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日本アジア投資のニュース
*14:11JST アジア投資 Research Memo(1):2024年3月期通期は、大幅増益(黒字転換)を達成する見通し
■要約
1. 会社概要
日本アジア投資<8518>は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、プライベートエクイティ投資(以下、PE投資)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資を手掛けている。1981年に(公社)経済同友会を母体として設立され、豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤に強みがある。革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業及び中堅・中小企業等への投資や成長支援を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献をしてきた。同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は14,664百万円(8ファンド)、同社グループの自己資金及び運用ファンドによる投融資残高は13,458百万円となっている(2023年9月末時点)。PE投資については、VC業界を取り巻く環境が変化するなかで、新たなファンド設立に苦戦しており、投資残高も減少傾向にある。ただ、ここ数年はプロジェクト投資に積極的に取り組み、パートナー企業への戦略投資(PE投資)でも成果をあげている。
2. 2024年3月期上期の業績
2024年3月期上期の業績(ファンド連結基準※)は、営業収益が前年同期比14.1%増の1,269百万円、営業損失が239百万円(前年同期は488百万円の損失)となった。
※同社は2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を適用し、同社グループが管理運用する投資事業組合等を連結範囲に加えるファンド連結基準に移行している。なお、ファンド連結基準は同社以外の外部出資者の持分が含まれていることやファンドごとの財務方針が反映されるところに注意する必要がある。同社では、投資家からの要望に応じて従来連結基準も同時に開示しているが、弊社でも、より実態を示しているとの判断から従来連結基準による分析を行っている。
従来連結基準では、営業収益が前年同期比36.3%減の426百万円、営業損失が535百万円(前年同期は598百万円の損失)と減収ながら損失幅が改善した。また、営業収益、各利益ともに、期初見込値を下回る着地となっている。営業収益は、プロジェクトの売却がなかったことで減収となったが、その点は想定内である。期初見込値を下回ったのは、上期中に見込んでいた株式売却の期ずれが理由である。損益面については、利益率の高い株式の売却や投資先に対する引当金繰入額の減少などにより損失幅は改善したものの、株式売却の期ずれの影響に加え、見込み外で売却損が発生したことにより、損益面でも期初見込値を大きく下回った。活動面では、事業承継ファンドの増額組成や障がい者グループホームへの投資実行、新規事業開発などで成果をあげることができた。
3. 2024年3月期の業績見通し
同社は、業績予想(ファンド連結基準)について、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難な事業特性であることから公表を行っていない。ただ、2024年3月期については、ある一定の前提をもとに策定した「従来連結基準による見込値」を参考情報として開示している。
「従来連結基準による見込値」によれば、2024年3月期の期初見込値を据え置き、営業収益を前期比23.8%減の2,300百万円、営業利益を200百万円(前期は185百万円の損失)と減収ながら株式売却益の計上等により、黒字転換を見込んでいる。下期については、1) 上期から期ずれとなった株式の売却に加え、2) 比較的投資金額の多額な国内の未上場株式の売却、3) プロジェクト投資の売却(物流施設、障がい者グループホーム)などを計画しており、これらを実現することが、通期見込値の達成に向けた要となる。
4. 今後の方向性(中期経営計画の概要)
同社は、2022年3月期より3ヶ年の中期経営計画を推進し最終年度を迎えている。投資活動のコアバリューを「ベンチャー投資と特色有るアジアのネットワークを活用した日本とアジアの未来に貢献するSDGs投資」と位置付け、少子高齢化とポストコロナの日本の未来社会で生み出されるイノベーションから創出される事業を見出し、投資活動を通じて成長を支援する方針である。もっとも、基本的な投資方針は前中期経営計画(以下、前中計)と変わりなく、戦略投資とプロジェクト投資によりバランスシートの早期改善と安定した収益の造成を図るとともに、ベンチャー投資により高い収益性の確保を目指してきた。ただ、業績面では株価低迷等の影響により当初計画を下回って推移している。
■Key Points
・2024年3月期上期の業績(従来連結基準)は、株式売却の期ずれにより期初見込値を下回る着地
・活動面では、事業承継ファンドや障がい者グループホーム、新規事業開発などで一定の成果
・2024年3月期の業績予想を据え置き、通期では株式売却益の計上等により黒字転換を見込む
・2022年3月期より中期経営計画を推進。前中計の投資方針をさらに推し進めるとともに、SDGsを強く意識した投資活動に取り組む方向性
