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飯野海運のニュース
■要約
飯野海運<9119>は1899年の創業以来120年以上の歴史を誇る海運会社である。現在は資源・エネルギー輸送を主力とする海運業(外航海運業、内航・近海海運業)と、本社の飯野ビルディングを主力とするオフィスビル賃貸の不動産業を両輪としている。また、更なる成長に向けてESG・SDGs経営を積極推進している。
1. 海運業はケミカルタンカーに強み、不動産業は安定収益源
海運業は業界最大級の船隊規模を誇るケミカルタンカーや、中長期契約を積み上げる大型ガス船などを特徴・強みとしている。不動産業は飯野ビルディングなど東京都心部の一等地に賃貸オフィスビルを複数所有していることが特徴だ。海運業は市況変動の影響を受けるが、不動産業が安定収益源となっている。従来から環境負荷軽減に取り組み、海運業においては環境配慮型船舶の投入を推進し、不動産業においては保有ビルに最先端の環境性能を取り入れて大幅な省エネを実現している。
2. 2022年3月期は大幅増収増益で着地
2022年3月期の連結業績は、売上高が2021年3月期比17.1%増の104,100百万円、営業利益が同10.1%増の7,524百万円、経常利益が38.5%増の9,431百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が63.6%増の12,526百万円だった。海運業における市況上昇、既存契約の有利更改や効率配船への取り組みによる運航採算の向上、不動産業における日比谷フォートタワーの稼働などで大幅増収増益だった。前回予想(2022年2月8日付の上方修正値)に対しても大幅に上回って着地した。事業投資先からの配当金が増加したことや、第4四半期に為替が大きく円安・ドル高に振れて為替差益を計上したことも寄与した。
3. 2023年3月期は船費増加などで減益予想だが上振れの可能性
2023年3月期の連結業績予想は、売上高が2022年3月期比7.6%増の112,000百万円、営業利益が7.0%減の7,000百万円、経常利益が25.8%減の7,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が44.1%減の7,000百万円としている。ケミカルタンカーやドライバルク船の市況は堅調な推移を見込むが、不透明感、海運業における新型コロナウイルスの感染拡大(以下、コロナ禍)に伴う船員交代の制限による費用増加、先行投資などを考慮して、増収ながら減益予想としている。海運業の市況変動に注意が必要だが、足元の為替状況やドライバルク船市況の推移等から同社予想には上振れの可能性があると弊社では見ている。
4. ESG・SDGs経営を積極推進、投資対象として注目
2023年3月期は現・中期経営計画最終年度の目標値をおおむね達成する見込みだ。中期経営計画の策定時点の前提に対して、燃料油価格が大幅に上昇しているものの、海運市況も大幅に上昇し、さらに為替が円安・ドル高となっていることも寄与する。次期中期経営計画は現在策定中で2023年に公表予定としている。海運業と不動産業を両輪として成長を目指す基本シナリオに変化はなく、更なる経済的価値や社会的価値の創造を目指してESG・SDGs経営を積極推進するシナリオにも変化はないだろうと弊社では予想している。さらに、こうした戦略が中長期的な収益拡大にとどまらず、投資対象としても投資家からの注目度の高まりにつながるだろうと弊社では評価している。
■Key Points
・歴史ある海運業と不動産業が両輪
・2023年3月期は減益予想だが上振れる可能性あり
・成長に向けてESG・SDGs経営を積極推進、投資対象として注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SI>
飯野海運<9119>は1899年の創業以来120年以上の歴史を誇る海運会社である。現在は資源・エネルギー輸送を主力とする海運業(外航海運業、内航・近海海運業)と、本社の飯野ビルディングを主力とするオフィスビル賃貸の不動産業を両輪としている。また、更なる成長に向けてESG・SDGs経営を積極推進している。
1. 海運業はケミカルタンカーに強み、不動産業は安定収益源
海運業は業界最大級の船隊規模を誇るケミカルタンカーや、中長期契約を積み上げる大型ガス船などを特徴・強みとしている。不動産業は飯野ビルディングなど東京都心部の一等地に賃貸オフィスビルを複数所有していることが特徴だ。海運業は市況変動の影響を受けるが、不動産業が安定収益源となっている。従来から環境負荷軽減に取り組み、海運業においては環境配慮型船舶の投入を推進し、不動産業においては保有ビルに最先端の環境性能を取り入れて大幅な省エネを実現している。
2. 2022年3月期は大幅増収増益で着地
2022年3月期の連結業績は、売上高が2021年3月期比17.1%増の104,100百万円、営業利益が同10.1%増の7,524百万円、経常利益が38.5%増の9,431百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が63.6%増の12,526百万円だった。海運業における市況上昇、既存契約の有利更改や効率配船への取り組みによる運航採算の向上、不動産業における日比谷フォートタワーの稼働などで大幅増収増益だった。前回予想(2022年2月8日付の上方修正値)に対しても大幅に上回って着地した。事業投資先からの配当金が増加したことや、第4四半期に為替が大きく円安・ドル高に振れて為替差益を計上したことも寄与した。
3. 2023年3月期は船費増加などで減益予想だが上振れの可能性
2023年3月期の連結業績予想は、売上高が2022年3月期比7.6%増の112,000百万円、営業利益が7.0%減の7,000百万円、経常利益が25.8%減の7,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が44.1%減の7,000百万円としている。ケミカルタンカーやドライバルク船の市況は堅調な推移を見込むが、不透明感、海運業における新型コロナウイルスの感染拡大(以下、コロナ禍)に伴う船員交代の制限による費用増加、先行投資などを考慮して、増収ながら減益予想としている。海運業の市況変動に注意が必要だが、足元の為替状況やドライバルク船市況の推移等から同社予想には上振れの可能性があると弊社では見ている。
4. ESG・SDGs経営を積極推進、投資対象として注目
2023年3月期は現・中期経営計画最終年度の目標値をおおむね達成する見込みだ。中期経営計画の策定時点の前提に対して、燃料油価格が大幅に上昇しているものの、海運市況も大幅に上昇し、さらに為替が円安・ドル高となっていることも寄与する。次期中期経営計画は現在策定中で2023年に公表予定としている。海運業と不動産業を両輪として成長を目指す基本シナリオに変化はなく、更なる経済的価値や社会的価値の創造を目指してESG・SDGs経営を積極推進するシナリオにも変化はないだろうと弊社では予想している。さらに、こうした戦略が中長期的な収益拡大にとどまらず、投資対象としても投資家からの注目度の高まりにつながるだろうと弊社では評価している。
■Key Points
・歴史ある海運業と不動産業が両輪
・2023年3月期は減益予想だが上振れる可能性あり
・成長に向けてESG・SDGs経営を積極推進、投資対象として注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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