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■業績の動向
● 2019年12月期第2四半期決算
エリアリンク<8914>の2019年12月期第2四半期決算は、売上高20,145百万円(前年同期比44.5%増)、営業利益2,634百万円(同76.3%増)、経常利益2,472百万円(同83.9%増)、当期純利益1,686百万円(同85.1%増)と大幅増収増益で着地した。
同社は第1四半期の動向に鑑み、2019年4月23日に第2四半期及び通期見通しを上方修正したが、第2四半期単独期間(4月−6月期)に入ってさらに業績が伸長したことから、2019年7月25日に2度目の上方修正を行った。第2四半期決算は2度目の修正予想の線での着地となった。
同社は2019年12月期の期初に当たり、上期及び通期について減収減益予想を発表した。背景には、外部環境の悪化(金融機関による不動産融資の厳格化など)があった。同社はこうした環境変化を受けて、事業の注力ポイントを土地付きストレージからコンテナタイプへと変化させる“原点回帰”を目指した。
そうして迎えた今第2四半期決算は、前述のように期中に2度の上方修正を発表し、前年同期比大幅増収増益で着地した。しかしながら同社自身はこの決算を手放しで喜んでいるわけではない。その理由は、今第2四半期決算の中に2つの一過性イベントが含まれ、好決算はそれら一過性要因によって収益が押し上げられた面が強いためだ。
弊社では、一過性要因をめぐる評価については、同社自身がそうであるように、投資家の立場からもそこは厳しく見ておくべきと考えている。しかし一方で、後述するように不動産運用サービスと不動産再生・流動化サービスの2つのセグメントで、しっかりとオーガニックグロースを達成したこともまた事実であり、この点は素直にポジティブに評価して良いと考えている。
各セグメントの詳細動向は以下のとおりだ。
(1) 不動産運用サービス事業セグメント
不動産運用サービス事業は売上高15,582百万円(前年同期比26.1%増)、営業利益2,062百万円(同11.2%増)となった。
ストレージの出店総室数は、2019年6月末時点で93,885室となり、1年前に比べて8,880室、半年前に比べて2,340室増加した。総室数の積み上がりを受けて、サブセグメントのストレージ運用は売上高が前年同期比16.4%増、営業利益が同6.7%増と堅調に収益を伸ばした。予算に対しても売上高・利益ともに超過して着地した。
ストレージ流動化は売上高が前年同期比39.7%増、営業利益が同17.5%増と大幅増収増益となり、予算を達成して着地した。第1四半期においては土地付きストレージ用に手当てしていた土地を、事業環境の変化に対応すべく早期の売却を実施した。これは一時的な利益率低下を招いたが、第2四半期には私募3号ファンドへの土地付きストレージの物件売却が進み、この効果によって利益率は改善を果たした。3号ファンドへの売却は売上高で33億円、営業利益で5億円のインパクトをもたらし、ストレージ流動化サブセグメント、ひいては不動産運用サービスセグメントの収益拡大に大きく貢献した。
同社が自身を戒める“一過性要因”の1つはこの私募ファンドへの売却を指している。私募ファンドへの物件売却は、同社の土地付きストレージ事業における出口戦略の1つとして同社が従来から継続的に取り組んできている事項ではあるが、毎期に安定的に組成できる性質のものではないため、同社自身は一過性要因と位置付けている。
(2) 不動産再生・流動化サービス事業セグメント
不動産再生・流動化サービス事業の今第2四半期は、売上高4,562百万円(前年同期比187.4%増)、営業利益1,203百万円(同303.1%増)と大幅増収増益となった。
このセグメントは、会社概要の項で述べたように、底地事業がその主な事業内容となっているが、今第2四半期は東京都千代田区に保有していた保有不動産(ビル)の売却があった。この収益インパクトが売上高で14億円、営業利益で6億円となり、同セグメントの収益拡大に大きく貢献した。
一方で、セグメント全体の増収・増益額から自社ビル売却の影響を除いた分(売上高で約16億円、営業利益で約3億円)は、底地事業によるオーガニックグロースと言うことができる。同社はストレージ事業に対する環境悪化を受けて、今第2四半期は人員シフトも含めて底地事業の強化に注力した。具体的には、従来から行っている住宅用地に加え、今期は商業用地を対象に底地の仕入をスタートさせた。また、地域的には関西圏での仕入れを開始し、事業領域と地域の両面で拡大を図った。それが奏功して今第2四半期のオーガニックグロースへつながった。
なお、底地事業のオーガニックグロースは、今下期に予定されていたものが今第2四半期に前倒しで計上された影響が大部分を占めている。詳細は後述するが、同セグメントの業績の上下バランスが不均衡で今下期の業績が極めて保守的に見える理由はここにあるので、注意が必要だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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● 2019年12月期第2四半期決算
