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東都水産のニュース
■要約
東都水産<8038>は、築地市場の水産物卸売業者の大手である。独立系で、水産物卸売事業のほかに冷蔵倉庫業及びその関連事業、不動産賃貸事業を併営、子会社では地方市場での水産物卸売、カナダでの水産加工品の製造も行っている。かつて漁業大国と称された日本も、少子高齢化や食の多様化などにより魚の消費量が長期的に減少傾向にあり、一方、水産資源の減少や世界的な魚食志向の高まりなどから魚価が上昇傾向にある。このように、水産物卸売業界は難しい課題に取り囲まれているといえる。また、同社が地盤とし世界最大級の卸売市場と言われる築地市場も、市場外流通の拡大や老朽化による安全性などの問題を抱えている。そのような環境のなか、東京を中心に関東一円の食卓を担う水産物卸売業者として、国内及び世界各地から集荷した生鮮・冷凍魚介類はもとより、あらゆる水産加工品の安定供給に努めている。
主力の水産物卸売事業は、本マグロを始め各種マグロを扱う大物部、日本近海や世界各国から集められた鮮魚・養殖魚などを扱う鮮魚部、ウニやアワビ、活魚など業務用高級魚がメインの特種部、アジの開きなど幅広い種類の干物・練製品・合物を扱う加工品部、冷凍品から伝統的な塩蔵品までを扱う冷凍塩魚部の5つに大別される。そのほか、同社のグループ会社で、水産物卸売や水産物製造加工、冷蔵倉庫及びその関連、不動産賃貸などの事業を行っている。中でもカナダ・バンクーバーにある子会社AERO TRADING CO.,LTD.には製造加工と輸出のノウハウがあり、バンクーバー周辺では魚加工の有力な1社で、同社海外ネットワークの基点でもある。近年の魚食の世界的拡大により、AERO TRADING CO.,LTD.から米国や中国向けの輸出が急拡大している。
2018年3月期業績は、売上高117,195百万円(前期比1.7%減)、営業利益1,407百万円(同4.6%増)となった。水産物卸売事業は、海外での需要増加により仕入価格が高止まりし、水産資源の減少などにより取扱数量の減少が続くという厳しい事業環境にあるため、販売単価は上昇したものの、売上高が減少し採算も悪化した。一方、AERO TRADING CO.,LTD.の好調に加え国内流通加工に注力した冷蔵倉庫及びその関連事業、物件稼働率の向上に努めた不動産賃貸事業はともに増収増益となった。なお、東水フーズ解散に伴う固定資産の譲渡に係る減損損失209百万円を特別損失として計上した。2019年3月期業績見通しについて同社は、売上高115,000百万円(前期比1.9%減)、営業利益700百万円(同50.3%減)を見込んでいる。厳しい事業環境のなか、豊洲市場への移転などに伴うコストアップが予想されている。
同社は現在、水産卸の事業環境と豊洲移転という大きな課題を2つ抱えている。しかし、豊洲市場の開場が2018年10月11日に決まったことから、同社はこれを弾みに収益構造を変革していく考えである。当然市場内での収益改善も進めるが、2017年4月に新設した事業開発統括本部によってグループ横断的に市場外の事業を推進、新たな成長ドライバーにしようというのである。具体的には、従来消極的だった大手量販店などとの場外取引を積極化させること、および加工や輸出の強化である。市場外取引については、まさに世の中の流れに乗って新たな取引を拡大させる方針であり、AERO TRADING CO.,LTD.からの輸入を増やして品揃えを拡大する一方、加工・輸出については、長谷取締役が代表を務める(株)三陽グループのノウハウやルートを使ってアフリカや中東などへの加工品の輸出を強化する考えである。豊洲移転という大きなイベントを控えているため、今はまだ将来に向けての収益状況を見通しづらいが、豊洲市場移転後に策定が予想される中期経営計画が楽しみだ。
■Key Points
・築地市場の大手水産物卸売業者。社会性は高いが、魚の消費量減少、魚価上昇と環境は厳しい
・豊洲市場開場が2018年10月で決定。但し、2019年3月期は移転コストなどにより減益予想
・豊洲市場移転を弾みに場外取引や加工・輸出にも注力、中期的に収益構造を変革する考え
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<TN>
