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ユアサ商事、新・中期経営計画を発表 新たな価値創造を目指し「つなぐ複合専門商社グループ」へ

投稿:2020/05/22 17:00

Growing Together 2023

田村博之氏:ユアサ商事の田村でございます。ユアサ商事グループが2020年4月に発表させていただきました中期経営計画「Growing Together 2023」についてご説明いたします。

中期経営計画(Growing Together 2020【期間】2017.4~2020.3)の総括①

はじめに、2020年3月で終了した中期経営計画「Growing Together 2020」の総括をさせていただきます。経営指標の達成状況ですが、表の青色で示した箇所が達成した項目、赤色で示した箇所が未達となった項目です。

2020年3月期実績については、売上高、利益額、ROEともに未達成となり、株主還元率のみが達成となりました。成長戦略の達成状況については、環境エネルギーソリューション事業とレジリエンス&セキュリティ事業は計画を達成しましたが、他の事業はいずれも未達となりました。

中期経営計画(Growing Together 2020【期間】2017.4~2020.3)の総括②

基本方針の総括ですが、コア事業の機能強化と経営基盤の強化については諸施策を実行でき、総合力の発揮と「ユアサビジョン360」実現に向けた基礎固めができたと考えています。

成長事業については、農業や介護・医療など、将来に向けた新事業の布石は打つことができましたが、全社横断的な取り組みという面でスピード感が不足していたと考えています。

今期は本総括を踏まえ、後ほどご説明する全社横断組織「グローイング戦略本部」を設置し、成長戦略を強力に推進していく所存です。

ユアサビジョン360・Growing Together 2023の定量計画

当社グループがこのたび制定した新しいキャッチフレーズについてご紹介します。当社はこれまで、「産業とくらしの複合専門商社」というキャッチフレーズを使用していましたが、新しい価値創造を目指していくため「つなぐ複合専門商社グループ」というキャッチフレーズに変更させていただきました。

当社グループが目指す「つなぐ複合専門商社グループ」の姿を映像にまとめていますので、ご覧いただきたいと思います。

映像にもありましたとおり、当社は「つなぐ複合専門商社グループ」として、今後さまざまな戦略を展開していく所存です。

中期経営計画の定量計画は、ご覧のとおりです。右下の円グラフが2023年にありたい姿、左下の円グラフが今から6年後、「ユアサビジョン360」の最終年度である2026年にありたい姿を示しています。

薄い水色で示した既存コア事業を強化しつつ、さまざまな色で表示されている成長事業、新事業の割合を高めていくことで、将来の売上高6,000億円、経常利益200億円を達成していきたいと考えています。

Growing Together 2023の位置づけと骨子

「Growing Together 2023」の位置づけと骨子です。本中期経営計画は、第3ステージで目指す「業界トップレベルの収益構造を持つ、つなぐ複合専門商社グループ」を実現するための、大変重要な第2ステージと位置づけています。

青色部分に示している「総合力」「チャレンジ」「コミュニケーション」による持続可能な経営基盤作りのため、「成長事業戦略」「コア事業戦略」「経営基盤の強化」を骨子として展開していきます。

社会課題の解決と成長戦略の位置づけ

成長戦略については、先ほどの映像にもあったとおり、社会課題の解決と密接につながっています。

一番下に、当社の企業理念である「誠実と信用」「進取と創造」「人間尊重」とあります。これを出発点とし、競争力強化の取り組みとして「総合力強化」「モノ売りからコト売りへ」「商社機能強化」「新市場開拓」「持続可能な経営基盤確立」というテーマに取り組んでいます。その上にコア事業があり、さらにその上に成長事業が示されています。

実現する目標としては「スマートファクトリー」「スマートシティ」「安心・安全な社会インフラ」「スマートライフ」があり、これにより、社会ニーズに応え、SDGsのアイコンに示されている社会課題解決につなげていきたいと考えています。

SDGsの取組み

成長戦略を通じた社会課題の解決に加え、SDGsに対する具体的な行動として、今年度よりマレーシアでマングローブの植林活動を開始します。当社はこれまでも北海道に保有する3ヶ所の森林で継続的に植林事業を実施してきましたが、海外で実施するのは初めての試みとなります。

今後10年間かけて、当社グループ社員が現地で植林活動を行なっていくほか、地域の教育機関と連携した環境教育の実施や、地域社会の生活支援につながる取り組みを行なっていきます。

成長戦略の推進に向けて(組織改革)

成長戦略の推進は全社横断的な取り組みが必要なことから、2020年4月に営業部門統括傘下にグローイング戦略本部を設置し、グループ横断的に成長戦略を推進する体制を整備しました。

