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■中長期の成長戦略
3. 多角化事業の取り組み
多角化事業の中身は、底地事業(土地権利整備事業)だ。これまでエリアリンク<8914>の成長戦略はストレージ事業の成長という1本柱体制だったものを、底地事業の持つポテンシャルに着目してこの強化に本腰を入れて取り組み、ストレージ事業との2本柱体制を構築するというのが新たな成長戦略の核となっている。
底地事業のベースにあるのは、土地を賃借してその上に上物を立てて使用するという慣行の存在だ。上物の属性としては住宅のケースと店舗等の商業施設のケースの2つがあり、いずれも広く一般的に行われている。そうしたなかで、土地建物の権利関係を整備したい、すなわち借地権者が底地を取得したいという需要は景気の波に影響されることなく常に存在しており、事業の収益安定性はストレージ事業よりも高いと言える。
事業モデルの詳細は前述のとおりだが、同社は底地を取得後、最大2年間を目途に底地を上物所有者(借地権者)に売却することを基本的なモデルとしている。売却までの期間は同社が地代収入を得、売却時には売却益を得るという収益構造だ。地代収入が年率3%、売却益が20%というのが平均的イメージとなっており、収益性も高いと言える。
同社はこの底地事業を、これまでは住宅領域を対象に、関東圏を軸に展開してきた。今後は領域軸では商業用地に、地域軸では関西圏に、それぞれ活動範囲を拡大するというのが底地事業の成長戦略の骨格だ。2019年12月期第2四半期の実績として、商業用底地の獲得と関西圏での底地の獲得の両面で着実に実績を積み上げている状況にある。
弊社では、同社の底地事業の成長ポテンシャルはかなり大きいと考えている。特に商業施設の場合は、住宅に比べて面積が大きく1件当たりの規模が大きいため、成約時の収益インパクトは大きい。底地事業は一時的に自社で土地を保有するため、土地付きストレージ同様に自己資本をリスクにさらすことになるが、底地は通常の土地に比べて地価が安いことや、現に上物が建っているため地代収入が確実に入る点で土地付きストレージよりもそのリスクは小さいと言えるだろう。
リスクではないが成長スピードに影響を与える可能性がある要因としては、定期借地権の存在を弊社では考えている。現状は定期借地権によらない契約が多いため影響は大きくないとみているが、定期借地権の利用者にとって同社の底地事業がどのように(魅力的かどうか)映るのかは長期的には気になるところだ。
底地事業の成長シナリオに対する制約条件として考慮すべきは人材だろう。同社は正社員100人体制をベースにしており、ストレージ事業、特に土地付きストレージ事業でアクセルを踏む局面が訪れた場合には、そちらに人員を重点的に振り向けることが予想される。そうなった場合には底地事業の成長性が一時的に低下する可能性がある。2本柱体制での成長モデル構築を目指すなかで、人員体制に“100人”というキャップを付けた同社がどのようにハンドリングするかは1つの注目点と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<YM>
3. 多角化事業の取り組み
多角化事業の中身は、底地事業(土地権利整備事業)だ。これまでエリアリンク<8914>の成長戦略はストレージ事業の成長という1本柱体制だったものを、底地事業の持つポテンシャルに着目してこの強化に本腰を入れて取り組み、ストレージ事業との2本柱体制を構築するというのが新たな成長戦略の核となっている。
底地事業のベースにあるのは、土地を賃借してその上に上物を立てて使用するという慣行の存在だ。上物の属性としては住宅のケースと店舗等の商業施設のケースの2つがあり、いずれも広く一般的に行われている。そうしたなかで、土地建物の権利関係を整備したい、すなわち借地権者が底地を取得したいという需要は景気の波に影響されることなく常に存在しており、事業の収益安定性はストレージ事業よりも高いと言える。
事業モデルの詳細は前述のとおりだが、同社は底地を取得後、最大2年間を目途に底地を上物所有者(借地権者)に売却することを基本的なモデルとしている。売却までの期間は同社が地代収入を得、売却時には売却益を得るという収益構造だ。地代収入が年率3%、売却益が20%というのが平均的イメージとなっており、収益性も高いと言える。
同社はこの底地事業を、これまでは住宅領域を対象に、関東圏を軸に展開してきた。今後は領域軸では商業用地に、地域軸では関西圏に、それぞれ活動範囲を拡大するというのが底地事業の成長戦略の骨格だ。2019年12月期第2四半期の実績として、商業用底地の獲得と関西圏での底地の獲得の両面で着実に実績を積み上げている状況にある。
弊社では、同社の底地事業の成長ポテンシャルはかなり大きいと考えている。特に商業施設の場合は、住宅に比べて面積が大きく1件当たりの規模が大きいため、成約時の収益インパクトは大きい。底地事業は一時的に自社で土地を保有するため、土地付きストレージ同様に自己資本をリスクにさらすことになるが、底地は通常の土地に比べて地価が安いことや、現に上物が建っているため地代収入が確実に入る点で土地付きストレージよりもそのリスクは小さいと言えるだろう。
リスクではないが成長スピードに影響を与える可能性がある要因としては、定期借地権の存在を弊社では考えている。現状は定期借地権によらない契約が多いため影響は大きくないとみているが、定期借地権の利用者にとって同社の底地事業がどのように(魅力的かどうか)映るのかは長期的には気になるところだ。
底地事業の成長シナリオに対する制約条件として考慮すべきは人材だろう。同社は正社員100人体制をベースにしており、ストレージ事業、特に土地付きストレージ事業でアクセルを踏む局面が訪れた場合には、そちらに人員を重点的に振り向けることが予想される。そうなった場合には底地事業の成長性が一時的に低下する可能性がある。2本柱体制での成長モデル構築を目指すなかで、人員体制に“100人”というキャップを付けた同社がどのようにハンドリングするかは1つの注目点と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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