東都水産<8038>は、築地市場の水産物卸売業者の大手である。独立系で、水産物卸売事業のほかに冷蔵倉庫業及びその関連事業、不動産賃貸事業を併営、子会社では地方市場での水産物卸売、カナダでの水産加工品の製造も行っている。かつて漁業大国と称された日本も、少子高齢化や食の多様化などにより魚の消費量が長期的に減少傾向にあり、一方、水産資源の減少や世界的な魚食志向の高まりなどから魚価が上昇傾向にある。このように、水産物卸売業界は難しい課題に取り囲まれているといえる。また、同社が地盤とし世界最大級の卸売市場と言われる築地市場も、市場外流通の拡大や老朽化による安全性などの問題を抱えている。そのような環境のなか、東京を中心に関東一円の食卓を担う水産物卸売業者として、国内及び世界各地から集荷した生鮮・冷凍魚介類はもとより、あらゆる水産加工品の安定供給に努めている。
主力の水産物卸売事業は、本マグロを始め各種マグロを扱う大物部、日本近海や世界各国から集められた鮮魚・養殖魚などを扱う鮮魚部、ウニやアワビ、活魚など業務用高級魚がメインの特種部、アジの開きなど幅広い種類の干物・練製品・合物を扱う加工品部、冷凍品から伝統的な塩蔵品までを扱う冷凍塩魚部の5つに大別される。そのほか、同社のグループ会社で、水産物卸売や水産物製造加工、冷蔵倉庫及びその関連、不動産賃貸などの事業を行っている。中でもカナダ・バンクーバーにある子会社AERO TRADING CO.,LTD.には製造加工と輸出のノウハウがあり、バンクーバー周辺では魚加工の有力な1社で、同社海外ネットワークの基点でもある。近年の魚食の世界的拡大により、AERO TRADING CO.,LTD.から米国や中国向けの輸出が急拡大している。
2018年3月期業績は、売上高117,195百万円(前期比1.7%減)、営業利益1,407百万円(同4.6%増)となった。水産物卸売事業は、海外での需要増加により仕入価格が高止まりし、水産資源の減少などにより取扱数量の減少が続くという厳しい事業環境にあるため、販売単価は上昇したものの、売上高が減少し採算も悪化した。一方、AERO TRADING CO.,LTD.の好調に加え国内流通加工に注力した冷蔵倉庫及びその関連事業、物件稼働率の向上に努めた不動産賃貸事業はともに増収増益となった。なお、東水フーズ解散に伴う固定資産の譲渡に係る減損損失209百万円を特別損失として計上した。2019年3月期業績見通しについて同社は、売上高115,000百万円(前期比1.9%減)、営業利益700百万円(同50.3%減)を見込んでいる。厳しい事業環境のなか、豊洲市場への移転などに伴うコストアップが予想されている。
同社は現在、水産卸の事業環境と豊洲移転という大きな課題を2つ抱えている。しかし、豊洲市場の開場が2018年10月11日に決まったことから、同社はこれを弾みに収益構造を変革していく考えである。当然市場内での収益改善も進めるが、2017年4月に新設した事業開発統括本部によってグループ横断的に市場外の事業を推進、新たな成長ドライバーにしようというのである。具体的には、従来消極的だった大手量販店などとの場外取引を積極化させること、および加工や輸出の強化である。市場外取引については、まさに世の中の流れに乗って新たな取引を拡大させる方針であり、AERO TRADING CO.,LTD.からの輸入を増やして品揃えを拡大する一方、加工・輸出については、長谷取締役が代表を務める(株)三陽グループのノウハウやルートを使ってアフリカや中東などへの加工品の輸出を強化する考えである。豊洲移転という大きなイベントを控えているため、今はまだ将来に向けての収益状況を見通しづらいが、豊洲市場移転後に策定が予想される中期経営計画が楽しみだ。
■Key Points
・築地市場の大手水産物卸売業者。社会性は高いが、魚の消費量減少、魚価上昇と環境は厳しい
・豊洲市場開場が2018年10月で決定。但し、2019年3月期は移転コストなどにより減益予想
・豊洲市場移転を弾みに場外取引や加工・輸出にも注力、中期的に収益構造を変革する考え
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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