グローイング戦略本部が「Growing Together 2023」の成長事業推進のエンジン役として、また新たな事業の発掘、育成を担う組織として活動していきます。

成長戦略の推進に向けて①

個別の成長戦略についてご説明します。まず海外事業についてですが、スライドでは「Growing Together 2020」の総括と「Growing Together 2023」の計画を示しています。

海外事業は他の成長事業と比べ進捗が遅れているものの、当社グループの成長のために大変重要な戦略と位置づけています。そのため、海外事業については今後3年間で40億円の投資枠をもって推進していきます。

投資の内容については精査中ですが、例えば北米の機械ディストリビューターとアライアンスが組めないか、あるいは東南アジアにおいて自動化を睨み、ロボットSIerとアライアンスが組めないか、カンボジアやミャンマーで新拠点を設立できないかなどについて、新型コロナウイルス収束後の世界情勢を慎重に見極め、検討していきたいと考えています。

成長戦略の推進に向けて②

新型コロナウイルス収束後、世の中が大きく変わると予想される中、ロボット(AI)&IoT事業は、特に成長が見込める事業と位置づけています。

これまでロボットは、言うまでもなく人手不足を解消する手段として活用されてきました。今後はウイルス対策の観点から、可能な限り人に頼らないモノづくりや街づくりに対するニーズが生まれてくると考えられ、本事業の重要性がさらに増したと考えています。

そのため、ロボット(AI)&IoT事業において、今後3年間で40億円の投資枠をもって推進していきます。

本事業への投資の一環として、昨年12月に業務提携を行なったディープラーニングに強みを持つAIベンチャー企業であるconnectome.design社とのパイプをさらに強めるため、このたび5月22日に同社と業務資本提携を行なうことを発表させていただきました。

本件を契機に、さまざまな事業分野において商品やシステムにAIを実装し、新たな付加価値を創出する事業を展開していきたいと考えています。

connectome.design社について

connectome.design社(以下COD社)の概要はご覧のとおりです。「匠の技」と呼ばれる熟練者の技術や経験をAIに埋め込み、製造業に実装することを強みとするAIベンチャー企業です。

COD社のノウハウの活用により、AI、IoT、ロボットを当社の事業領域であるモノづくり、住環境、建設、農業、介護・医療、食品などの幅広い分野に実装し、さまざまな社会課題の解決につなげていきたいと考えています。

成長戦略の推進に向けて③

環境・エネルギーソリューション事業です。これまでの取り組みとしては、固定価格買取制度の改正により、さまざまな局面を迎えた事業ですが、間違いなく拡大していく事業だと考えています。

当社グループとして、環境問題という社会課題の解決に向け本事業を拡大していくために、先ほどご説明したグローイング戦略本部傘下に「YES(Yuasa Environment Solution)部」を設置し、全社横断による省エネのソリューション提案を推進していきます。

また、固定買取期間満了を迎えた方々への独自の余剰電力買取パッケージ「ユアプレミアム」の展開についても推進していきます。本サービスは、当社が取り扱う蓄電池とエネルギーマネジメントシステムをご購入いただいた方々を対象に、1kWh(キロワットアワー)あたり、全国一律20円で余剰電力を買い取る独自のサービスとなります。

本サービスの普及により、電力の自家消費を促進し、経済的で環境に優しいスマートライフの実現を目指していきます。

成長戦略の推進に向けて④

新流通事業です。当社グループとして、今後も対面営業を重視していく方向性は変わりませんが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大により、業界としてECの重要性がさらに増してきています。

当社としては、ECで取引可能なビジネスは、当社ECサイト「Growing Navi」で展開していきたいと考えています。引き続きシステム改善を継続していくとともに、ECによる受注額の拡大に努めていきます。

また、「Growing Navi」の「B to B to U」展開について、「U」は「User」という意味ですが、この展開についても販売先さまと十分検討の上、取り組んでいきます。

成長戦略の推進に向けて⑤

レジリエンス&セキュリティ事業です。BCP(事業継続計画)を考える上で、これまでは自然災害に対する防災・減災対策が主でしたが、新たに「ウイルス災害」や「パンデミック」という新たな社会課題が発生しています。

今後、感染拡大を防ぐため、人々の行動範囲が変わり、今以上に「セキュリティ」というテーマがクローズアップされてくると思われます。本事業の全社グループ展開を促進するため、2020年4月よりグローイング戦略本部の傘下に設置した「レジリエンス&セキュリティ室」を通じて推進していきます。

