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■中長期成長戦略
1. 第5次中期経営計画の基本方針
第5次中期経営計画(2019年5月期−2021年5月期)では、中期経営ビジョンに「ソフトウェアで社会インフラ分野の安全・安心、快適・便利に貢献する」を掲げ、基本方針を獲得事業の主力化と新分野の開拓、持続的成長への投資、T-SES(トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービス。日本プロセス<9651>の造語)の継続としている。
なお第5次中期経営計画の目標数値は公表していないが、目標とする経営指標として売上高営業利益率10%以上、株主還元の指標として配当性向おおむね50%以上を掲げている。
(1) 自動運転/ADAS関連、IoT関連を主力事業化
獲得事業の主力化では、自動車業界の技術革新を表すCASE(Connected=コネクテッド、Autonomous=自動運転、Shared=カーシェアリング、Electric=電動化)のうち「S」以外の「C・A・E」の分野に注力している。強みを持つ車載ネットワーク制御技術、近距離無線通信技術、パワートレイン系電動化対応技術、カメラやレーダーといった外界認識センサー技術などを融合し、自動運転・ADAS関連を主力事業化した。
なお自動運転・ADAS関連の売上高(自動車システム、特定情報システム、組込システムの各セグメントで計上している売上高の合計)は、半期ベースで見ると、2019年5月期下期が上期比21.2%増収、2020年5月期上期が前下期比10.2%増収と順調に拡大している。さらに今後は日立オートモティブシステムズ経由でホンダ関連の受注拡大も期待される。
また、前中期経営計画期間中に獲得した建設機械や医療機器などのIoT分野を、これまで培ってきた制御・組込技術と組み合わせて拡大し、主力事業に育成中である。
新分野の開拓では、AI・ディープラーニング、ネットワーク、セキュリティ、クラウドなどを注力分野として、AI画像認識・識別、AI基盤システム、ロボティクス、IoT建設機械クラウド基盤などに取り組み、先行技術習得にも注力している。
(2) 人材育成など持続的成長への投資
持続的成長への投資では、働きやすい環境や成果主義に基づく評価による社員の安心・健康・快適・成長・やりがいの向上が、社員の定着・活力向上・生産性向上・技術力向上・品質向上につながることで業績が向上し、結果として会社の持続的成長や企業価値向上につながるという好循環を生み出すため、物心両面から持続的成長の基盤づくりを継続的に推進している。
具体的には、オフィスや設備など働きやすい職場環境づくりへの投資、開発・検証ツール導入など生産設備への投資、採用強化による技術者確保や技術力向上に向けた教育など人材への投資、奨学金返済支援制度の新設や年次有給休暇の計画的付与など働きやすい制度の強化を推進している。
2020年5月期は、働きやすい環境への投資として、横浜事業所の移転・拡張を2019年10月に完了、日立事業所のリノベーションを2019年12月に完了した。横浜事業所では自動車システム、特定情報システム、組込システムの連携を強化し、自動運転・ADAS関連を中心に自動車分野の更なる拡大を推進する。また2020年2月には本社移転を完了した。
人材への投資では、全社教育及び事業部での教育を継続実施するとともに、裁量労働制の廃止とみなし残業手当の支給、労務管理のリアルタイム化、インターバル勤務制度を実施した。下期も働きやすい環境への投資、人材への投資、働き方改革への投資を継続する。2020年5月期の社員の平均年収(有価証券報告書公表ベース)は684万円となる見込みだ。2017年5月期の584万円から3年間で100万円増加することになり、社員への還元が進展している。
なお2020年4月入社予定の新卒は31名の予定(2019年4月は23名)である。働き方改革や待遇改善の効果で、応募者数が質・量ともに改善しているようだ。また、中国のオフショア開発子会社IPD大連の人員は今期100名に達し、来期は110名体制となる見込みだ。
(3) 長期的視点でT-SESを継続
長期的視点でT-SESを継続する。T-SESは「トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービス」の略で、同社の造語である。長年にわたり培ったソフトウェアエンジニアリング技術をベースとして、ソフトウェアの要件定義、システム開発、構築サービス、検証サービスから運用・保守までをトータルにサービスすることにより、顧客に最大のメリットを提供することを表している。顧客を巻き込んだ中長期的な取り組みとして継続している。
2. SDGsへの取り組み
コーポレートガバナンスの基本方針に基づき、CSR(企業の社会的責任)活動の一環として毎年当期純利益の1%を目途に寄付している。2019年5期には2団体(公益財団法人SBI子ども希望財団、特定非営利活動法人日本紛争予防センター)に寄付を行った。今後も継続的に利益の一部を社会貢献に役立てる方針だ。
さらに2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に向けて、社会インフラ分野のシステム開発を得意とする企業として、地道に取り組む方針としている。
3. 中期的に収益拡大・高収益化を期待
急激な技術革新や人材難・採用難などIT業界を取り巻く環境が大きく変化するなかで、システム開発・ITサービス企業にとって開発リソースの確保や先端技術への対応力が課題となるが、同社は安全・安心が重視される難易度の高い社会インフラ分野の制御・組込システムなどの開発で培った高品質・信頼性に強みを持ち、大手電機メーカーや特定優良顧客との強固な信頼関係を構築している。
このため受注競合が少なく、システム開発・ITサービス業界において規模は小粒ながら独自のポジションを確立している。今後は成長分野への取り組みを加速して、中期的に収益拡大・高収益化が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 第5次中期経営計画の基本方針
