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日本アジア投資のニュース
■日本アジア投資<8518>の業績推移
1. 業績を見るためのポイント
一般の事業会社の売上高に当たるものが営業収益であり、投資業務における回収額(営業投資有価証券売却高)のほか、利息・配当収入や組合持分利益(インカムゲイン)に加えファンド業務における運営報酬などによって構成される。ただ、その大部分を占めている営業投資有価証券売却高は、投資額(取得原価)を上回ってこそ利益が創出されるものであるため、営業収益が増えたからと言って必ずしも業績が向上しているとは限らない。
したがって、同社の業績指標としては、取得原価などを差し引いた投資損益やインカムゲイン(利息・配当収入や組合持分利益)、運営報酬などを足し合わせた営業総利益に注目するのが妥当であると考えられる。なお、営業総利益は、投資先の業績悪化や株式市場の低迷による「営業投資有価証券評価損」や「投資損失引当金繰入額」を反映しているため、それらが期間損益の大きな下振れ要因となり得ることにも注意する必要がある。
2. 過去の業績推移
過去の業績(従来連結基準)を振り返ると、リーマンショックによる世界同時不況や東日本大震災、為替相場の変動などによる影響を受けながら不安定な状況で推移してきた。ただ、2016年3月期以降は、メガソーラープロジェクトによる収益貢献等により、7期連続の黒字決算を達成している。
安定収益である運営報酬はファンド運用残高の縮小に伴って減少傾向にある。一方、投資損益(実現キャピタルゲインに評価損及び投資損失引当金を加味したもの)は、不安定に推移してきた。特に注目すべきは、評価損及び引当金繰入額が投資損益を圧迫してきたところである。ただ、2016年3月期以降、比較的落ち着いた動きとなってきているのは、運用資産の中身がリーマンショック後に積み上げた良質の資産(より適正価格で取得できたもの)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資資産に入れ替わってきたことを反映しており、今後は巡航レベルの範囲内で推移するものとみている。
一方、リーマンショックの影響等による業績の落ち込みと財務状況の悪化を受け、財務体質の改善と収益力の強化に取り組んできたことから、有利子負債残高(借入金・社債、新株予約権付社債)は年々減少するとともに、販管費(特に人件費や賃借料)の削減にも努めてきた。有利子負債残高は2016年3月期の16,910百万円から2022年3月期には5,943百万円と約65%の削減を実現しており、販管費も縮小傾向をたどっている。もっとも、販管費については、2022年3月期に増加に転じており、ファンド設立やプロジェクト投資資産の積み増しなど、今後の事業拡大に向け、人件費等を中心に増加に向かう可能性もある。
また、有利子負債の削減に伴って、財務基盤の安定性を示す自己資本比率も大きく改善してきた。2016年3月期は新株予約権が行使されたことに加え、First Easternとの資本業務提携に伴う自己資本の増強及び債務の圧縮(約8.3億円)によって自己資本比率は21.9%に大きく上昇。その後も新株予約権の行使や内部留保により改善を続け、2022年3月期には52%の水準を確保している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 業績を見るためのポイント
一般の事業会社の売上高に当たるものが営業収益であり、投資業務における回収額(営業投資有価証券売却高)のほか、利息・配当収入や組合持分利益(インカムゲイン)に加えファンド業務における運営報酬などによって構成される。ただ、その大部分を占めている営業投資有価証券売却高は、投資額(取得原価)を上回ってこそ利益が創出されるものであるため、営業収益が増えたからと言って必ずしも業績が向上しているとは限らない。
したがって、同社の業績指標としては、取得原価などを差し引いた投資損益やインカムゲイン(利息・配当収入や組合持分利益)、運営報酬などを足し合わせた営業総利益に注目するのが妥当であると考えられる。なお、営業総利益は、投資先の業績悪化や株式市場の低迷による「営業投資有価証券評価損」や「投資損失引当金繰入額」を反映しているため、それらが期間損益の大きな下振れ要因となり得ることにも注意する必要がある。
2. 過去の業績推移
過去の業績(従来連結基準)を振り返ると、リーマンショックによる世界同時不況や東日本大震災、為替相場の変動などによる影響を受けながら不安定な状況で推移してきた。ただ、2016年3月期以降は、メガソーラープロジェクトによる収益貢献等により、7期連続の黒字決算を達成している。
安定収益である運営報酬はファンド運用残高の縮小に伴って減少傾向にある。一方、投資損益(実現キャピタルゲインに評価損及び投資損失引当金を加味したもの)は、不安定に推移してきた。特に注目すべきは、評価損及び引当金繰入額が投資損益を圧迫してきたところである。ただ、2016年3月期以降、比較的落ち着いた動きとなってきているのは、運用資産の中身がリーマンショック後に積み上げた良質の資産(より適正価格で取得できたもの)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資資産に入れ替わってきたことを反映しており、今後は巡航レベルの範囲内で推移するものとみている。
一方、リーマンショックの影響等による業績の落ち込みと財務状況の悪化を受け、財務体質の改善と収益力の強化に取り組んできたことから、有利子負債残高(借入金・社債、新株予約権付社債)は年々減少するとともに、販管費(特に人件費や賃借料)の削減にも努めてきた。有利子負債残高は2016年3月期の16,910百万円から2022年3月期には5,943百万円と約65%の削減を実現しており、販管費も縮小傾向をたどっている。もっとも、販管費については、2022年3月期に増加に転じており、ファンド設立やプロジェクト投資資産の積み増しなど、今後の事業拡大に向け、人件費等を中心に増加に向かう可能性もある。
また、有利子負債の削減に伴って、財務基盤の安定性を示す自己資本比率も大きく改善してきた。2016年3月期は新株予約権が行使されたことに加え、First Easternとの資本業務提携に伴う自己資本の増強及び債務の圧縮(約8.3億円)によって自己資本比率は21.9%に大きく上昇。その後も新株予約権の行使や内部留保により改善を続け、2022年3月期には52%の水準を確保している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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