エリアリンク<8914>の2019年12月期第2四半期決算は、売上高20,145百万円(前年同期比44.5%増)、営業利益2,634百万円(同76.3%増)、経常利益2,472百万円(同83.9%増)、当期純利益1,686百万円(同85.1%増)と大幅増収増益で着地した。
同社は第1四半期の動向に鑑み、2019年4月23日に第2四半期及び通期見通しを上方修正したが、第2四半期単独期間(4月−6月期)に入ってさらに業績が伸長したことから、2019年7月25日に2度目の上方修正を行った。第2四半期決算は2度目の修正予想の線での着地となった。
同社は2019年12月期の期初に当たり、上期及び通期について減収減益予想を発表した。背景には、外部環境の悪化(金融機関による不動産融資の厳格化など)があった。同社はこうした環境変化を受けて、事業の注力ポイントを土地付きストレージからコンテナタイプへと変化させる“原点回帰”を目指した。
そうして迎えた今第2四半期決算は、前述のように期中に2度の上方修正を発表し、前年同期比大幅増収増益で着地した。しかしながら同社自身はこの決算を手放しで喜んでいるわけではない。その理由は、今第2四半期決算の中に2つの一過性イベントが含まれ、好決算はそれら一過性要因によって収益が押し上げられた面が強いためだ。
弊社では、一過性要因をめぐる評価については、同社自身がそうであるように、投資家の立場からもそこは厳しく見ておくべきと考えている。しかし一方で、後述するように不動産運用サービスと不動産再生・流動化サービスの2つのセグメントで、しっかりとオーガニックグロースを達成したこともまた事実であり、この点は素直にポジティブに評価して良いと考えている。
各セグメントの詳細動向は以下のとおりだ。
(1) 不動産運用サービス事業セグメント
不動産運用サービス事業は売上高15,582百万円(前年同期比26.1%増)、営業利益2,062百万円(同11.2%増)となった。
ストレージの出店総室数は、2019年6月末時点で93,885室となり、1年前に比べて8,880室、半年前に比べて2,340室増加した。総室数の積み上がりを受けて、サブセグメントのストレージ運用は売上高が前年同期比16.4%増、営業利益が同6.7%増と堅調に収益を伸ばした。予算に対しても売上高・利益ともに超過して着地した。
ストレージ流動化は売上高が前年同期比39.7%増、営業利益が同17.5%増と大幅増収増益となり、予算を達成して着地した。第1四半期においては土地付きストレージ用に手当てしていた土地を、事業環境の変化に対応すべく早期の売却を実施した。これは一時的な利益率低下を招いたが、第2四半期には私募3号ファンドへの土地付きストレージの物件売却が進み、この効果によって利益率は改善を果たした。3号ファンドへの売却は売上高で33億円、営業利益で5億円のインパクトをもたらし、ストレージ流動化サブセグメント、ひいては不動産運用サービスセグメントの収益拡大に大きく貢献した。
同社が自身を戒める“一過性要因”の1つはこの私募ファンドへの売却を指している。私募ファンドへの物件売却は、同社の土地付きストレージ事業における出口戦略の1つとして同社が従来から継続的に取り組んできている事項ではあるが、毎期に安定的に組成できる性質のものではないため、同社自身は一過性要因と位置付けている。
(2) 不動産再生・流動化サービス事業セグメント
不動産再生・流動化サービス事業の今第2四半期は、売上高4,562百万円(前年同期比187.4%増)、営業利益1,203百万円(同303.1%増)と大幅増収増益となった。
このセグメントは、会社概要の項で述べたように、底地事業がその主な事業内容となっているが、今第2四半期は東京都千代田区に保有していた保有不動産(ビル)の売却があった。この収益インパクトが売上高で14億円、営業利益で6億円となり、同セグメントの収益拡大に大きく貢献した。
一方で、セグメント全体の増収・増益額から自社ビル売却の影響を除いた分(売上高で約16億円、営業利益で約3億円)は、底地事業によるオーガニックグロースと言うことができる。同社はストレージ事業に対する環境悪化を受けて、今第2四半期は人員シフトも含めて底地事業の強化に注力した。具体的には、従来から行っている住宅用地に加え、今期は商業用地を対象に底地の仕入をスタートさせた。また、地域的には関西圏での仕入れを開始し、事業領域と地域の両面で拡大を図った。それが奏功して今第2四半期のオーガニックグロースへつながった。
なお、底地事業のオーガニックグロースは、今下期に予定されていたものが今第2四半期に前倒しで計上された影響が大部分を占めている。詳細は後述するが、同セグメントの業績の上下バランスが不均衡で今下期の業績が極めて保守的に見える理由はここにあるので、注意が必要だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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