ハード面のみならず、BCPや生態認証技術といったソフト面との両輪により、自然災害やウイルス災害といった社会課題の解決に挑戦していきます。

成長戦略の推進に向けて⑥

前・中期経営計画でスタートした農業事業と介護・医療事業です。定量的にはまだ低い数字ですが、この3年間で成長させ、第3ステージには事業の柱とすべく取り組んでいきます。

農業事業については、実証実験を重ねてきた農業用ロボット「MY DONKEY」が実用化に向けた段階に入りつつあります。次世代農業への貢献のため、1日も早い商品化を目指していきます。

介護・医療事業については、ウイルス対策となる除菌・衛生商品の販売はもちろん、パワーアシストスーツや介護・リハビリ装置の普及を通じ、介護・医療の現場をサポートしていきます。

成長戦略の推進に向けて⑦

この3年間で種をまき、2023年4月からの成長戦略に加えるためにチャレンジしていきたい事業についてご説明します。食品事業とシェアリング事業です。

食品事業については、食品そのものを売る事業ではなく、現在当社内に食品機械を扱う専門部隊があり、これを大きく育てていきたいと考えています。安全でロスが少なく、生産性が高いスマート食品工場の実現に向け、専門部隊で培ったノウハウを国内・海外に展開していきます。

シェアリング事業については、建設機械部門では既に業界全体でシェアリングビジネスを行なっていますが、今後は他の事業分野でも所有からシェアリングへの移行が進むと思われます。本分野を、3年間かけて開拓していきます。

コア事業の強化①

コア事業強化についての取り組みをご説明します。まずは、エンジニアリング機能の強化です。「モノ売り」から「コト売り」への推進に向け、また総合力やコーディネート力の発揮に向け、エンジニアリング機能の発揮は大変重要であると考えています。

現在、当社グループにはグループ全体で435名のエンジニアが在籍しており、当社の営業部門は、このエンジニアリング機能をもってモノづくり、まちづくりの提案を行なっています。

この機能をさらに強化していくために、2020年4月にグローイング戦略本部傘下に「総合エンジニアリング室」を設置しました。各組織が持つ専門性を結集し、グループ全体で物件のトータル受注を展開していきたいと考えています。

コア事業の強化②

グループ機能強化についてご説明します。これまで当社グループにはなかった機能については、M&Aにより補強していきます。

2020年3月には、コンテナハウスの設計・製造機能を持つ富士クオリティハウス株式会社と、神奈川県下でリフォーム工事業を展開する株式会社高千穂について、コア事業へのシナジー効果を目的としてグループ化を行ないました。

富士クオリティハウスでは、新型コロナウイルスから医療従事者を守るため、主力商品であるコンテナハウスを「感染症対策ハウス」として用途開発し、今後医療施設等へ納入を行なっていく予定です。

今後も、グループ機能強化のための投資を緩めることなく進めていきたいと考えています。

成長マトリックスのイメージ

あらためて、成長マトリックスのイメージと、投資に向けた取り組みをご説明します。スライドには、これまで説明させていただいた成長事業とコア事業を、市場別、商品別に整理しています。

投資枠としては、先ほどのご説明のとおり、今後3年間で海外事業とロボ(AI)&IoT事業にそれぞれ40億円、その他の成長事業及びコア事業に50億円を投資していきます。

経営基盤の強化

IT基盤にも、3年間で40億円の投資を計画しています。新しい価値創造に向けて、コーディネート機能の強化や新しい技術を活用し、攻めのITへシフトしていきます。さらに、ユアサ商事グループ共通のIT基盤を整備し、グループ全社を挙げたデジタル化を推進するとともに、全社グループ社員のITリテラシーを高めていきます。

これにより営業ノウハウの属人化を防ぎ、デジタルデータに基づく付加価値の高い提案営業につなげていきます。

Growing Together 2023の定量計画&KPI

定量計画とKPIです。2023年3月期計画の売上高5,450億円、経常利益164億円の達成に向け、本中期経営計画を推進していきます。また、引き続きROEと株主還元率重視の資本政策を継続していきます。

非財務KPIとして、下の表にある女性総合職比率、有給休暇取得率、平均労働時間についても数値目標を定めて取り組んでいきます。

投資・資本政策

最後に、投資・資本政策についてご説明します。まず、「Growing Together 2020」では当初の計画どおり、投資、株主還元、将来への投資原資の割合がそれぞれ約3分の1ずつとなりました。

それを「Growing Together 2023」では投資の割合を57パーセント、170億円まで増やし、成長事業やIT基盤に投資していきます。株主還元率については、これまでのとおり33パーセント以上を維持していきます。

今後6年間の計画としては、ご覧のとおり投資を50パーセント、株主還元率については33パーセント以上を維持していきます。

以上が、中期経営計画「Growing Together 2023」の内容です。何卒ご理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス
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