第5次中期経営計画(2019年5月期−2021年5月期)では、中期経営ビジョンに「ソフトウェアで社会インフラ分野の安全・安心、快適・便利に貢献する」を掲げ、基本方針を獲得事業の主力化と新分野の開拓、持続的成長への投資、T-SES(トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービス。日本プロセス<9651>の造語)の継続としている。
なお第5次中期経営計画の目標数値は公表していないが、目標とする経営指標として売上高営業利益率10%以上、株主還元の指標として配当性向おおむね50%以上を掲げている。
(1) 自動運転/ADAS関連、IoT関連を主力事業化
獲得事業の主力化では、自動車業界の技術革新を表すCASE(Connected=コネクテッド、Autonomous=自動運転、Shared=カーシェアリング、Electric=電動化)のうち「S」以外の「C・A・E」の分野に注力している。強みを持つ車載ネットワーク制御技術、近距離無線通信技術、パワートレイン系電動化対応技術、カメラやレーダーといった外界認識センサー技術などを融合し、自動運転・ADAS関連を主力事業化した。
なお自動運転・ADAS関連の売上高(自動車システム、特定情報システム、組込システムの各セグメントで計上している売上高の合計)は、半期ベースで見ると、2019年5月期下期が上期比21.2%増収、2020年5月期上期が前下期比10.2%増収と順調に拡大している。さらに今後は日立オートモティブシステムズ経由でホンダ関連の受注拡大も期待される。
また、前中期経営計画期間中に獲得した建設機械や医療機器などのIoT分野を、これまで培ってきた制御・組込技術と組み合わせて拡大し、主力事業に育成中である。
新分野の開拓では、AI・ディープラーニング、ネットワーク、セキュリティ、クラウドなどを注力分野として、AI画像認識・識別、AI基盤システム、ロボティクス、IoT建設機械クラウド基盤などに取り組み、先行技術習得にも注力している。
(2) 人材育成など持続的成長への投資
持続的成長への投資では、働きやすい環境や成果主義に基づく評価による社員の安心・健康・快適・成長・やりがいの向上が、社員の定着・活力向上・生産性向上・技術力向上・品質向上につながることで業績が向上し、結果として会社の持続的成長や企業価値向上につながるという好循環を生み出すため、物心両面から持続的成長の基盤づくりを継続的に推進している。
具体的には、オフィスや設備など働きやすい職場環境づくりへの投資、開発・検証ツール導入など生産設備への投資、採用強化による技術者確保や技術力向上に向けた教育など人材への投資、奨学金返済支援制度の新設や年次有給休暇の計画的付与など働きやすい制度の強化を推進している。
2020年5月期は、働きやすい環境への投資として、横浜事業所の移転・拡張を2019年10月に完了、日立事業所のリノベーションを2019年12月に完了した。横浜事業所では自動車システム、特定情報システム、組込システムの連携を強化し、自動運転・ADAS関連を中心に自動車分野の更なる拡大を推進する。また2020年2月には本社移転を完了した。
人材への投資では、全社教育及び事業部での教育を継続実施するとともに、裁量労働制の廃止とみなし残業手当の支給、労務管理のリアルタイム化、インターバル勤務制度を実施した。下期も働きやすい環境への投資、人材への投資、働き方改革への投資を継続する。2020年5月期の社員の平均年収(有価証券報告書公表ベース)は684万円となる見込みだ。2017年5月期の584万円から3年間で100万円増加することになり、社員への還元が進展している。
なお2020年4月入社予定の新卒は31名の予定(2019年4月は23名)である。働き方改革や待遇改善の効果で、応募者数が質・量ともに改善しているようだ。また、中国のオフショア開発子会社IPD大連の人員は今期100名に達し、来期は110名体制となる見込みだ。
(3) 長期的視点でT-SESを継続
長期的視点でT-SESを継続する。T-SESは「トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービス」の略で、同社の造語である。長年にわたり培ったソフトウェアエンジニアリング技術をベースとして、ソフトウェアの要件定義、システム開発、構築サービス、検証サービスから運用・保守までをトータルにサービスすることにより、顧客に最大のメリットを提供することを表している。顧客を巻き込んだ中長期的な取り組みとして継続している。
2. SDGsへの取り組み
コーポレートガバナンスの基本方針に基づき、CSR(企業の社会的責任)活動の一環として毎年当期純利益の1%を目途に寄付している。2019年5期には2団体(公益財団法人SBI子ども希望財団、特定非営利活動法人日本紛争予防センター)に寄付を行った。今後も継続的に利益の一部を社会貢献に役立てる方針だ。
さらに2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に向けて、社会インフラ分野のシステム開発を得意とする企業として、地道に取り組む方針としている。
3. 中期的に収益拡大・高収益化を期待
急激な技術革新や人材難・採用難などIT業界を取り巻く環境が大きく変化するなかで、システム開発・ITサービス企業にとって開発リソースの確保や先端技術への対応力が課題となるが、同社は安全・安心が重視される難易度の高い社会インフラ分野の制御・組込システムなどの開発で培った高品質・信頼性に強みを持ち、大手電機メーカーや特定優良顧客との強固な信頼関係を構築している。
このため受注競合が少なく、システム開発・ITサービス業界において規模は小粒ながら独自のポジションを確立している。今後は成長分野への取り組みを加速して、中期的に収益拡大・高収益化が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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