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日経平均は続伸。113.77円高の23425.91円(出来高概算4億8000万株)で前場の取引を終えている。
週明け5日の米株式市場でNYダウは反発し、465ドル高となった。新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領がこの日退院することが明らかになり、早期回復を受けて投資家心理が改善した。さらに、追加経済対策を巡りムニューシン財務長官と民主党のペロシ下院議長が交渉を継続し、大統領選前の合意への期待が高まったほか、9月のサプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況指数が予想外に上昇したことも好感された。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで107円高からスタート。米大統領選の行方など先行きの不透明感もなお残るとみられており、寄り付き後はやや上値の重い展開だったが、この日の高値圏で前場を折り返した。
個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が2%を超える上昇となり、日経平均を約34円押し上げた。ソフトバンク<9434>やキーエンス<6861>も堅調で、任天堂<
7974>やトヨタ自<7203>は小じっかり。中小型株ではトヨタファイナンスとの業務提携を発表したチェンジ<3962>が活況。また、業績上方修正のトーセイ<8923>は急伸し、ダントーHD<5337>などとともに東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、同じく業績上方修正を発表したダイキン<6367>だが、材料出尽くし感から3%近い下落。ソニー
<6758>やZHD<4689>もさえない。また、第1四半期の大幅減益決算が嫌気された毎日コムネット<8908>は急落し、スター・マイカ<2975>などとともに東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、保険業、ゴム製品、石油・石炭製品などが上昇率上位。半面、不動産業、その他金融業、空運業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の44%、対して値下がり銘柄は50%となっている。
トランプ氏の退院、経済対策成立への期待を背景に前日のNYダウが400ドルを超える上昇となり、本日の日経平均も続伸スタート。その後はやや上値が重いが、時間外取引のNYダウ先物の動向睨みで、前引けにかけて強含む場面もあった。前日の先物手口では、トランプ氏の早期退院観測を受けて短期筋の買い戻しとみられる動きが観測されており、既にある程度織り込み済みと考えられる。米経済対策を巡る与野党の協議も特段目立った進展が伝わっているわけでなく、積極的に上値を追いづらいところである。ただ、日経平均の日足チャートを見ると、23200円台に位置する25日移動平均線を上回って推移しており、まずまずしっかりした値動き。上にも下にも傾きづらい相場を映し、ここまでの東証1部売買代金は1兆円を下回り低調だ。
売買代金上位を見ると、自動車株やメガバンク株といった大型バリュー(割安)株が全般小じっかり。ハイテク関連を中心としたグロース(成長)株は強弱分かれている印象で、物色の方向感をつかみづらい。いきおい、個人投資家の物色は中小型株に向かっているようで、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連として人気のチェンジが提携を手掛かりに賑わい、一部メディアで1人当たり売上高の伸びが大きいと取り上げられたグレイス<6541>なども上げが目立つ。だが、利益確定の売りに押される銘柄も散見されるなど選別色は窺える。東証1部全体としてはおよそ半数の銘柄が値下がりだ。
新興市場ではマザーズ指数が続伸し、連日で取引時間中の年初来高値を更新している。こちらも朝方に一時マイナスへ転じるなどやや上値の重い印象だが、指数に直接的な影響のないアクシス<4012>やヘッドウォーター<4011>といった直近IPO(新規株式公開)銘柄に投資資金が向かっているところをみると、実態としては活況とも考えられる。上場3日目のタスキ<2987>は公開価格の約7.6倍となる初値を付けた。株価バリュエーションなどからは過熱感が拭えないが、次のIPOは13日の日通システム<4013>とやや間が空くため、直近上場銘柄への投資資金の流入が続く可能性もある。
さて、国内外の株式市場では米大統領選での民主党候補、バイデン前副大統領の圧勝シナリオを「強気材料」として捉える向きが出始めた。先日の候補討論会後は増税方針を掲げるバイデン氏の優勢を嫌気する動きがあったにもかかわらずだ。結局のところ、「シナリオさえ定まってくれば投資資金は動き出す」ということだろう。過去の米国株の推移を見ても、大統領選前はもみ合いが続く一方、選挙後は強含む傾向が見られるとの報告が多く、上述した見方と整合的だ。米連邦準備理事会(FRB)を中心とした主要中央銀行による大規模緩和で投資資金も潤沢にある。
先日の討論会の結果や、新型コロナのリスクを過小評価しているとみられていたトランプ氏自身の感染を受け、バイデン氏の支持率が上昇しているようで、「次の大統領」を巡る不透明感が後退したことが足元の株式相場の上昇に寄与しているのだろう。とはいえ、4年前の大統領選を振り返ると、事前の世論調査を素直に信用していいか悩むところではある。トランプ氏の熱狂的な支持者はトランプ氏の新型コロナ感染を受けて投票先を変えるか。答えは「否」だろう。こうした支持者の全容がつかみづらいのが、先の大統領選でトランプが下馬評を覆して勝利した背景にあるとみられる。やはり大統領選の結果が判明するまでは投資資金の本格的な動き出しは期待しにくいだろう。従来予想どおり、日経平均も目先もみ合いが続くとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
