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-全国的に気温は高めの傾向、外出増でレジャー・飲食業界に追い風強まる-
今年の冬は「暖冬」になるようだ。気象庁の予報によると、12月~来年2月は全国的に平年より気温が高くなるという。一般的に暖冬は冬物商品のニーズが落ちるため個人消費を鈍らせ、経済全体に悪影響を与えるとされる。株式市場でも悪材料とみなされるが、経済に影響を及ぼすトピックが出てきた際には、それに関連する銘柄を探したくなるのが投資家心理というものだ。数少ないながら、暖冬の恩恵を受けそうな銘柄は存在する。地球温暖化で異常気象の発生頻度が年々増すなか、暖冬関連株が注目される場面は今後増えていくかもしれない。
●高温・降雪少なめ、エルニーニョ&正のダイポールモードの影響で
気象庁は19日、寒候期予報(12~2月)を発表した。北日本から沖縄・奄美にかけて全国的に例年より気温が高めの傾向となり、特に東日本以南でその傾向が強まる見通しだ。日本に暖冬をもたらすとされる「エルニーニョ現象」に加え、インド洋の海面水温が平年より東側で低く西側で高くなる「正のインド洋ダイポールモード現象」の影響を受けるという。降水量は東日本の太平洋側と西日本でやや多く、それ以外のエリアでは平年並み。日本海側の降雪量は北日本で平年並みか少ない、東・西日本で平年より少ない見込みとなっている。
過去、冬シーズン(12~2月)が高温だった年は2019~20年やその前シーズンの18~19年、15~16年、06~07年などがある。なかでも直近の19~20年は記録的な暖冬となり、東・西日本の気温は1946年の統計開始以来で最高を記録。北・東日本の日本海側の降雪量は1961年に統計を取り始めてから最も少なくなった。当時、スキー場の雪不足や桜の開花が早まったことが話題にのぼったが、時を同じくして新型コロナウイルスの感染拡大が始まったため多くの人の記憶にはあまり残っていないかもしれない。今冬が暖冬となれば、この19~20年シーズン以来4年ぶりのこととなる。
19~20年に発表された企業の決算資料を見ると、「暖冬」のワードが多く目につく。大半は業績悪化要因の一つとして記載されているが、少なからず業績のプラス要因として挙げている企業も確認される。暖冬が追い風に働いた実績を持つ企業を中心に、その周辺に位置する銘柄群に目を向けてみよう。
●ゴルフ関連株、19~20年記録的暖冬時に客数増
暖冬が業績の追い風になりそうなセクターとして、まず思い浮かぶのはレジャー関連だろう。気候が温暖なことで外出しようとする人が増えれば、遊園地やテーマパーク、アミューズメント施設などの客足にプラスとなりそうだ。もちろん、雪不足の影響を受けるスキーだけは例外となる。
こうしたなか注目は、長時間屋外で過ごす ゴルフだ。ゴルフ関連サイトを運営するゴルフダイジェスト・オンライン <3319> [東証P]の20年1-3月期決算説明資料を見ると、ゴルフ場予約サービスが「暖冬により送客数が順調に伸長」と記載。ゴルフ用品販売やゴルフレッスンも伸び、同四半期は営業黒字転換で着地している。中古ゴルフ用品店を展開するゴルフ・ドゥ <3032> [名証N]も暖冬の影響で客数が増加し、20年3月期通期は営業黒字に浮上。傘下にゴルフ場運営大手パシフィックゴルフマネージメント(PGM)を持つパチンコ機大手の平和 <6412> [東証P]では、20年2月のゴルフ場来場者数が前年同月比16.8%増と急増した。
ゴルフ用品を手掛けるヨネックス <7906> [東証S]やミズノ <8022> [東証P]を筆頭に、ゴルフシャフト大手のグラファイトデザイン <7847> [東証S]、ゴルフクラブのOEM生産を行う遠藤製作所 <7841> [東証S]、ゴルフ予約サイト運営のバリューゴルフ <3931> [東証G]など、一連のゴルフ関連株をマークしておきたい。
●殺虫剤メーカーに暖冬効果あり、飲食や航空、医薬品業界にも恩恵か
暖冬が業績プラス要因となったことがある銘柄には、意外なものもある。それが、 殺虫剤メーカーだ。アース製薬 <4985> [東証P]の20年1-3月期決算短信を見ると、暖冬で虫ケア用品の「出荷が好調」としており、これが寄与する形で同四半期の営業利益は前年同期比3.5倍と急拡大。20年12月期通期では暖冬効果に加え、新型コロナ予防として換気が推奨されたことを背景に売り上げを一段と伸ばし、営業最高益を達成している。
フマキラー <4998> [東証S]にも暖冬効果があった。20年3月期決算の発表直前に行った業績上方修正では、「主力の殺虫剤が暖冬により店頭で早期に導入された」ことを修正理由の一つに挙げている。同3月期は6割近い営業増益となった。
このほか意外なところでは、特殊土木大手の日特建設 <1929> [東証P]がある。暖冬によって降雪地での施工が進んだことが売り上げ増につながり、20年3月期は増収増益で着地している。
暖冬関連に位置づけられそうな銘柄はまだまだある。例えば、気候に恵まれて外出機会が増えれば、飲食セクターに恩恵があるだろう。日本フードサービス協会が毎月発表している外食売上高を見ると、過去暖冬だった時期は売り上げや客足が伸びていることが確認できる。花粉症の時期が前倒しで到来することが想定され、鼻炎薬を手掛ける医薬品各社や、それを取り扱うドラッグストアに追い風となるかもしれない。飲料やアイスメーカーも見逃せない。ホット飲料の販売減が懸念されるものの、清涼飲料やビール、アイスの引き合いは強まりそうだ。
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