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リニューアブル・ジャパンのニュース
■要約
リニューアブル・ジャパン<9522>は、「持続可能なエネルギーを届け、生き生きと暮らせる未来を実現します」というビジョンの下、太陽光発電・風力発電・水力発電等の再生可能エネルギー発電所の開発、発電、運営・管理など、再生可能エネルギーに関する事業全般を一気通貫で提供している。2021年12月末時点での累計実績は、開発(開発中及び稼働済み)案件数147件・設備容量773.9MW、アセットマネジメント(以下、AM)案件数133件・設備容量721.0MW、O&M(オペレーション&メンテナンス)事業案件数182件・設備容量986.5MWと、豊富な実績を有する。
同社の強みは「地域(地域拠点を開発とO&Mに活用)」「技術(特定建設業許可を生かした自社EPC※と低コスト・高クオリティのO&M)」「金融(複数の資金調達)」のほか、事業性の検討段階(デューデリジェンス。以下、DD)を内製化することで開発力を高めている点である。また、現 代表取締役社長の眞邉勝仁(まなべかつひと)氏はリーマン・ブラザーズ証券(株)に入社後、同社代表取締役社長に就任するまで投資銀行業務やファンド事業に従事していた。同社の社外取締役を含むその他の役員も金融業界出身者が多いことも特長だ。一方、取締役常務執行役員O&M本部長は東芝<6502>グループの東芝プラントシステム(株)出身者であるなど、金融人材と技術チームが融合している点も強みと言える。
※再生可能エネルギー発電設備の設計(Engineering)、再生可能エネルギーの発電設備の工事部材調達(Procurement)及び再生可能エネルギー発電施設の建設(Construction)の略であり、主に電気工事のことを指す。
1. 2021年12月期の業績概要
2021年12月期の連結業績は売上高が前期比28.4%減の15,950百万円、営業利益が同33.3%増の2,229百万円となり、期初計画比では売上高で3.6%増、営業利益で7.6%増となった。また、KPI※であるEBITDAは前期比50.4%増の4,667百万円、計画比7.9%増と大きく拡大した。事業別では、注力分野とする売電事業等及びO&M事業がいずれも過去最高を更新した結果、ストックの売上高は同44.8%増の12,226百万円、売上総利益は同57.5%増の3,005百万円と好調に推移し、売上高に占めるストックの割合は76.7%(前期は37.9%)にまで拡大した。
※経営指標のこと。同社は多額の設備投資を必要とする売電事業の割合が高まっており、減価償却費等の割合が大きくなっているが、これらの一過性の償却負担に過度に左右されることなく株式価値の向上を目指すことが重要と認識していることから、EBITDAをKPIとしている。
2. 2022年12月期の業績見通し
2022年12月期の連結業績は売上高で前期比17.9%増の18,800百万円、営業利益で同30.1%増の2,900百万円と2ケタ増収増益を見込んでいる。また、KPIであるEBITDAについても、同62.9%増の7,603百万円と引き続き拡大する予測である。事業別のうち、フローはIPP事業※を拡大するため従来よりも限定的な収益となることを想定し、ストックは自社保有発電所を増やし安定的な売電収入を得るほか、O&M事業の外部受注の拡大を進めることで、2ケタ増収増益の予定である。注力分野とする売電事業等及びO&M事業の伸長により、売上高に占めるストックの割合は87.6%(前期は76.7%)とさらに拡大する予測となっている。
※IPPはIndependent Power Producerの略で、自社で発電所を保有する独立系発電事業者のことで、IPP事業とは自社保有発電所による売電事業のことを指す。
3. 成長戦略
再生可能エネルギー事業を取り巻く環境としては、従来は太陽光発電所の開発はFIT制度※1に基づき開発されていたが、2022年4月からFIP制度※2が導入されたことにより、今後は同制度に基づく開発及びNon-FIT※3開発が中心になると見られる。これに対し同社は成長戦略として、各制度の特性を把握し、最適な収益体制を構築していく方針を掲げている。他方で、安定的な成長の実現を目指し、ストック型ビジネスである売電事業等及びO&M事業にも注力している。具体的な中期目標としては、(1) 2025年12月期までにO&M事業の累計設備容量2GW、(2) KPIであるEBITDAを2025年12月期に150億円超とする計画を掲げた。O&M事業において、技術向上と業務内製化により外部受注を増やすことで案件受託規模を拡大し、これらの目標達成を目指す。また、長期目標としては10年以内に目指すIPP設備容量を挙げ、国内太陽光1GW+α、国内風力1GW、海外1GWを掲げている。これに対しては、新規開発・稼働済み発電所の獲得により国内シェアを拡大するとともに、国内事業で培った知見や強みを海外展開することでグローバル進出を目指す。既に欧州スペインに拠点を設定しており、地元拠点を軸に、地域密着型の電源開発を進める方針だ。国内・海外で同社の強みを活用することで、これらの目標達成を期待したい。
※1 固定価格買取制度のこと。太陽光発電等の再生可能エネルギー電源で発電した電気を、国が定める期間、固定価格で送配電事業者が買い取ることを義務付ける制度。
※2 Feed in Premiumの略で、市場価格に一定のプレミアムを上乗せして交付する制度のこと。再生可能エネルギーのFIT制度からの自立化、卸電力取引市場への統合、国民負担の抑制を図るために創設された。
※3 発電した電力を電力卸市場で取引することや、相対で買取価格・契約期間を決めることができる制度。
■Key Points
・再生可能エネルギーに関する事業全般を一気通貫で提供
・2021年12月期は注力分野とする売電事業等及びO&M事業が過去最高を更新、KPIであるEBITDAが前期比50.4%増の4,667百万円と大きく拡大
・ストック型ビジネスの拡大及びグローバル進出により、さらなる成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<YM>