週明け5日の米株式市場でNYダウは反発し、465ドル高となった。新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領がこの日退院することが明らかになり、早期回復を受けて投資家心理が改善した。さらに、追加経済対策を巡りムニューシン財務長官と民主党のペロシ下院議長が交渉を継続し、大統領選前の合意への期待が高まったほか、9月のサプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況指数が予想外に上昇したことも好感された。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで107円高からスタート。米大統領選の行方など先行きの不透明感もなお残るとみられており、寄り付き後はやや上値の重い展開だったが、この日の高値圏で前場を折り返した。
個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が2%を超える上昇となり、日経平均を約34円押し上げた。ソフトバンク<9434>やキーエンス<6861>も堅調で、任天堂<
7974>やトヨタ自<7203>は小じっかり。中小型株ではトヨタファイナンスとの業務提携を発表したチェンジ<3962>が活況。また、業績上方修正のトーセイ<8923>は急伸し、ダントーHD<5337>などとともに東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、同じく業績上方修正を発表したダイキン<6367>だが、材料出尽くし感から3%近い下落。ソニー
<6758>やZHD<4689>もさえない。また、第1四半期の大幅減益決算が嫌気された毎日コムネット<8908>は急落し、スター・マイカ<2975>などとともに東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、保険業、ゴム製品、石油・石炭製品などが上昇率上位。半面、不動産業、その他金融業、空運業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の44%、対して値下がり銘柄は50%となっている。
トランプ氏の退院、経済対策成立への期待を背景に前日のNYダウが400ドルを超える上昇となり、本日の日経平均も続伸スタート。その後はやや上値が重いが、時間外取引のNYダウ先物の動向睨みで、前引けにかけて強含む場面もあった。前日の先物手口では、トランプ氏の早期退院観測を受けて短期筋の買い戻しとみられる動きが観測されており、既にある程度織り込み済みと考えられる。米経済対策を巡る与野党の協議も特段目立った進展が伝わっているわけでなく、積極的に上値を追いづらいところである。ただ、日経平均の日足チャートを見ると、23200円台に位置する25日移動平均線を上回って推移しており、まずまずしっかりした値動き。上にも下にも傾きづらい相場を映し、ここまでの東証1部売買代金は1兆円を下回り低調だ。
売買代金上位を見ると、自動車株やメガバンク株といった大型バリュー(割安)株が全般小じっかり。ハイテク関連を中心としたグロース(成長)株は強弱分かれている印象で、物色の方向感をつかみづらい。いきおい、個人投資家の物色は中小型株に向かっているようで、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連として人気のチェンジが提携を手掛かりに賑わい、一部メディアで1人当たり売上高の伸びが大きいと取り上げられたグレイス<6541>なども上げが目立つ。だが、利益確定の売りに押される銘柄も散見されるなど選別色は窺える。東証1部全体としてはおよそ半数の銘柄が値下がりだ。
新興市場ではマザーズ指数が続伸し、連日で取引時間中の年初来高値を更新している。こちらも朝方に一時マイナスへ転じるなどやや上値の重い印象だが、指数に直接的な影響のないアクシス<4012>やヘッドウォーター<4011>といった直近IPO(新規株式公開)銘柄に投資資金が向かっているところをみると、実態としては活況とも考えられる。上場3日目のタスキ<2987>は公開価格の約7.6倍となる初値を付けた。株価バリュエーションなどからは過熱感が拭えないが、次のIPOは13日の日通システム<4013>とやや間が空くため、直近上場銘柄への投資資金の流入が続く可能性もある。
さて、国内外の株式市場では米大統領選での民主党候補、バイデン前副大統領の圧勝シナリオを「強気材料」として捉える向きが出始めた。先日の候補討論会後は増税方針を掲げるバイデン氏の優勢を嫌気する動きがあったにもかかわらずだ。結局のところ、「シナリオさえ定まってくれば投資資金は動き出す」ということだろう。過去の米国株の推移を見ても、大統領選前はもみ合いが続く一方、選挙後は強含む傾向が見られるとの報告が多く、上述した見方と整合的だ。米連邦準備理事会(FRB)を中心とした主要中央銀行による大規模緩和で投資資金も潤沢にある。
先日の討論会の結果や、新型コロナのリスクを過小評価しているとみられていたトランプ氏自身の感染を受け、バイデン氏の支持率が上昇しているようで、「次の大統領」を巡る不透明感が後退したことが足元の株式相場の上昇に寄与しているのだろう。とはいえ、4年前の大統領選を振り返ると、事前の世論調査を素直に信用していいか悩むところではある。トランプ氏の熱狂的な支持者はトランプ氏の新型コロナ感染を受けて投票先を変えるか。答えは「否」だろう。こうした支持者の全容がつかみづらいのが、先の大統領選でトランプが下馬評を覆して勝利した背景にあるとみられる。やはり大統領選の結果が判明するまでは投資資金の本格的な動き出しは期待しにくいだろう。従来予想どおり、日経平均も目先もみ合いが続くとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
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