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<SI>
1. 会社概要
日本アジア投資<8518>は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、プライベートエクイティ投資(以下、PE投資)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資を手掛けている。1981年に(公社)経済同友会を母体として設立され、豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤に強みがある。革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業及び中堅・中小企業等への投資や成長支援を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献をしてきた。同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は14,664百万円(8ファンド)、同社グループの自己資金及び運用ファンドによる投融資残高は13,458百万円となっている(2023年9月末時点)。PE投資については、VC業界を取り巻く環境が変化するなかで、新たなファンド設立に苦戦しており、投資残高も減少傾向にある。ただ、ここ数年はプロジェクト投資に積極的に取り組み、パートナー企業への戦略投資(PE投資)でも成果をあげている。
2. 2024年3月期上期の業績
2024年3月期上期の業績(ファンド連結基準※)は、営業収益が前年同期比14.1%増の1,269百万円、営業損失が239百万円(前年同期は488百万円の損失)となった。
※同社は2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を適用し、同社グループが管理運用する投資事業組合等を連結範囲に加えるファンド連結基準に移行している。なお、ファンド連結基準は同社以外の外部出資者の持分が含まれていることやファンドごとの財務方針が反映されるところに注意する必要がある。同社では、投資家からの要望に応じて従来連結基準も同時に開示しているが、弊社でも、より実態を示しているとの判断から従来連結基準による分析を行っている。
従来連結基準では、営業収益が前年同期比36.3%減の426百万円、営業損失が535百万円(前年同期は598百万円の損失)と減収ながら損失幅が改善した。また、営業収益、各利益ともに、期初見込値を下回る着地となっている。営業収益は、プロジェクトの売却がなかったことで減収となったが、その点は想定内である。期初見込値を下回ったのは、上期中に見込んでいた株式売却の期ずれが理由である。損益面については、利益率の高い株式の売却や投資先に対する引当金繰入額の減少などにより損失幅は改善したものの、株式売却の期ずれの影響に加え、見込み外で売却損が発生したことにより、損益面でも期初見込値を大きく下回った。活動面では、事業承継ファンドの増額組成や障がい者グループホームへの投資実行、新規事業開発などで成果をあげることができた。
3. 2024年3月期の業績見通し
同社は、業績予想(ファンド連結基準)について、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難な事業特性であることから公表を行っていない。ただ、2024年3月期については、ある一定の前提をもとに策定した「従来連結基準による見込値」を参考情報として開示している。
「従来連結基準による見込値」によれば、2024年3月期の期初見込値を据え置き、営業収益を前期比23.8%減の2,300百万円、営業利益を200百万円(前期は185百万円の損失)と減収ながら株式売却益の計上等により、黒字転換を見込んでいる。下期については、1) 上期から期ずれとなった株式の売却に加え、2) 比較的投資金額の多額な国内の未上場株式の売却、3) プロジェクト投資の売却(物流施設、障がい者グループホーム)などを計画しており、これらを実現することが、通期見込値の達成に向けた要となる。
4. 今後の方向性(中期経営計画の概要)
同社は、2022年3月期より3ヶ年の中期経営計画を推進し最終年度を迎えている。投資活動のコアバリューを「ベンチャー投資と特色有るアジアのネットワークを活用した日本とアジアの未来に貢献するSDGs投資」と位置付け、少子高齢化とポストコロナの日本の未来社会で生み出されるイノベーションから創出される事業を見出し、投資活動を通じて成長を支援する方針である。もっとも、基本的な投資方針は前中期経営計画(以下、前中計)と変わりなく、戦略投資とプロジェクト投資によりバランスシートの早期改善と安定した収益の造成を図るとともに、ベンチャー投資により高い収益性の確保を目指してきた。ただ、業績面では株価低迷等の影響により当初計画を下回って推移している。
■Key Points
・2024年3月期上期の業績(従来連結基準)は、株式売却の期ずれにより期初見込値を下回る着地
・活動面では、事業承継ファンドや障がい者グループホーム、新規事業開発などで一定の成果
・2024年3月期の業績予想を据え置き、通期では株式売却益の計上等により黒字転換を見込む
・2022年3月期より中期経営計画を推進。前中計の投資方針をさらに推し進めるとともに、SDGsを強く意識した投資活動に取り組む方向性
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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