連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げを警戒した売りが先行したが、その後金利が低下したことで買い戻しが優勢になった。
景気敏感株を中心に堅調に推移した一方、ハイテクは半導体株を除いて売り買いが交錯した。なお、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+2.06%と大幅に続伸。上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う換金売りが一巡したことや米SOX指数の上昇を背景に日経平均は244.94円高からスタート。しかし、為替の円高が重石となり、32500円に近づくと戻り売りに押される一進一退の展開が続いた。前引けにかけては失速し、この日の安値圏で終えている。
個別では、米SOX指数の上昇を受けてレーザーテック<6920>、アドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>など半導体株が大きく上昇。SUMCO<3436>は経済産業省が新工場建設を補助するとの報道もあり大幅高。連続増配や既存店売上高が好感されたコスモス薬品<3349>は急伸。決算を材料に前日ストップ高となった良品計画<7453>は大幅続伸。USENNEX<9418>は大幅増益決算と業績上方修正が、パンパシHD<7532>は既存店売上高が、ベルク<9974>は第1四半期高進捗の決算がそれぞれ材料視されて大きく上昇。ほか、ANYCOLOR<5032>やラクスル<4384>、Sansan<4443>などグロース(成長)株の上昇が目立つ。三菱自<7211>は外資証券の目標株価引き上げが好感されているようだ。
一方、本日、株式の売出価格が決定するソシオネクスト<6526>は大きく下落。為替の円高を受けてトヨタ自<7203>、日産自<7201>、マツダ<7261>が安い。決算が失望されたウエルシアHD<3141>、ブックオフGHD<9278>、進和<7607>、業績下方修正や株主優待制度の廃止が嫌気されたワッツ<2735>などは急落している。
セクターで水産・農林、金属製品、精密機器が上昇率上位に並んだ一方、輸送用機器、電気・ガス、海運が下落率上位に並んだ。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の60%、対して値下がり銘柄は35%となっている。
上場投資信託(ETF)分配金捻出に伴う換金売りが前日で一巡したことで、あく抜け感が台頭する期待もあったが、本日の日経平均は伸び悩んでいる。何度か騰勢を強める場面もあったが、結局32500円が近づく度に売り戻され、前引けにかけては前日終値に近い水準まで失速した。
日経平均および東証株価指数(TOPIX)ともに25日移動平均線を下回った状態が3日以上継続、日足ローソク足は4本連続で陰線を形成しており、テクニカル的にはトレンドが明らかに悪化している。
先週後半から円高・ドル安に転じている為替のトレンドが一段と強まっていることも日本株の重石だ。ドル円は前日から25日線を割り込んできており、本日は1ドル=141円も割り込んできている。
日本の期待インフレ率および10年債利回りに代表される長期金利が先週末から大きく上昇してきている。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、実質賃金は依然としてマイナスではあるものの、名目賃金は着実に増加してきており、実質賃金のマイナス幅も縮小してきている。こうした背景から、日本でもインフレが定着する期待が高まっているようだ。
加えて、先週末の日本銀行の内田副総裁の発言もあり、7月の日銀金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)が修正もしくは撤廃されるとの思惑が強まっているようで、これが円高・ドル安の要因と推察される。
7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが再開され、米連邦準備制度理事会
(FRB)がさらなる追加利上げを示唆し、さらに日銀金融政策決定会合で政策の現状維持が確認されれば、再び円安・ドル高に転じる可能性は残されていそうだ。
ただ、米ニューヨーク連銀が10日に発表した6月の消費者調査で、1年先のインフレ期待は3.8%と5月(4.1%)から低下し、2021年4月以来の低水準を記録したほか、米自動車オークション会社のマンハイムが集計した中古車価格指数によると、6月の中古車価格は前月比4.2%低下し、2020年4月以来の急激な落ち込みとなった。
今週発表される米国の物価指標の結果次第ではあるが、FRBの追加利上げは多く見積もっても2~3回と思われ、市場がすでに2回目まで織り込みはじめていることを考えれば、追加利上げ回数が市場想定比で大きく上振れる展開は考えにくくなっている。一方で、時間軸は長くても、日銀の政策修正が意識される状況は続くとみられ、再び円安・ドル高が大きく進むシナリオは想定しづらい。仮に7月の日銀金融政策決定会合で修正があれば尚更であり、この場合、ドル円は135円程度までの調整を強いられそうだ。
ほか、主力製造業決算の前哨戦として注目された安川電機<6506>の決算では、受注高が前四半期比で増加し、底入れ感が見られたものの、業績・受注ともに市場コンセンサスに沿った水準とみられ、前日の同社株価は大きく下落した。むしろ、受注高は会社計画比でやや弱含みのもよう。また半導体投資の回復が見えていないことで、第2四半期の受注は伸び悩むとの見通しも示されたという。
日本株は4月以降、大きく上昇してきただけに、決算では余程のポジティブサプライズでもない限り、株価が一段と上昇することは難しいだろう。これから迎える決算シーズンのハードルが高いことが今回の安川電機の決算から窺えた。上述した為替の不透明感も踏まえると、7月の日本株は少なくとも日柄調整を余儀なくされそうだ。この間、本日の指数別パフォーマンスにおいて相対的な強さを見せているマザーズ指数から窺えるように、中小型株や新興株に対する幕間繋ぎの物色に期待したい。
(仲村幸浩)
<AK>
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