リニューアブル・ジャパン<9522>は、「持続可能なエネルギーを届け、生き生きと暮らせる未来を実現します」というビジョンの下、太陽光発電・風力発電・水力発電等の再生可能エネルギー発電所の開発、発電、運営・管理など、再生可能エネルギーに関する事業全般を一気通貫で提供している。2021年12月末時点での累計実績は、開発(開発中及び稼働済み)案件数147件・設備容量773.9MW、アセットマネジメント(以下、AM)案件数133件・設備容量721.0MW、O&M(オペレーション&メンテナンス)事業案件数182件・設備容量986.5MWと、豊富な実績を有する。
同社の強みは「地域(地域拠点を開発とO&Mに活用)」「技術(特定建設業許可を生かした自社EPC※と低コスト・高クオリティのO&M)」「金融(複数の資金調達)」のほか、事業性の検討段階(デューデリジェンス。以下、DD)を内製化することで開発力を高めている点である。また、現 代表取締役社長の眞邉勝仁(まなべかつひと)氏はリーマン・ブラザーズ証券(株)に入社後、同社代表取締役社長に就任するまで投資銀行業務やファンド事業に従事していた。同社の社外取締役を含むその他の役員も金融業界出身者が多いことも特長だ。一方、取締役常務執行役員O&M本部長は東芝<6502>グループの東芝プラントシステム(株)出身者であるなど、金融人材と技術チームが融合している点も強みと言える。
※再生可能エネルギー発電設備の設計(Engineering)、再生可能エネルギーの発電設備の工事部材調達(Procurement)及び再生可能エネルギー発電施設の建設(Construction)の略であり、主に電気工事のことを指す。
1. 2021年12月期の業績概要
2021年12月期の連結業績は売上高が前期比28.4%減の15,950百万円、営業利益が同33.3%増の2,229百万円となり、期初計画比では売上高で3.6%増、営業利益で7.6%増となった。また、KPI※であるEBITDAは前期比50.4%増の4,667百万円、計画比7.9%増と大きく拡大した。事業別では、注力分野とする売電事業等及びO&M事業がいずれも過去最高を更新した結果、ストックの売上高は同44.8%増の12,226百万円、売上総利益は同57.5%増の3,005百万円と好調に推移し、売上高に占めるストックの割合は76.7%(前期は37.9%)にまで拡大した。
※経営指標のこと。同社は多額の設備投資を必要とする売電事業の割合が高まっており、減価償却費等の割合が大きくなっているが、これらの一過性の償却負担に過度に左右されることなく株式価値の向上を目指すことが重要と認識していることから、EBITDAをKPIとしている。
2. 2022年12月期の業績見通し
2022年12月期の連結業績は売上高で前期比17.9%増の18,800百万円、営業利益で同30.1%増の2,900百万円と2ケタ増収増益を見込んでいる。また、KPIであるEBITDAについても、同62.9%増の7,603百万円と引き続き拡大する予測である。事業別のうち、フローはIPP事業※を拡大するため従来よりも限定的な収益となることを想定し、ストックは自社保有発電所を増やし安定的な売電収入を得るほか、O&M事業の外部受注の拡大を進めることで、2ケタ増収増益の予定である。注力分野とする売電事業等及びO&M事業の伸長により、売上高に占めるストックの割合は87.6%(前期は76.7%)とさらに拡大する予測となっている。
※IPPはIndependent Power Producerの略で、自社で発電所を保有する独立系発電事業者のことで、IPP事業とは自社保有発電所による売電事業のことを指す。
3. 成長戦略
再生可能エネルギー事業を取り巻く環境としては、従来は太陽光発電所の開発はFIT制度※1に基づき開発されていたが、2022年4月からFIP制度※2が導入されたことにより、今後は同制度に基づく開発及びNon-FIT※3開発が中心になると見られる。これに対し同社は成長戦略として、各制度の特性を把握し、最適な収益体制を構築していく方針を掲げている。他方で、安定的な成長の実現を目指し、ストック型ビジネスである売電事業等及びO&M事業にも注力している。具体的な中期目標としては、(1) 2025年12月期までにO&M事業の累計設備容量2GW、(2) KPIであるEBITDAを2025年12月期に150億円超とする計画を掲げた。O&M事業において、技術向上と業務内製化により外部受注を増やすことで案件受託規模を拡大し、これらの目標達成を目指す。また、長期目標としては10年以内に目指すIPP設備容量を挙げ、国内太陽光1GW+α、国内風力1GW、海外1GWを掲げている。これに対しては、新規開発・稼働済み発電所の獲得により国内シェアを拡大するとともに、国内事業で培った知見や強みを海外展開することでグローバル進出を目指す。既に欧州スペインに拠点を設定しており、地元拠点を軸に、地域密着型の電源開発を進める方針だ。国内・海外で同社の強みを活用することで、これらの目標達成を期待したい。
※1 固定価格買取制度のこと。太陽光発電等の再生可能エネルギー電源で発電した電気を、国が定める期間、固定価格で送配電事業者が買い取ることを義務付ける制度。
※2 Feed in Premiumの略で、市場価格に一定のプレミアムを上乗せして交付する制度のこと。再生可能エネルギーのFIT制度からの自立化、卸電力取引市場への統合、国民負担の抑制を図るために創設された。
※3 発電した電力を電力卸市場で取引することや、相対で買取価格・契約期間を決めることができる制度。
■Key Points
・再生可能エネルギーに関する事業全般を一気通貫で提供
・2021年12月期は注力分野とする売電事業等及びO&M事業が過去最高を更新、KPIであるEBITDAが前期比50.4%増の4,667百万円と大きく拡大
・ストック型ビジネスの拡大及びグローバル進出により、さらなる成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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