【井川純一の今夜も兜町で一杯】虎狼転じて古狸と化す

　今日１２月５日（月曜日）の日経平均株価は、１５１円０９銭安の１万８２７４円９９銭と続落。終始、利益確定売りが優勢の展開。イタリアの憲法改正の是非を問う国民投票で反対派が勝利したことを受け改憲派のレンツィ首相が辞意表明、これを嫌気した感じ。まぁ、それでも大崩れすることなく、個人的見解ですがあまり嫌なムードも漂っておりません。
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　今日は、軟調相場もぽつぽつと目を引くものが登場。プーチン大統領訪日が来週に迫り東海運<9380.T>、リンコーコーポレーション<9355.T>が再び動意。まっ、手強いプーチンなだけに、あまり期待できませんが、取りあえず当面は要注目。あと、一部報道を受けて内海造船<7018.T>などバラスト水関連にも物色の矛先が向かう。それにしても「君の名は。」関連の日本アジア投資<8518.T>は強い。どこまで行くのか気にかかる。さて、連日のストップ高で注目の安永<7271.T>は、きょうはストップ高目前まで買われた後に軟化して安く引けた。「何れ菖蒲（アヤメ）か杜若（カキツバタ）」、師走相場の花に期待が高まるわね。

　土曜日は年末恒例となった証券マスコミＯＢ会。当方、まだまだ現役だが、ここ数年、なぜか呼ばれて参加している。まさに兜町の虎狼だった先輩たちで、かつては恐ろしいほどの情報網と相場観で、スター銘柄を発掘してきたが、いまは引退。既にシマを去って、かなりの年月が経っている。

　それでも、面白い銘柄話が聞けるかと思い、“会合”に参加するのだが、今や虎狼（ころう）転じて古狸（ふるだぬき）。もはや、株なんぞに興味がない。会話の中心は、年金と病気と孫自慢、「なにか、良い銘柄ないすかねぇ？」と尋ねても、「知らねぇ」とにべもない。おいおい、あの頃、近寄るのも怖かった狼たちは、どこに行ったんだぁ～、といった感じで、こうなったら飲んで病気自慢に加わるしかなかった。

　時の経つのは早い。バブル経済ちょっと前、このジイさんたちときたら（当然、昔は若いが）、板子一枚下は地獄の世界でホントにめちゃくちゃだった。現代だったら、「お縄ちょうだい」となっているかもしれない。まっ、相場師や怪しい連中が兜町を闊歩していた、そんな時代だった。

　「良い銘柄ねぇ、ただじゃ教えられないぜ」とニヤリ大先輩。そして「人生、株だけじゃないのよ」と、真面目な顔で言う。まったくもって、ごもっとも。こっちも、そろそろ古狸の仲間入りが近づいている。
《ＫＣ》

出所：株経ONLINE（株式会社みんかぶ）